味わい深い街、名古屋②
この記事は先日公開した「味わい深い街、名古屋①」の続きとなる。昨年12月、3泊4日の名古屋旅に出た僕は2日目を迎えた。ホテルの部屋は日当たりがよく、ベッドの寝心地も良かったため、起床をぐずってしまった。遅い一日のスタートを切ったが「まあ、これも身軽な週末旅行の醍醐味だろう…。」と自分を納得させる。
夜まで予定もないので、名古屋市内をぶらつくことにする。朝食を終え、ホテルが位置する伏見駅周辺エリアから錦通を経由し、栄へと向かっていく。中区は栄を中心に商業エリアとして賑わうエリアだ。区画が碁盤の目状に整備されており、道も広いので歩きやすい。
間もなく撤去されるという「長者町繊維街」のアーチ看板を通過し、久屋大通公園にたどり着く。市の象徴的ランドマーク、MIRAI TOWERや、噴水「希望の泉」を眺めるなどしながら、散策を楽しんだ。土曜とはいえ、都内に比べると人は少なく、チルなムードが漂っている。
お腹も空いてきたので、味噌煮込みうどんの老舗「山本屋」に入店。ランチのピークを過ぎているはずだが、列が出来ており、10分近く待った。「カレー煮込みうどん」も気になったが、初めてということもあり、定番の「味噌煮込みうどん」を発注。土鍋の蓋を開けると、うどんと共に卵やネギ、鶏肉がぐつぐつと煮立っている。全て手打ちという麺はコシがあり、つゆはコクが深い。昨夜は少し食べ過ぎたので、お腹にも優しく、我ながらいいチョイスだった。
食後はコーヒーで一服したい。Google Mapで栄の喫茶店を検索し、気になったジャズ喫茶「YURI」へと向かう。こちらも着いた時には満席で、5分ほど待った。店内は女性客が多く、ヴァイナルのジャズレコードが大音量で流れていて賑やかだった。壁という壁がレコードで埋めつくされている様も壮観で、ガチのジャズ喫茶であることがうかがえた。
当初はコーヒーだけのつもりだったのだが、メニューを眺めていたらケーキが食べたくなってしまい、「ラムチョコケーキ」をオーダー。このように旅行中は「せっかくだから」が重なり、カロリーオーバーになりがちなのだが、「普段より歩いてるし、慣れない場所で頭も使っているはず。ケーキ1個分のカロリーくらいなら燃やせるでしょ…。」と都合のいい暗算で自分を納得させる。
しかし、結果的にこの判断は大正解だった。YURIのラムチョコケーキが衝撃的に美味しいのだ。ナッツがふんだんに入っていて、一口が濃厚。サイズに見合わぬ満足感がある。僕はこのケーキを再び食べるためだけに、近く名古屋に戻ってくることを誓った。
YURIを後にし、以前から気になっていた本屋「ON READING」へと向かう。栄から地下鉄東山線を利用し、13分ほどで東山公園駅に到着。駅近くのビルの一室にある、隠れ家のような本屋で、ギャラリーも併設されている。通りがかりの人が、フラリと立ち寄るようなことはまずなさそうだが、客はひっきりなしに訪れてくる。それだけ多くの人を惹きつける店なのだろう。
ON READINGのコンセプトは「感じる、考える人のための本屋」。独自の視点でキュレーションされた古今東西の本が所狭しと陳列され、Tシャツや民芸品などの雑貨も販売している。タイトルや装丁が魅力な本が多く、結果的に文庫本と歌集を購入した。最近は目当ての品をAmazonで買うことが多いが、本屋ならではのセレンディピティはやはり楽しい。
ON READINGで思いの外、長時間居座ってしまった。夜は仕事関係者と食事の予定が入っているので、栄に戻り、ビストロ「ランプール」に向かう。食べログの「100名店」にも選出されており、口コミの評価も高い店なので、数日前の予約で4人席を確保できたのは幸運だったのかもしれない。
店内はこぢんまりとしていて、ヴィンテージテイストの家具や照明が温かなムードを生み出している。テーブルも周りが気にならない配置になっていて落ち着く。食事の前に「本日のグラスワイン」を注文。赤・白はもちろん、スパークリング、食後のデザートワインもあり、選択肢は豊富だ。
食事は一皿一皿が素晴らしいクオリティーで、評価が高いのも頷ける。生ハムはしっとりと柔らかく、リエットは脂がまろやかで食べやすい。いずれも天然酵母パンと一緒にいただく。その他にも平飼い卵と旬の具材を使用したオムレツや、黒にんにくソースがかかったローストビーフ、マヨネーズの効いたレンコンサラダ、里芋のコロッケなどを発注。ボリュームもあるので、4人とも満腹になった。是非また来たい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？