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SEOが苦手な事と、直近3年間でお断りした相談内容

SEOは万能な施策ではありません。
たくさんの集客方法の中の1つですし、ビジネスやジャンルによっては向いていないものもあります。

SEOは検索エンジン最適化ですので"検索されない"ビジネスとは相性が悪いです。
世の中にできたばかりのジャンルやサービスの場合、サービスの存在自体を認知されていないため検索される機会が極端に少ないです。

例えば新型コロナウィルスが流行る以前に「スポーツマスク」の集客をSEOで行う、という依頼があれば難しかったはずです。

Googleトレンド過去5年間「スポーツマスク」

今でこそ「スポーツマスク」についての理解や世の中への浸透はされていますが、感染症が流行する以前にスポーツマスクをわざわざ購入する人は少なかったでしょう。
必要性も感じられていなかった可能性が高いので検索数も少ないです。

こういった状況でSEOはあまりやれる事がありません。
SEOによる集客の事業収益への影響は小さいことが予想されるので、他の施策を行った方が良いです。

新型コロナウィルスで色々な生活の変化が起こった3年間でSEOに対する期待や依頼も様々ありました。

せっかくのご相談ですが、お仕事として請けるのをお断りすることが多くありました。
今回はSEOの苦手なポイント3つと、お仕事をお断りした相談3つについてお伝えします。

全てのマーケティング施策には一長一短あります。
適切な取捨選択はマーケティングの成否に大きく影響します。

SEOのデメリット1「とにかく時間がかかること」

SEO1つめのデメリットは成果が出るまで時間がかかることです。

今日からSEOに取り組むことになったとします。
ビジネスにとって有用なキーワードで上位表示して集客の効果が実感できるまで早くても数ヶ月かかってしまう、なんて事はよくあります。

コンテンツマーケティングに取り組むことになったとして、最初のコンテンツが投稿されるまでどれくらいの時間がかかるでしょうか。
いきなりコンテンツを作るのではなく、最初は何を発信すべきか決めるところから始めることが多いのではないでしょうか。

どちらにしても施策として実装する・発信するまで1ヶ月以上、そこから成果がでるまでとなると数ヶ月かかることは多くあります。

プロジェクトメンバーも固まっていて、全ての施策についての責任の所在が明確になっており、誰が何を担当するかが決まっていて、更に全てのメンバーが連携できていたとしても数ヶ月かかってしまうのです。

メンバーや足りない知見、責任の所在の明確化しておく必要があったり、場合よっては施策を行うための説明が発生することもあります。
その場合は、スタートするだけで数ヶ月かかることもあります。

以前書きましたが、関係者が多くなるプロジェクトにおいて説得と同意を得ることは大変です。

SEOの場合は、何かしら手を動かし施策を実装する必要があるため、丸投げが構造上しにくいです。
検索順位を購入する、といったことができず"金で解決できる範囲が狭い"ため手を動かす必要があります。
そこがまたSEOに時間がかかる原因になっています。

成果が出るまで時間がかかってしまうので、そもそも検索ニーズがないジャンルやサービスにおいてSEOだけを選択するのは得策ではありません。

SEOのデメリット2「1つ1つの施策の効果が分かりにくい」

SEOは明確に因果関係がわかる施策が少ないです。
特に近年では「○○をやったら順位が上がる」というシンプルな施策はほぼありません。

評価のされ方も複雑になっており、より正確に検索ニーズに応えるためにも様々な指標がランキング要素として使われています。

それらの指標に可能な限りフィットさせ検索エンジンへ適切に価値を伝えつつ、ユーザーの検索ニーズを理解し、ユーザーからも評価される必要があります。

この2つは、場合によっては別々の施策でする必要もあるため複数の施策が必要になります。

文字にすると
・検索エンジン向け
・ユーザー向け

とシンプルに2軸になったように見えます。

実際には、こんなに単純ではなく、どちらにも影響するものもあります。
検索エンジン向けの中でも、クローラー向けの施策、といった狭い範囲への影響も考慮し施策を行なう必要もあります。

細かい施策が必要だったり、施策同士のバランスを考えて全体設計をする必要もあります。

計画段階ではできそうだったけれども事情があって出来なくなったので、他の方法でカバーしなければいけなくなる事もあります。

施策同士が関連して効果が出ている可能性も考慮すると、1つ1つの施策の効果について正確に把握することは、ほぼ無理です。

SEOのデメリット3「検索されないジャンルにおいては無力」

冒頭でスポーツマスクの例を書きましたが、キーワードが存在しなければSEOは無力です。
誰も検索しないサービスやジャンルにおいてSEOを行っても意味はありません。

AISASという有名なフレームワークがあります。

AISASとは
Attention(注意)→ Interest(関心)→ Search(検索)→ Action(購買)→ Share(共有)

AISASの説明

Search(検索)の位置はAttention(注意)とInterest(関心)のあとです。
検索という行動を起こすのは関心を持った後なので、検索させるための何らかの理由がなければ検索行動は取りません。

