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『むかしの味』(池波正太郎)

ほぼ毎日読書をし、ほぼ毎日「読書ログ」を書いています。450冊目。

ああ、東銀座でとんかつ食べたい。

神田でおでんたべたい。

築地であんこう鍋食べたい。

なんて事をずっと考えてる。秋だから。

外出なんてする気のおきない東京の夏が過ぎ年末が見えてくると、とたんに腹が空いてくる。出歩きたくなる。

例年なら、仕事上がりにあそこへいこう、ランチは遠出をしてアレを食べよう、なんてあれこれと食べて回るのが楽しみな季節なのに、今年はもうそういうわけにはいかない。

とんかつ、うなぎ、おでん、あんこう鍋、ビリヤニ、ジンギスカン、蕎麦、とんかつ(好きな店が二軒ある)、そば、焼き鳥。

毎年年末がみえてくると友人や仲間と繰り出した店が恋しい。

しょうがないから、食にまつわる本でも読んで気を紛らわせてみようと、池波正太郎に手を出してみる。

池波正太郎といえば時代小説を多く残した昭和の大文豪というイメージだけど、私にとっては食通としての池波正太郎の方が馴染みがある。

食にまつわる随筆を多くのこしていて、それがもう、どれもこれも名作ぞろいなんだけど、この『むかしの味』もそのひとつ。

池波正太郎には70年代に書かれた『散歩のとき何か食べたくなって』や『食卓の情景』なんかもあって、それらも面白いのだけど、そこから更に10年近くたってかかれた本作もまた、読んでいると情景が浮かんできて味わい深いのよね。

池波正太郎がまだ証券会社の小僧だったころの逸話などもはさみつつ、長く愛した店を紹介する。

他の食にまつわる随筆と紹介されているお店もエピソードも被っていたりするのだけど、だからといってマンネリを感じないのは凄いね。つたえてくるものが情報だけではなく、もっと心の根に近いものだかなのかな。

ただ、読んでみたら、どうしようもなく自分も出歩きたくなってしまった。逆効果だった。ああ、早く大手を振って東京で食べ歩きが出来るようになってほしい。

散歩のとき何か食べたくなって』は以前にこのnoteで紹介した。

そういえばこの記事、妙に熱心に褒められて嬉しかったのを思い出した。

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