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走るだけじゃない!「橋を楽しむサイクリング」のすすめ

最近はあたたかい日も増え、自転車で風を切るのがとても気持ち良い季節になってきましたね!

気軽に楽しく体を動かせて、ディスタンスも保てるということもあり、サイクリングは今とても人気のレジャーです。

ただ、人気がある分、おすすめのサイクリングコースを検索すると、全国各地の情報が山ほど出てきます。
「候補がありすぎて選べない」というビギナーさんや、「いつもとちょっと違う視点で楽しんでみたい」というサイクリストさんも多いのではないでしょうか。

そこで、そんな方に提案です。
次の休日は、「ダイナミックな『橋』の魅力が楽しめるコース」に行ってみませんか?

記事の後半では、サイクリングをしているとよく見かける「橋」について、知ればもっと楽しくなる話もご紹介します。
ぜひ、最後まで読んでいただけると嬉しいです!

【迫力満点】橋が楽しめるサイクリングコース おすすめ3選

絶景に癒されることは、サイクリングの大きな楽しみのひとつですよね。

ここでは、美しい橋と景色が一緒に楽しめる、一度は行きたいサイクリングコースを3つご紹介します。


しまなみ海道(広島県~愛媛県)

一つ目のおすすめコースは、言わずと知れたサイクリストの聖地、「しまなみ海道」です。

瀬戸内海の真上を、潮風を切って走れるという点はもちろんのこと、迷わず走れるロード整備や、自転車持ち込みOKな宿泊施設が多いなど、サイクリストの受け入れ態勢が整っているという点も人気の理由です。

しまなみ海道多々羅大橋とサイクリスト

そして、忘れてはいけないしまなみ海道の魅力、それは別名「橋の美術館」とも評される「橋」にあります

しまなみ海道には、表情豊かな7つの橋が架かっていますが、実は本数が多いだけでなく、構造的にも4種類に分けることができます。
これほどの種類の橋を一気に楽しむことができるのは、国内でもほかにありません

※橋の本数は、数え方により変わります。ここでは橋の名称ごとに分けています。
参考:ひろしま公式観光サイト

サイクリングでは、瀬戸内の海と島、そして目にも楽しい個性豊かな橋が織りなす絶景を一度に楽しめるだけでなく、その橋の上を走ることで、橋の迫力を間近に感じることができますよ。


磐梯吾妻スカイライン(福島県)

二つ目のおすすめコースは、南東北の空を走る「磐梯吾妻スカイライン」です。

磐梯吾妻スカイラインは、福島市の高湯温泉と土湯峠をむすぶ観光道路で、標高差によって走りごたえのあるサイクリングを満喫することができます。

中間地点の「浄土平」は広々として見通しが良く、まるで海外の草原地帯かのような景色が広がっています。コース後半では、土湯温泉で気軽に足湯が楽しめるのも人気の理由です。

つばくろ谷にかかる不動沢橋

そして、磐梯吾妻スカイラインの外せない見どころの一つが、「不動沢橋(つばくろ谷)」です。

「不動沢橋」は深い渓谷にかかるダイナミックなアーチ橋で、視界に福島盆地をとらえながら走ると、まさに空を翔けているような感覚を味わうことができます。

付近には無料の駐車場・トイレがあるため、休憩にぜひ立ち寄ってみましょう。そこからは橋の美しいアーチの全貌を見ることができます。
「こんな渓谷にどうやって橋を架けたのか」と、不思議な気持ちになってしまいますね。

注意!
磐梯吾妻スカイラインは例年11月~4月くらいにかけて、凍結のため冬期通行止めとなっています。2022年は4月22日(金)午前10時より再開通となります!
なお、4月22日から5月5日までは、17時~翌朝7時の夜間通行止めです。

※参考:福島県ホームページ「磐梯吾妻スカイラインの再開通について


伊勢志摩サイクリングフェスティバルコース(三重県)

三つ目のおすすめコースは、サイクリストに優しいまち・三重県志摩市の「伊勢志摩サイクリングフェスティバルコース」です。

志摩市では、まちを挙げてサイクリング観光の受け入れに力を入れているため、サイクリングコースやレンタサイクルが整備されていたり、サイクルラックが設置されたお店が多かったりと、安心してサイクリングを楽しめる環境があるのが人気の秘訣です。

サイクリングコースは、初心者から上級者まで楽しめる6種類が設定されており、家族でも安心して挑戦できますよ。

志摩パールブリッジ(志摩大橋)

また志摩市周辺は、海岸線が入り組んだリアス式海岸が有名で、その湾を横切るように架かる美しいアーチ橋がたくさんあります。

中でも、映画のロケ地にもなった志摩市のシンボル「志摩パールブリッジ(志摩大橋)」は、写真スポットにもおすすめです。

真珠養殖がさかんな英虞湾の青と、まわりの山々の緑に、「パールブリッジ」の名にふさわしいパールホワイトの欄干が美しく映えます。


サイクリングがもっと面白くなる、「橋」のおはなし

ここまでは、全国の「橋」が見どころなサイクリングコースをご紹介してきました。

ご紹介したのはいずれも知名度のあるサイクリングコースと橋でしたが、実は橋を楽しめるサイクリングコースは全国各地、あなたの家の近所にもあります。

なぜなら、サイクリングコースに必ずと言っていいほど登場するのが、橋だからです。

橋について少し学んでみると、美しい構造をながめたりその上を走ったりすることが、今までよりもずっと面白くなります。
ここで橋のことを知って、サイクリングに新しい楽しみを増やしてみませんか?


