油汚れ落としやリサイクルに活躍「リモネン」
柑橘類の皮に含まれる成分
柑橘類の皮にはリモネンという物質が多く含まれます。柑橘類特有の甘くさわやかな香りを持ち、家事用の洗剤や石鹸にもよく配合されます。
食器洗い機用洗剤への配合
リモネンは油をよく溶かすので食器洗いに役立ちます。特に食器洗い機用洗剤の配合成分として有用です。
スポンジなどに含ませて使う通常の台所用洗剤は主に界面活性剤の働きで油汚れ等を包み込み浮かせて洗い流します。しかし食器洗い機にはこの作用が使えません。
食器洗い機は庫内に溜めたお湯をかき回したりノズルから勢いよく食器に吹き付けたりします。このような所に界面活性剤を加えると泡が大量に発生し庫外に漏れてしまいます。
そこで用いられるのが炭酸ソーダや過炭酸ナトリウム等のアルカリ剤です。
これらのアルカリ剤には油脂乳化・タンパク質分解・酸化などの作用があり、それを利用して食器の汚れを落とす事が出来ます。そこにリモネンの油脂溶解作用が加わると更にきれいに洗い上げる事が出来るのです。
洗濯用洗剤への配合
リモネンが油脂を溶かす作用は洗濯でも大いに役立ちます。
例えば皮脂による頑固な衿袖汚れ。油っぽい料理の食べこぼし。油分を含んだ化粧品や薬による汚れ等々。
通常の洗濯用洗剤にリモネンの作用をプラスする事で皮脂や食用油を溶かし、よりきれいに洗い流す事が出来ます。
発泡スチロールのリサイクルにも一役
リモネンは発泡スチロールの回収に役立っています。それは、リモネンの分子構造がスチロール樹脂の分子構造とよく似ている為です。
一般的に分子構造の似ている物質同士は馴染みやすい傾向があります。そしてリモネンとスチロールの分子構造は似ています。
結果、リモネンと接した発泡スチロールはリモネンに馴染んで溶けてしまいます。発泡スチロールはそのままでは嵩が高くて扱いにくいのですが、それを溶かすことで回収が楽になるわけです。
では、リモネンに溶けたスチロール樹脂を取り出すにはどうするのでしょうか。
まずその溶液を加熱します。するとリモネンは蒸発してしまいます。後に残った液体を冷やし固めると純粋なスチロール樹脂が得られるという訳です。
蒸発したリモネンもその蒸気を集めて冷やすとまた元通りになって再利用できます。
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