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【書評】 インプットをとにかく増やせ! そういうことだ 『アイデアのつくり方』
ほぼ毎日読書をし、ほぼ毎日「読書ログ」を書いています。169冊目。
言わずと知れた名著と言っても差し支えない、有名すぎて紹介するのがおこがましい位の本。広告だとか、PRの世界に居ると、どこからか現れるオジサンに必ず紹介される本。
自分も十分にオジサンになったので皆さんに紹介したくなりました。
本書、だいたい100ページ位と薄い。開いてみると本文は60ページとさらに薄い。しかし、ボリュームは問題ではない、シンプルで簡潔なのだ。
しかし、シンプルだからこそ実行するのは難しい。これは、本書の冒頭でも示されるのだが、簡単な事ほど実施するのは難しいものなのだ。
本書では、アイディアをつくるには、五つの過程をリニアに進めると説明される。それは、
①インプット
②咀嚼
③消化
④エウレカ!
⑤最適化
の5段階だ。
この5段階のうち、①の情報収集が最も重要となる。
そもそも、
アイディアとは既存の新しい組み合わせ以外の何物でもない
と云う。それは、その通りだろう。
であれば、アイディアをひねり出すには、とにかく「既存」の量を増やし、質を高めるほかない。つまりインプットだ。
著者は、インプットの為のソースには二種類あって、特殊資料と一般的資料に分けられるとしている。
「特殊資料」というのは、例えば広告案件であれば、その広告対象そのものについての詳細な情報を指す。これを徹底的に集め、徹底的に理解する。これはよくわかるというか、あらゆる仕事で行われていることだ。
もう一方の「一般的資料」とは、言うなれば世界に対する好奇心ということになる。エジプトの埋葬習慣からモダン・アートに至るまで、あらゆることに興味を感じ、触れようとするのがすぐれた創造的広告マンの資質という。
そして「既存の新しい組み合わせ」とは、特殊資料から得られる知識と、一般的資料から得られた知識、その二つの新しい組み合わせから生まれる事が多いのだという。
描かれていることは実にシンプル。
だがしかし、シンプルな事ほど実施するのは難しい。
一般的資料にたいして、あまねく興味を持つというのは、意識していてもむずかしい。ある程度好奇心が強い人間でも、どうしても好みの認知フィルターが邪魔をする。
現代人は常日頃から膨大な量の情報に接していて、その中で目に入った情報を意識のレベルに届けるまでに、好みや知識など、さまざまなフィルターで情報の取捨選択がおこなわれてしまう。私たちは、見たいものしか見えていない。
大量のインプットが良いアウトプットを生む、言われてみればその通りな事が書かれているのが本書だが、本書ではその方法までは教えてくれないので、それはそれで自分で考えるか、他の本に頼るしかない。頑張ろう。
ということでお勧めしたい本なのだけど、翻訳がえらく古いのが残念かな。そのあたりはもっと良くなるといいなぁ。
著者は、言葉への関心を持つようにとも説いている。言葉はアイディアのシンボルであり、言葉を多く知ることは、アイディアの種を多く持つことに繋がるとも。なるほど。
「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。