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祝! 2020年ノーベル化学賞は2名の女性科学者へ

何かと塞いだ気持ちになる話題が続いた2020年、今日は本当に爽快だった。2020年のノーベル化学賞がエマニュエル・シャルパンティエ博士と、ジェニファー・ダウドナ博士に授与されるという記者会見をネットで見た瞬間のことだった。公式アナウンスメントは以下。

ゲノム編集がどのくらいすごいかって、それは、例えば大学院生がノックアウトマウスを作るのに2年、解析するのに2年かかっていたところが、作るのは2ヶ月でできてしまうくらいのスピード感。CRISPR/Cas9はゲノム編集という意味では第3世代になるが、ようやく汎用性や普遍性が「使いもになる」とわかって、あっという間に生命科学業界に浸透した。

やっぱり、次の週刊ダイヤモンドはC型肝炎ではなくて、こちらで書きたい気持ちがいっぱいなので、研究の中身の紹介は置いておくとして、個人的なエピソードを。

この2人の組み合わせで実は日本国際賞が授与されている。2017年のことだ。2012年の論文がエポックメイキングだったので、それからたった5年(審査の期間としては4年も無い?)での大きな賞の受賞とは、かなり審査委員会も大胆な決定をしたのではないだろうか。この日本国際賞の「定義文」策定に実は関わっていたので、受賞後の講演会に伺ったというのが、将来のノーベル賞科学者とのフィジカルな接点としての最初であった。

シャルパンティエ博士は首元のスカーフがトレードマークのパリジェンヌ。かたやダウドナ博士はハワイ出身で今は西海岸在住のアメリカン。下記画像はノーベル財団HPより。

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翌年、日本神経科学大会のPlenary Lecturerに呼ばれることになっていたダウドナ博士に、「ぜひその折に仙台まで来て頂きたい」ことをお話したのがこのときだった。

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この2018年7月末は台風接近で、本来は神戸ー仙台便で移動の予定を急遽キャンセルし、新幹線を乗り継いで、東北大学でのシンポジウムに前日入りして頂いた。神戸から東京で乗り継いで仙台までアテンド。そのシンポジウムには、ダウドナ先生らの発見に繋がる「不思議な遺伝子配列」を見出した、九州大学の石野良純先生もお呼びしていた。ダウドナ先生は石野先生のお名前や研究はご存知だったが、実際に会うのはこの日が初めて。その夕食の画像より。

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翌日は東北大学知のフォーラム5周年記念行事の一環としての国際シンポジウム。川内萩ホールで行われた。

日本語の報告記事はこちら。

講演を直に聴くだけでなく、東北大学の若い研究者にはポスター発表の機会もあり、直にダウドナ先生に質問などしてもらった方々にとっては、貴重な機会であっただろう。

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そして、シンポジウム後の懇親会。高校の後輩にあたる西洋史がご専門の芳賀満先生がよく仰るように「ギリシア語の〈シンポジオン〉というのは、〈ともに一緒に食事をする〉という意味」なのだが、現代ではシンポジウムが〈終わってから〉食事をともにすることが一般的。

そのときのお店が粋な計らいをして下さって、なんと、ダウドナ先生に揮毫してもらった。「何を描いたらいいの?」と言われたので「なんでも良いのですよ!」とお伝えしたら、おそらく初めて握った毛筆であったろうに、たっぷりと墨汁を含ませて、豪快にCRISPR/Cas9の模式図を描かれた。3ショットはお店の女将さんとそのお嬢さん。

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その揮毫は現在、額装されて。

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Go To Eatのためにお店情報はこちら。

実は、2021年にもう一度、仙台に来て頂くプランを計画中だった。この9月には打合せのためにバークレーまで行く予定になっていたのに、すべてコロナのせいで没……。でも、いつの日か、ダウドナ先生をもう一度、仙台にお連れしないと!

【追記1】知のフォーラムがお祝い記事を。

【追記2】地元紙河北新報さんに記事掲載(こちらはウェブ記事)。

【追記3】連載している週刊ダイヤモンドの「大人のための最先端理科」第100回の記事(2017年1月)がゲノム編集でした。

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今週号の週刊ダイヤモンド連載コラムに取り上げました♫ 第288回になりましたね。

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