SEOで検索を促すことは難しいので、検索されている状況という前提があってSEOは最大の効果が出せます。

SEOの依頼をお断りした相談3つ

ここからは直近3年間でSEOをお断りした相談例を3つあげます。

同様の相談が結構多く、気持ちも分かるだけに心が痛いものもありましたが、課題と解決方法がマッチしていない状況でお仕事を請けるわけにはいきませんでした。

外出自粛状況時に観光関連のSEOの依頼

観光産業は外出自粛要請時、大きな影響を受けました。
そんな中でのSEOの依頼を受けました。

検索ニーズ自体は減っているものの、それなりに検索はされていました。
移動自体も禁止されていた訳ではないため、旅行すること自体は可能ではあります。

ただ、実際には検索はされていても、ほぼ予約申込はなく、上位表示しても広告を出稿しても申し込みが増える、という状況ではありませんでした。

この状況で集客だけを行ったとしても全く事業収益に貢献はしません。

SEOで力になれることはなく、感染状況や人々の意識の変化が起こるまでは何もできることはない、とお伝えしお断りしました。

この状況では支出を増やすよりは、変動費を少しでも押さえて事業の継続に注力した方が良い、とお伝えしました。

集客で解決できない問題は集客で解決しようとしてはいけません。

小売店のECサイトの構築とSEOの依頼

小売店などのオフラインての販売がメインのビジネスがオンラインへ進出する、という事が増えた3年間でもありました。
オフラインからオンラインへ販路を増やす、という事を検討されている事業社は多く、集客についての相談もありました。

これだけ見るとSEOに取り組む価値はありそうですし良さげに見えるかもしれません。

相談内容を詳しく書くと
・SEOだけで収益化をしたい
・店舗の売上と同じものをオンラインで実現したい
・固定費を考えると半年以内の黒字化ができなければ経営が危うい

といった内容でした。

過去にオンラインの集客の経験は全くなく、倉庫や物流についての知識や準備もゼロの状況でした。
一部の相談の中では、生鮮食品を取り扱うビジネスもあったため、倉庫や物流には注意が必要です。

その状況を半年以内で構築し、かつSEOのみで集客を成功させ店舗での売上をカバーする、というのは現実的ではありません。

手作業で発送をするとしても、ピッキングや梱包、スムーズな配送ができるインフラが必要です。

ECサイトの構築と集客依頼でかなり多かったのが、ゼロからの経験で短期間での収益化をしたい、といった依頼。
集客さえうまくいけばECは成功する、といった想定でした。

ECサイトをSEOのみで収益化する、というのは難しいですし、SEOを集客の柱にすることはオススメしません。
広告の利用も必要ですしCRMに取り組む必要もあります。

どちらも、競合が長く取り組んでいることもあるので、そこと戦って勝つ必要もあります。
ゼロからECサイトを立ち上げるよりもモールの利用を検討した方が良いですし、何より物流についても考えておく必要があります。

ECサイトはサイトを作って集客すれば成功するものでないのです。
こちらも上記の理由から難しい旨をお伝えしお断りしています。

新型コロナウィルスに効果的な健康法のSEOの依頼

まだワクチンもできていない時期に依頼がありました。
医療系のサイトを利用して販売したいが広告を出すのが難しいのでSEOで集客したい、という依頼がありました。

お断りしています。
私のポリシーでもありますが、公序良俗に反するお仕事に関してはお請けしません。

医療や健康に関しては難しいというのもありますが、万が一その集客が成功してしまう事が公共の福祉になるとは思えませんでした。
その健康法が新型コロナウィルスに効果がなかった場合、信じた多くの方が健康被害を受けてしまう可能性もあります。

SEOの仕事は今後も続けていく予定です。
検索の信頼性が低くなる状況、というのは私の今後の仕事に悪影響を与えます。

私自身のビジネスを長期的に続けるためにも、検索エンジン・ユーザーの双方にとってメリットがあるお仕事でなければデメリットが大きくなると考えています。

SEOのデメリットやSEOで課題解決が難しい状況は多々ある

SEOは万能な施策ではありません。
解決できない課題も多いですし、力になれない状況も多々あります。

だからこそ「この仕事で役に立てる」と感じたものは全力で取り組みますし、今でもそういった相談をいただくと大変うれしく思います。

SEOは効果が出るまで時間がかかるからこそ、他の集客施策にも良い影響があるものは積極的に行うようにしています。
コンテンツのマルチユースもその1つです。

SEOは時間がかかり丸投げが難しく、施策の効果も分かりにくいです。

だからこそ、メリットと同じくらいデメリットを理解し、力になれるのかどうか?を適切に見積もった上でSEOに取り組みたいと思っています。
今でも最初の状況と変わってしまい、プロジェクトが始まってみたらSEOの難易度が激上がりした、という状況はあります。

全てを予想するのが難しいからこそ、今現在の状況と近い将来の予想くらいはして取り組みたいと思っています。


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