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【カルト問題の難しさ 反宗教なら問題ないのか?】

*写真はレーニン廟

カルト問題について調べていると、「カルト」というレッテルを貼られやすい新興宗教だけでなく、伝統宗教にもカルト性があるという問題に突き当たります。このような事情から、そもそも宗教そのものが良くないのではないか、と考える人もいるでしょう。しかし、それも早計ではないでしょうか?

例えば、共産主義の思想は宗教に否定的ですが、カルト性を有しています。暴力革命や、日本や欧米における一般的な意味での独裁が前提となった思想だからです。また共産主義は、マルクスによる「宗教はアヘン」という言葉からも分かるように宗教に否定的な思想を持っていますが、そうした思想を元に宗教弾圧が行われることもありました。ロシア革命後のロシアやソ連でほぼ一貫して宗教に否定的な政策が取られたり、中国の文化大革命で宗教的な物を破壊する運動が起きたのはこのためです。

*この動画でも詳しく解説されています。

「宗教が悪い!」という主張も、反宗教的なカルトの主張である可能性があるので、注意する必要があります。

人間の生活とは元々、真の意味で宗教とは分離できないものです。特に言葉は、その言語が生まれることとなる背景となった宗教的な考えを無意識のうちに反映しています。日本語の「ありがとう」には、日本的な宗教観が反映されています。ロシア語の「ありがとう」「スパシーバ」や感謝を表す動詞「ブラガダリーチ」もキリスト教と関係のある言葉です。また、キリスト教的な世界観に基づく暦も使われ続けていきます。宗教を忌み嫌っていたボリシェヴィキも、世の中から宗教の影響を完全に排除することはできなかったのです。安易に「古いものは良くない!」と切り捨てるのではなく、自分が意識しないうちにいる変え難い昔からの考え方が日常生活の中に反映されていることを自覚し、それを尊重しながら生活していくのが良いのではないでしょうか?