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剪画作品紹介

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剪画作品をご紹介します。
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2023年5月の記事一覧

洗足山の鬼伝説

洗足山の鬼伝説

まるぽ・日野晴美・神田いずみ・小野寺マヤノ作 400×280mm×7枚

 以前制作の工程をご紹介した作品です。この物語をシリーズで制作することになり、まるぽさんが鬼、日野さんが鬼が化けた若者と姫、神田さんが動物、そして私が背景を担当することになりました。映像用に個別に画像をスキャンし、その後にまとめたのが7枚の作品です。
 人間に化けて姫を訪れるようになった洗足山の孤独な鬼と、姫の悲恋の物語。ち

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6月の教室:かもめ

6月の教室:かもめ

 すっきりした青空が気持ち良い5月の教室用の作品はかもめ。この時期は初夏か梅雨の絵柄を考えます。今回は梅雨をスキップして夏に近いデザインにしました。
 かもめは飛んでいる姿と杭の上に立っている姿の2種類。その形の中に幾何学模様を入れたり、花を入れたり…にぎやかに飾りました。私が作ったサンプルは、ハートだけに色を入れたものでしたが、今日の生徒さんたちは、華やかな色で演出。輪郭も濃紺、青、赤、緑、そし

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鬼の灯

鬼の灯

大内 美佐子 作 350×260mm
“Ogres' Lanterns” by Misako Ouchi

 実際の鬼を描いていない作品を1つご紹介します。ご存知の通り、ホオズキは漢字で鬼灯と書きます。萼に包まれたホオズキの赤い実を灯に、そして果実全体を提灯に見立てて、お盆に先祖が帰ってくる時の提灯の代わりとして飾られることもあります。
 ホオズキは剪画に適した素材なので、多くの作家さんがこの繊

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鬼瓦

鬼瓦

石川 孝 作 242×272mm
“Gargoyle Roof Tile” by Takashi Ishikawa

 鬼は人間の世界で悪さをして、退治されてしまう存在ではありますが、一方その力強さから人間や家などを守るものでもあります。
 鬼瓦は、鬼が魔除けに使われている代表的なものでしょう。最近は立派な屋根も減って、鬼瓦を目にする機会も減っているような気がしますが、オーダーメイドであるた

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鬼の霍乱

鬼の霍乱

外山 豊子 作 297×210mm
“The Devil Succumbing to Sunstroke” by Toyoko Toyama

 ことわざにも「鬼」という言葉は、多く使われています。この作品で描かれているのは「鬼の撹乱」。普段は丈夫な人も、時には病気にかかることがある…という意味に使われます。私はこの撹乱の意味を病気くらいに考えていたのですが、実際は暑気あたりや熱射病のような症状

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女(ひと)が鬼になる

女(ひと)が鬼になる

六郷 もと 作 420×280mm
“A Woman Transforming into a Devil” by Moto Rokugo

 男性の鬼が力が強く、乱暴で、多くの場合退治されてしまうのに対して、能の話の中に出てくる般若は女性の怨念です。六郷さんは、その般若と、般若になる前の橋姫の面を描きました。
 鬼になる前の姫の姿と、嫉妬に狂い出した女性の面、そしてついには般若となってしまった女

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鬼住山伝説

鬼住山伝説

日野 晴美 作 297×420mm
“The Legend of Mt. Kizumi” by Harumi Hino

 鳥取県西伯郡伯耆町にある鬼住山に伝わる鬼の伝説を元に描いた作品です。田畑を荒らし、人々を困らせる鬼を孝霊天皇が退治に向かいます。その際に神のお告げによって、笹の葉を山のように積み上げると、その笹が鬼の体にまつわりついて鬼を封じました。こうして退治された鬼は北の山を守るように

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働く鬼

働く鬼

戸張 禮子 作 210×297mm
“Ogre at Work” by Reiko Tobari

 作者が書いたコメントがありますのでご紹介します。「奈良に行った時、五重塔の梁をささえる鬼に会いました。仏様に仕える鬼で、顔がごついのにどこかユーモラスで真面目に仕事をしている姿に惹かれました。」
 鬼瓦や仏像の台座など、様々なところで私たちは鬼がそれらを支えている姿を見るでしょう。鬼は通常悪役で

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