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『NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘』(著:マーカス・バッキンガム、アシュリー・グッドール、訳:櫻井祐子)

ほぼ毎日読書をし、ほぼ毎日「読書ログ」を書いています。425冊目。

どの会社で働くのかは重要なので、企業文化をよく調べてから選ぼう。

事業計画が精緻であればあるほど事業の成功率は上がるのだ。

会社の目標をブレイクダウンし素敵な個人目標を作ろう。

自己分析をし欠点をカバーするよう努力をすることでオールマイティな人材を目指せば業績貢献も間違いなしだ。

上司や経験者からのフィードバックに耳を方向けよう。

評価制度がちゃんとしていれば……

本書は、タイトルにもある通り、世間では当たり前だと思われているビジネス上の常識について、それらが全くのデタラメであることをデータ分析によって明かしていく。

目次を見ていけば、取り上げられている項目が企業活動の日常に深く深く入り込んでいる事柄だと気がつく。

ウソ#1 「どの会社」で働くかが大事
ウソ#2 「最高の計画」があれば勝てる
ウソ#3 最高の企業は「目標」を連鎖させる
ウソ#4 最高の人材は「オールラウンダー」である
ウソ#5 人は「フィードバック」を求めている
ウソ#6 人は「他人」を正しく評価できる
ウソ#7 人には「ポテンシャル」がある
ウソ#8 「ワークライフバランス」が何より大切だ 
ウソ#9 「リーダーシップ」というものがある 

これら項目をみて「もはや疑うことすら憚れる(というか面倒くさい)ような事がら」なんだけど、どこかで、胡散臭さを感じていた方も居られるのでは? もしそうであれば本書はオススメです。

なにせ、本書にいわせれば、上記目次で取り上げられているような会社の常識は、もはや会社の業績にも、個人の生産性向上にも、大して役に立っていないという。

それどころか、ウソであると言い放ち、どのウソも、組織の管理欲求を満たす為に定着したものでしかないと切り捨てる。

個人的に面白く感じたのは『ウソ#4 最高の人材は「オールラウンダー」である』の章。会社が求める最高の人材像としての「オールラウンダー」がいかに意味のない望みであるかが明らかにされていて、やっぱりそうだよなぁと膝を打つ。

ありがちな話だけど、よく人事評価のセッションでは、強み・弱みの分析を通して、弱みを弱点としてマイナス評価の対象とし、この弱点を克服することで総合力をあげ、人事評点も上げていこう。みたいな話になる。

しかし、こういった活動には大きなウソがあるという。

1つ目は、そもそも強み・弱み、すなわちコンピテンシーを正しく定量的に測るといったことは不可能であり、オールラウンダーを定義する事は出来ず、よって定義出来ない状態を目指すなんてことが不可能だということ。

2つ目は、広範囲な調査により、あらゆる職業や取り組みで見られた高業績の裏に居たハイパフォーマー達をみると、皆個性的で際立っており、かつ自らのユニークなところを理解しそれを上手に伸ばしてきている。(全くもってオールラウンダーではない)

つまり「オールラウンダー」が優れているなんて嘘っぱちだ。従業員としての正しい「成長」とは、既に持っている能力のインパクトをどれだけ高めることができるのか? ということになる。

しかし、各自が自分の能力を尖らせていたら、仕事が回らなくなってしまうかもしれない。となるが、それを解決するのが優れたチームリーダーという事になる。

オールラウンドを目指すことは、こと個人に関する限り、見当違いで無駄な目標だが、チームに関しては絶対条件となる。

つまり、凸凹した人材を上手くまとめ上げ、個々人では尖りが目立つとしても、これをチームとしてくみあわせることでオールラウンダーを達成すればよいのだ。


とまぁ、こんな感じで9つの常識に切り込んでいるのだけど、どれも、それなりに面白い。

本書のターゲットは、まずはリーダー職、マネジメント職の方々になるのかなと思うのだけど、本当に必要な人は、おそらくこれら9つのウソにうすうす気がついており、会社の取り組みに不満を持つ人なのだろうと思う。

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