コーチングってたまに聞くけど、何なの?どんな効果が期待できるんだろうかまとめてみた

画像1

コーチングにおける学びの仕組み

コーチングの原則は答えはその人の中にある。という考えに基づいて、コーチが対話することで、答えを外部から与えることなく自発的に内省し答えを創ることを目的としたコミュニケーション方法です。70:20:10の法則によると成人は経験以外では30%しか学んでいません。自分自身の体験と内省による学びは経験学習サイクルとも一致していることから、内省を支援し学びを得るということは大きな学習効果が期待できます。

一方、ティーチングは先輩や上司といった方が経験したことや知識を与えることでそれを参考に答えを探す方法です。以前と異なり、世の中の流れが速く不確実な時代ですから、過去の成功体験を基にした手法が通用しにくいためビジネスの世界においてもコーチングに注目が集まっています。

画像2

どんな問題が解決できる?

【緊急性が低く重要度の高い問題】

コーチングは万能な方法ではありません。解決に向いている問題と向いていない問題があります。わかりやすい例として幹部育成が挙げられます。幹部育成は短期的に成果を出そうとしても効果は出にくい課題です。また、経営層からの指示命令ではやらされ感が付きまといますし、指示自発的に考えていないスタッフが幹部に育つことはないでしょう。コーチングを用いることで自発性を育て、自分の価値観に基づいた行動をとることが可能な幹部に育てることが可能です。

【緊急性が高い問題は向いていない】

すぐに対処しなければならない問題についてはコーチングは向いているとは言えません。経営上、緊急性が高くすぐに対処が必要な問題については悠長に考えさせてしまっていては機を逸してしまいます。そういったときは指示命令ですぐに対処しましょう。

画像3

コーチの役割

【可能性を信じる】

コーチは必ず対象者ができると信じていなければいけません。心のどこかでできないと思っていると、達成できない対象者の問題に目がいき、欠点探しに目が向いてしまいます。

【長期的視点に立つ】

コーチングは短期的な目標達成を目的とした手法としても使用できますが、長期的に成長し続けることができる人材を育てることを目指す必要があります。コーチに教えてもらっている時だけ成長できるようでは自律人材とはいえず、単にコーチに依存している状態です。コーチングの目的は最終的にはコーチの指導が無くても自走し成果を出し続けることができる人を育てることです。

【意欲向上】

人はだれしも承認欲求をもっています。コーチは対象者を常に気にかけ、わずかでも成長がみられたときはしっかり伝えましょう。自己効力感が向上し、自信がつき成長意欲が高まります。

【軌道修正】

人は今までの経験に基づき、行動が習慣化されています。しかし、時間の経過や立場の変化に伴い、習慣化された行動が時に阻害要因となっていることもあります。習慣化された行動は自分自身で問題意識を持つことが難しいため、コーチングにより行動に対してフィードバックを通じた気づきを与えることが重要です。

画像4

コーチが重要視すべき視点

【身に着けるべきもの】

知識や技術、能力などもっと広く捉えれば人脈やお金も含まれるでしょう。対象者にとって目標を達成するために必要なものが無い場合は、まずそれを手に入れなければなりません。それをどうやって身に着けるのか、対話を通して考えます。

【考え方】

考え方や価値観について自分では気づきにくいのですが、例えば「信頼できる人はどんな人?」という質問をすると、「尊敬できる人」「言行一致した人」「嘘をつかない人」など色々なとらえ方があります。何が良い悪いではなくて自分自身の価値観や考え方に気づくことで目標達成に生かすことができます。しかし、自分自身の思考の癖は人生における様々な経験の中で構成されるため気づくことが困難です。コーチとの対話の中で内省することは気づきの近道といえるでしょう。

【行動】

人間には現状維持のバイアスが学術的に知られていますが、変化を嫌う生き物のようです。行動を変化させるには必要な能力や技術を身に着け、自身の価値観や考え方と行動の整合性がとれたとき、大きなエネルギーをもって行動を起こすことができます。

画像5

コーチングの3原則

【双方向】

双方向の会話とは同じ目線で会話をすることです。コーチ側の先入観や正解へ誘導することではありません。コーチの方がキャリアや経験豊富な場合によく見られます。あくまで目的は対象者の方が目標に向かって自走できる状態になることです。コーチが話過ぎることなく、しっかりアウトプットさせて、対象者が話しながら気づきを得ることができればベストです。

【継続性】

対象者が目標を達成するためには時間がかかることが多いため、意欲が低下したり、誤った方向へ進むことがあります。そういったときは時に意欲向上や軌道修正のアプローチを実施することで、目標へ共に進むことが重要です。

【個別対応】

対象者は年齢も経験も考え方も異なります。そのため同じ価値観の方は一人としていないため、当然アプローチ方法は異なることを認識しておかねばなりません。経験を積むとパターンに当てはめてしまいがちですが、そうすると、傾聴が雑になったり先入観が強くなってしまうので要注意といえます。

画像6

コーチングプロセス

信頼関係の構築

まず、信頼関係が無ければコーチングは無意味です。そもそも、私たちは対象者から信頼されているのでしょうか?コーチングに入る前にしっかりと時間を使って、相互理解を深めてからスタートする必要があります。

目標設定

目的と目標が混同しやすのですが、例えば目的は病気で困っている人を助ける事だとすると、そのための学びを得ることができる志望の大学へ入学することが目標となります。目標を達成するためには入学試験を合格することですから日々の取り組みは勉強して試験対策することになります。しかし、目標を立てることはそう簡単なものではありません。目標には以下のようなものが見受けられます。

hope toの目標・・・できたらいいな、あんなふうになりたいな、かっこいいななど将来の夢や憧れの目標

have toの目標・・・上司が求めてくる、売り上げ目標を達成しないと周囲に迷惑がかかる、みんなやってるからなど、しなければならない目標

want toの目標・・・自分自身の価値観と照らし合わせた結果、心の底からやりたい、何が何でも達成したいと思える目標

適切な目標はwant toの目標です。人間だれしも心の底からやりたいことをやるのであれば自発的に取り組むことができますし、努力も厭いません。しかし、残念ながら自分自身のwant toに気づくことは容易ではありません。いつも自分自身に問いかけるなど内省を繰り返し行わなければ気づくことはありません。コーチはコーチングを通じてwant toに気づかせるサポートが必要です。このプロセスには一番時間をかけるべきところで、want toが見つかればあとは自分自身で努力することは可能となるからです。

現在地の確認

自分自身が考えていることと周囲に映る自分の印象は大きな開きがあります。しかし、いくら知ろうと思っても、自分自身が今どんな表情なのかわからないのと同様に自分自身のことは他者を通してでしか知ることができません。コーチや同僚、友人や家族などから意見を聞くなど自分自身の現在地を確認しておかなければ地図と目的地だけ知らされているのと同様でどうにも動けません。そのため、周囲からフィードバックを求める必要があります。

ギャップの解消

目標が定まり、現在地が分かればあとは目標との差分を埋めるための行動をとる必要があります。この差分を埋めることが必要なのです。この際他責になり自分以外に原因を求めることがありますが、それではいけません。行動を起こすべきは他人ではなく自分です。現実に100%の原因が自分にあるかどうかは問題ではなく、他人に問題があると考えないことが重要です。

画像7

まとめ

コーチングは自律人材の育成や幹部育成などには向いている手法ですが、緊急性の高い問題には不向きです。しかし、自律人材の育成には非常に優れた手法です。すべての問題を一つの方法で解決しようとせず、適切な方法を選択したいものです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?