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小宮友根さんによる私の論文への度重なる「批判」について

非常に当惑している。小宮友根さんが、『社会学評論』288号(72‐4)の公募特集「ジェンダー研究の挑戦」において掲載された私、千田有紀の論文「フェミニズム、ジェンダー論における差異の政治-平等から多様性へ」に対して、Twitter上でずー-----っと長きにわたり、「批判」を、やめて下さらない件である。

これまで私のこの論文について、『社会学評論』の「ジェンダー研究の挑戦」に掲載されました。小宮友根さんの『社会学評論』掲載論文の「批判」にこたえて。「論文には論文で批判を」といったことに対して寄せられた、小宮友根、清水晶子さんらによる批判にこたえてリツイート罪?、などの「記事」(?)で小宮友根さんによる論文への度を越えた「批判」について言及してきました。そしてSNSにおける小宮友根さんと森山至貴さんの度を越えた「根拠なき批判」について、今後は、何らかの判断を求めるかもしれない宣言。を書かせていただきました。

私も、少し覚悟を決めて、小宮さんとのやり取りをしてみました。ところが小宮友根さんのTwitter上での活動は、当惑しました。結論としては、私個人が対応できることは、もう限界にきていると感じました。対応を始めた頃は、このような感じでした。



「正気に戻ってもらいたい」などというのは、侮辱罪にあたるのではないか、などという指摘を多くの人から受けていましたが、小宮さんは気にされていないようでした。それどころか、「正直トランスジェンダーに関する千田さんのご発言や文章は、情報の入手先がトランス排除のネットワークであることが透けて見える」、「研究者ならネットの人的繋がりから情報を入れるのではなく」、「学術的な蓄積から目を背け、「そっちは危険ですよ」という声には耳を塞ぎ、「そうだそうだー」と囃し立ててくれる人とだけ繋がってそうした人向けにネットで情報を仕入れ喋って」いる、「数年後にはHanadaやWill御用達の文化人間違いなし」といった根拠のないことをつぶやき続けられていました。「トランス排除のネットワーク」というのがなんであるのか、私には皆目見当もつきません。そして相変わらず、私への論文に対する批判を続けられるのです。↓

私の論文の注の5に、「スコットランドでは、妊娠出産政策から『母親』という単語を削除している」というこの一文をめぐって、小宮さんは「デマ」であると私の論文への批判をおやめにならないのです。私が、The Timesを根拠にあげ、その日本語訳も「小宮友根さんの『社会学評論』掲載論文の「批判」にこたえて。」のなかでリンクをあげたことは、どうも掲載サイトが、「反トランスのネットワーク」であり、記事が「デマの類」であるとおっしゃるのです。

何度も何度も何度も何度もツイートされているので、どれを選択するか悩むのですが、例えば以下。



繰り返しますが、放送作家でジャーナリストのスティーブン・ノーラン氏が、BBCのポッドキャスト「Nolan Investigates」で情報公開法(FoI)に基づいて公開を求めました。スコットランド政府は、2013年からStonewall社の「Diversity Champions」計画に参加しており、ストーンウォールは、包括的な政策ツールキットに掲載されている用語を採用するよう促している。こうしたストーンウォールの方針のせいで、産休の概要を説明する書類から、「母親」という文字が書き換えられたのです。

これはある意味、世界を揺さぶったニュースであり、タイムスだけではなく、テレグラフもデイリーメイルも同様な記事が描かれています。しかし小宮さんによれば、

繰り返しますが、このような報道に依拠した私は「デマ」を拡散したのであり、「一次資料」に当たらない研究者であり(注ひとつのために、報道のもとの資料にまで当たらないといけないとは、かなり高いハードルだと思いますが)、「私はトランス差別してない」とか「対話しましょう」とかいうのは通らないというのです。


小宮さん自身が、ご自身の「母親」という言葉が消去されたことに、トランスジェンダー差別は関係ない、という主張の根拠を出されてきました。

では、小宮さんの資料を見てみましょう。

スコットランド政府の出産政策から「母親」という言葉が削除されたのは、LGBT+の代表的な慈善団体の働きかけによるものであることが明らかになりました。
という先のThe Timesの記事(ストーンウォールは、政府の政策から「母親」という言葉を削除させた)の中にも(小宮さんによれば翻訳が掲載されているのは、デマサイトだそうなので申し訳ないのですが)

LGBTウェブサイト「Pink News」の最高責任者であるベンジャミン・コーエン氏は、性別に関係のない用語の導入を支持しています。
「このことを心配しているのは、実際には比較的少数だが、声高な少数派だ」と彼は言います。
また、「包括的なポリシーを持つことは、家庭を持つレズビアンやゲイのカップルにとって、実はとても重要なことなのです。トランスジェンダーの男性が出産した場合、その人が自分自身を表現する方法ではないため、「母親」というレッテルを貼るのは不適切です。政策は、さまざまな状況の人々を包含するものでなければなりません」と述べています。

「ストーンウォールは、政府の政策から「母親」という言葉を削除させた」

という具合に、ピンクニュースのCEO自身も、母親という言葉を置き換えることが「包括的ポリシー」だと述べていらっしゃいます。


該当箇所を見てみたいんですが、


同性婚のためだといっても、女性や男性といった従業員の性別に言及するのをやめて、さらに「母親」だけが削除され、「父親」が削除されないのは、非対称で変ですよね(本文ではその非対称性にも言及しているので、我ながらいい例なのではないか。と思いました)。小宮さん、これで納得してくださるといいのですが。頼みますよ…。

ところで、少し前のツイートに戻りますが、

ちょとここで「デマ」の性質が変わって、私が「言葉狩り」をしたように描いたことにシフトしていますね。



ずっと小宮さんには私の論文の批判を続けられてきたのに、突然、「読者に任せたら」といわれて面喰いました。でもまたその後も、小宮さんの批判は続いています。

『社会学評論』が公開されてから4か月、ずっと小宮さんに批判を続けられていますが、もうそろそろ本当にやめにしていただけると助かります。最初は根拠なき「差別」だったのですが、今度は「デマ」。正直言って、疲労困憊しています。

私の注の1行にずっとこだわり続けることで、学問が進展するとは思いませんし、小宮さんの目的が私の論文の信用を落とすことに見えてしまい、当然苛立ちます。もしもBBCの検証報道が間違いなら、小宮さんが英語で書かれれば大ニュースと思います。不毛な批判ではなく、お互い学問にいそしみたいと私は願っています。

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