コロナ差別と女性の「456回の苦悩」
「1日2回、100%の確率で、嫌な事がある人生」
あなたは、そんな人生を生きたいと思いますか?
これは、ある海外在住日本人がコロナ差別を受ける中で、女性の「456回の苦悩」を少しだけ疑似体験した記録です。
「コロナウイルス!」
コロナが流行してからというもの、僕は1日最低2回、外に出るたびにウイルス呼ばわりされてきた。
4月から毎日なので、約150日間。
少なく見積もっても、300回以上言われた計算になる。
この国でのアジア人差別は今に始まった事ではないが、今回の終わりの見えない「コロナ呼ばわり」により、僕は精神的に疲弊している。
「嫌すぎて外出しなくなる」程度に苦痛だ。
以前歩いていて強盗に遭った経験がある事、車などの音が聞こえないと危険な事から、極力音を遮断したくないが、今はこの苦難から逃れるために、イヤホンで爆音で音楽を流してどうにかやり過ごしている。
そんな日々の中でふと気付いた。
「もしかして今の僕の苦しみは、女性の苦悩との共通点があるのではないか?」
と。
456回。114か月(9年6か月)。
あなたは、これが何の数字かお分かりだろうか。
女性の人生における生理の回数と、それによる体調不良の期間である。
重さや期間に個人差はあるが、一般的に、女性は生理中、生理前後でおよそ1週間、体調不良になる。
それが毎月ある。
10歳~14歳位に初潮を迎えてから、50歳位で閉経になるまでの間、毎月。
(当記事では「12歳~50歳」と仮定する)
1年に12回。それが38年で、456回。
1年に12週間(3か月)。それが38年で、114か月(9年6か月)。
「12歳から50歳まで毎月1週間、100%の確率で体調が悪くなる人生」
男性のあなたは、これ、耐えられますか?
明日も100%嫌な事がある事が確定している。
そんな現実に直面して、憂鬱になる。
明日を迎える気力が削がれる。
生きているのが、嫌になる。
僕は、今回のコロナ差別でこんな気持ちになった。
女性も「あと1週間で生理きちゃうよ…嫌だな…」と、僕のいまの感情と近い感情を抱く事があるのではないだろうか。
いや、女性の生理の方が、今の僕よりも百倍つらいのではないか。
ふとそう思った。
「自分は女性の気持ちが分かる」と思ってる男性の99%は何も分かってない
留学をして、旅行にもハマり、好奇心旺盛で「世界のすべてを見てみたい」と思っていた20歳の頃の僕は、ふと思った。
「女性の気持ちを理解しないのは、世界の半分を知らないのと同じだ」と。
そこから僕は、ふとした時にこう考えるようになった。
「もし自分が女性だったら、どう思うだろう?」
「相手の立場になって考える」
言うは易く行うは難し、という言葉がピッタリ合う。
特に、異性の気持ちを理解するなんて、普通に考えたら不可能に近い。
身体構造が違うのだから。
同じ人間という括りになってはいるが、男女の性差というのはそれほどまでに大きい。
たぶん山羊(ヤギ)と羊の違いより大きい。しらんけど。
(僕が住んでる国の羊。山羊っぽく見えるが羊)
(ちなみに山羊は「ウシ科ヤギ亜科ヤギ属」、羊は「ウシ科ヤギ亜科ヒツジ属」)
それほど違う異性の事を、頭で考えただけで理解するなんて不可能だ。
「経験するまでは何事も現実ではない」
という言葉があるが、普通に生きているだけでは、異性ならではの体験をする事は難しい。
だから、一歩踏み出した。
女性が感じる、
・興味の無い人から性的な興味を抱かれる不快感
・体格の大きい男性への漠然とした恐怖
を少しでも知ろうと、バイの友達にハッテン場(男性愛者が集まり性行為をする場所)を案内してもらった事もある。
僕が行ったのは、数十名~100名ほどが入れる施設。
狭いスペースで、自分より明らかに力が強そうな人たちに囲まれた。
僕は背が小さくて(163cm)、腕力も無い。
何かされても抵抗できないという、圧倒的な恐怖。
身の危険を感じた。
性的な対象として、舐めまわされるように見られる不快感。
すれ違いざまに足を触られた時のゾッとした感覚。
一生忘れる事はできない。
(怖くなってその場を離れたので、性的な事はしていません)
(ほとんどの人はお分かりだと思いますが、念のため。これを読んで「ゲイは怖いみたいに言うな」という人がいるかもしれませんが、僕が怖いと言っているのはゲイの方々ではなく、「自分より力が強く、自分が興味を抱いていない見知らぬ他人から、性的な対象として見られる事」「同意無く身体を触られる事」という行為・行動です。自分より力の強い女性に同じ事をされても同様に恐怖を感じます)
(以下は自発的ではないが、過去に経験した事)
電車で痴漢された事もある。
声が出なかった。
痴漢被害を受けた女性に対して「やめてって言えばいいじゃん」と言う人がいるが、そんな事、口が裂けても言えない。
強盗に遭って以来、街を歩くだけで少し怖い。
常に背後が気になる。
歩いてくる人を避けたくなる。
人を疑ってしまう。
そんな自分に嫌気がさす。
6年間の海外生活。
イスラム教徒のために作られた環境での生活では、些細な事で居心地の悪さを感じる。
イスラム教徒の知人宅で掃除を手伝った際、
「私たち(奥さんと娘)の仕事を取らないで」
と奥さんに言われて、専業主婦や女性の生きがいについて考えた27歳の冬。
自分がつらい時に、誰かの事を想う
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
僕は今まで、女性の事について色々と自分なりに考えてはきましたが、かといって何かをする事はできていませんでした。
そんな中で今回、今回自分がコロナ下で差別を受けた際、女性の生理の事が頭に浮かんだ事。これは僕の過去の経験のおかげだと思います。
自分がつらい時に他の人の事を考えるなんて難しいですが(僕も実際自分の事で精一杯でした)、そういう時の方が、普段よりも人の痛みに敏感になれる気がします。
なので、僕に今できる事は、一人でも多くの人にこの気付きを伝え、考えるきっかけを作る事だと思い、このnoteを書く事にしました。
とはいえ僕は、女性の気持ちを理解するにはまだまだ経験が足りません。
というか、女性ではない以上、真の意味で「理解する」事なんて、一生できないでしょう。
ですが、過去の経験で考えるためのキッカケや糸口位は得る事ができたと思っています。
この記事をご覧の男性のみなさん。全員一度は「ハッテン場に行きましょう」とは言いませんが、ぜひ女性として生きる上での心身の辛さを想像して、今までより少しだけ、優しくしてあげてください。(僕もできていると自信を持って言えないので、自戒も込めて)
そして、女性のみなさん。ぜひ身近な男性にこの記事を見せてあげてください。また、コメント欄やTwitterなどで「他にもこんな困る事もある」などご意見をいただけましたら幸いです。
(今回は女性に焦点を当てて記しましたが、もちろん男性としての人生にも苦悩はあります。いつか書くかも)
最後になりましたが、コロナ蔓延以降、日本で発生している差別(医療従事者や県外来訪者等への差別的言動)を聞くたび、とても悲しい気持ちになります。
コロナを恨んで人を憎まず。
基本的に、かかりたくてかかる人はいません。
「明日は我が身」の精神で、(元)感染者やその家族、医療従事者、濃厚接触者などにも優しい世の中になってくれたらと切に願います。
サポートは全額、羊のエサ代になります。しらんけど