90年前の古書を購入
資料として、先日古書を購入しました。
いつもの感覚だと、Amazonで検索してポチって、という流れですが、今回の本はそうもいかず、古書の専門サイトで見つけ、購入。
探していたのは、昭和2年発行の『茶室と茶庭』という茶、茶室、庭園をテーマにまとめられた書籍。
今度、発行する『川越の建物 近代建築編』に掲載している近代建築の設計を行った「保岡勝也」著の一冊になります。
保岡勝也は明治から昭和初期に活躍した建築家で、現在の三菱地所に勤め、東京丸の内 行幸通り沿いのビルの設計を担当していました。
彼は出世し、良い会社・ポジションに就きながらも、退職し、自ら設計事務所を開業します。
事務所開業後の作品の中には、川越貯蓄銀行 本店、第八十五国立銀行、山崎家別邸、山吉デパートと川越4作品を手掛けています。
(これらの建物につきましては、春に発行する『川越の建物 近代建築編』内では、これらの建物について紹介します。)
山崎家別邸には建物、庭園、茶室がありますが、これらの設計を保岡が担当しております。
近代建築の設計だけではなく、茶、茶室、庭園への興味を深め、著書の発行も行っていたということを知り、今回の書籍購入に至っています。
書籍は元々どこかの図書館で丁寧に管理されていた本と思われ、紙は経年経過で焼けていても、破れ、書き込みなどなく、今から90年以上も前の本とは思えないほど。
内容は、茶についての説明と、国内に現存していた茶室・庭園を写真とイラストで紹介しています。
茶室、庭園は設計図、レイアウト図と、細かいつくりや素材、寸法の記載もあり、この本を基に有名茶室の写しが可能な内容になっています。
昭和2年でここまでの写真の枚数を用いることは、かなり斬新だったのでは、と思える内容に驚きもあります。
興味深いと感じたことは、書籍の奥付にありました。
出版社名や、特約書店名が書かれていますが、現在では老舗書店と呼ばれる名店の記載と、著者名にかぶるように著者 保岡勝也の押印があったことに、設計家 保岡勝也との距離が縮まった感じがしました。
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