これからのお寺観光〜sightseeingとtourismについて
コロナウイルスによるお寺業界の変化
今回の新型コロナウイルスの問題は世界中に大きな変化をもたらしていますが、
日本のお寺業界にも少なからず変化が見え始めています。
それはお寺のIT、オンラインの急速な発展です。
以前からお寺にも一般社会のようなIT促進を求める声がありつつ、ホームページを持っているお寺もまだ多いとは言えない状態が続いていました。
ところが今回の新型コロナウイルスによって、従前のお寺の仕事を行うことが難しくなったこともあり、現在は全国各地のお寺で急速にIT化が進み、法要のライブ配信やYouTubeでの法話、Zoomを活用した取り組みなどが多く見られるようになりました。
これが一時的な流れなのか、今後定着していくのかはまだわかりませんが、少なくとも選択肢が増えて多くのみなさんにお寺の取り組みを知っていただくきっかけになるのは、喜ばしいことと思います。
コロナウイルスのその後
私の住んでいる秋田県では約2ヶ月間、新規の感染者が出ておりません。そのため、徐々に経済をどのように元通りにしていくかという課題に向き合いつつあります。
先日、ネットニュースの記事で
新型コロナウイルスで海外旅行できなくなり、今後は国内旅行に注目が集まるだろう。
という予測を目にしました。
なるほど、たしかにしばらくの間は海外旅行の需要は減りそうです。
では国内旅行、となりますと有名な観光地へ...ということもありますが、おそらくこれまで足が向かなかった地域にも旅人たちが訪れるようになるのでは、と予想します。
混雑を避けたり、あるいはこれまでと違う体験を求めて、全国の隅々まで人が訪れるようになってくるのではないでしょうか。
観光はそもそも、宗教的聖地への巡礼の旅だったと言われます。
日本でも伊勢神宮などへのお参りの旅は有名でした。
そこから派生して「他国の様子を見て自国に活かす」という旅、そしていわゆる物見遊山の旅が生まれてきたようです(Wikipediaより)
ところが近年、海外では物見遊山的なサイトシーイングと、体験型旅行という意味合いのツーリズムを分けて考えているようです。
この動きは今後、日本国内でも顕著になっていくように感じます。
観光地でのいわゆる物見遊山だけではなく、現地で何を体験できるのか。ここが問われていくのでしょう。
お寺へのツーリズム
これをお寺に当てはめて考えますと、
サイトシーイングができるお寺は限られていますが、ツーリズムの体験は全国のどのお寺もできる可能性がある
と思います。
それは特別な体験でなくても、お寺の日常を体験していただくことで十分価値のある時間になりそうです。
お寺のおもしろさは、お寺の立地、歴史、環境、お坊さんの個性がまさに千差万別であるところです。
お寺の日常にどのような光を当てて世の中のみなさんに「見せて」いくのか。そして体験を通して混ざり合っていくのか。
これもまた、これからのお寺の課題のひとつだと考えています。
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