連合の芳野会長と日本共産党

 連合が、衆議院選の野党共闘は、共産主義社会を実現するための手段だったと総括しました。

 連合の芳野会長は、共産党は民主主義の党でないと主張していました。

 共産党の志位氏は、これに反発します。

産経新聞の下の記事によると、芳野氏が

共産は指導部が決めたことを下におろしていくトップダウン型で、民主主義のわれわれと共産の考え方は真逆の方向を向いている(下の記事より引用)

と主張したのに対し、志位氏は、

党運営も民主主義を大事にしている。民主主義の党ではないとおっしゃるのであれば全く違う。事実と異なると申し上げておきたい(下の記事より引用)

と反駁しました。

 芳野氏は、日本共産党と共産主義の本質を理解していると思います。

 私は繰り返し何度も他の記事で主張してきましたが、共産主義における「民主主義」とはプロレタリア民主主義、つまり、プロレタリアートによる独裁です。プロレタリアート独裁は、マルクスもレーニンも提唱していましたし、中国やソ連などのマルクス=レーニン系の共産主義国家も掲げています。日本共産党は、綱領の「五、 社会主義・共産主義の社会をめざして」において共産主義社会を目指していると宣言していますし、同じく綱領の「三、 二一世紀の世界」(8)ではスターリンが批判される一方、レーニンについて肯定的に書かれています。↓

↓下の過去記事もご覧下さい

志位氏が過去のツイートでマルクスを評価することもありました。↓下の過去記事もご覧下さい

同じ「民主主義」という言葉を使っていても、共産主義で言う「民主主義」と日本や欧米で一般的に使われる「民主主義」の間には大きな違いがあるのです。↓下の過去記事もご覧下さい

 そして、党規約の第一章第三条において、日本共産党は、「民主集中制(民主主義的中央集権制)」という制度を採用しています。↓

「民主集中制」という言葉には「民主」という言葉が使われていますが、中国共産党も採用している制度で、ソ連などやはりマルクス=レーニン系の国に多い仕組みで、一部の上層部の命令は絶対という上意下達型のシステムです。これこそまさに芳野氏が「共産は指導部が決めたことを下におろしていくトップダウン型」と主張した根拠なのです。

 芳野氏は、日本共産党や共産主義の本質を理解しているように思います。日本共産党や共産主義で言う「民主主義」や「自由」の考え方は、日本や欧米で日常的に使われる「民主主義」や「自由」の定義と相いれません。その上で、主な支持政党である立憲民主党に対して共産党と組まないように主張したのは正しかったでしょう。

参考文献

産経新聞政治部「絶対に誤りを認めない政党 日本共産党」産経新聞出版、平成28年(2016年)p.174

マルクス、エンゲルス「共産党宣言 共産主義の原理」(大月書店, 1972)

若林悠・著、桑野隆・監修「風刺画とアネクドートが描いたロシア革命」現代書館、2018

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