いつも見かける「橋」のこと

橋に種類があるということを知っている方は多いと思いますが、それが何種類あってどんな名称かということは、意外と知らない方が多いのではないでしょうか。

ここで紹介する基本的な6つの構造をおさえるだけでも、日々橋を見るのが少し楽しくなりますよ。

1.桁橋(けたばし・けたきょう)

橋脚などの上に桁を渡した、シンプルで一般的な構造の橋です。人類が初めてつくったのも桁橋であるといわれています。

ほかの構造に比べてつくるのは簡単ですが、強度の関係で橋脚の間を長くできません。断面の形によってT形、箱型などの種類があります。

●このタイプの橋
しまなみ海道の「伯方橋(伯方・大島大橋)」、東京湾アクアラインの「東京アクアブリッジ」 など


2.トラス橋(とらすきょう)

桁の部材を三角形に組んだ構造(トラス構造)の橋です。トラス構造は部材にかかる負担が少なく安定しており、東京タワーなどにも採用されています。

トラスの形によって、ワーレントラス、ハウトラスなどの種類があります。

●このタイプの橋
阪神高速の「港大橋」、東京湾の「東京ゲートブリッジ」 など


3.アーチ橋(あーちきょう)

山型の弓なり形状(アーチ)によって支える構造の橋です。その歴史は古く、ヨーロッパによくみられる石橋もアーチ橋にあたります。

形状によって、ローゼ、ニールセンローゼなどの種類があり、さらにアーチと桁の位置関係によって下路式、上路式、中路式に分けられます。

●このタイプの橋
磐梯吾妻スカイラインの「不動沢橋」、伊勢志摩サイクリングフェスティバルコースの「志摩パールブリッジ」 など


4.斜張橋(しゃちょうきょう)

塔から斜めに張ったケーブルで、直接橋桁を支える構造の橋です。塔の形やケーブルの張り方など、デザインの自由度が高く、景観にこだわる場所でよく採用されます。

形状によって放射型、ファン型などの種類があります。

●このタイプの橋
しまなみ海道の「多々羅大橋」、埼玉県の「旧秩父橋」 など


5.ラーメン橋(らーめんきょう)

桁と橋脚をがっちりと一体化させた構造の橋です。耐震性・建設コスト面で優れています。
「ラーメン」とは、ドイツ語で「額縁」を意味する言葉なので、食べ物とは一切関係ありませんよ!

形状によってT型、方杖式などの種類があります。

●このタイプの橋
鳥取県~島根県の「江島大橋」、兵庫県の「灘浜大橋」 など


6.吊橋(つりばし)

塔に渡したケーブルによって桁を吊る構造の橋です。橋脚なしで長い区間を渡せるため、海峡や渓谷などにも長い橋を架けることができます。

一方で、やわらかい構造のため、風によるダメージを受けやすくなっています。

●このタイプの橋
しまなみ海道の「来島海峡大橋」、東京都の「レインボーブリッジ」 など



以上が基本的な構造の種類ですが、その場の地形や条件に合わせて、いくつかの考え方を組み合わせてつくる橋もあります。

どの構造が、なぜその橋で使われているのかを考えると、今までよりもその場所を知ることができますよ


「橋」ができるまでの時間を味わう

橋は物理的にも社会的にも、とても大きな構造物です。そして、想像以上にたくさんのプロフェッショナルの手によってできています。

何もなかったところに大きな橋を架けて、離れていた場所をつなげる過程を想うと、ロマンを感じてしまいますね。

~橋ができるまで~

1.計画を立てる

国や自治体、道路会社などが、道路計画や自然条件を調査して、どこにどんな橋をつくるか基本の計画を立てます。


2.設計する

建設コンサルタント会社などが行います。
まず、条件にあった橋をつくるため、比較検討して橋の形式を決めます(予備設計)。
そのあと実際に計算などをして、設計図を作ります。工事に必要な資材や人の数も算出します(詳細設計)。


3.施工する

建設会社などが、実際に部材を作って現地に橋を架けていきます。

関わる人は、
 ・工事を管理する人(施工管理、現場監督 など)
 ・部材をつくる人(橋梁資材の生産管理者、非破壊検査技術者 など)
 ・現場で工事をする人(重機オペレーター、橋梁とび など)
に大きく分けられます。



このようにたくさんの手を経て、晴れて橋が架かります。
そのあとも点検技術者などが定期的に点検して、橋を守っていきます。


橋の魅力も味わいながら、もっと楽しいサイクリングを!

サイクリングで、必ずと言っていいほど見かける「橋」

これからは、ダイナミックで美しい橋の構造をながめたり、その上を走ったりすることもサイクリングの楽しみの一つにできたなら、もっと面白くなるはずです。

こんどの休日は、健康で文化的な「橋の魅力も楽しむサイクリング」に出かけてみませんか?


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