地方で可決された選択的夫婦別姓の意見書について 賛成派が多数派って本当?

 選択的夫婦別姓を求めるために各自治体の議会に提出され、可決された意見書を見ていると、気になる点がありました。

 なんと、平成29年の内閣府の世論調査の結果のうち、選択的夫婦別姓に賛成している人と通称使用拡大に賛成している人を合計して、選択的夫婦別姓に賛成している人が多数派とした意見書を使っている地方議会が少なくないことが判明しました。

例えば…

江戸川区

平成30年2月に内閣府が公表した世論調査において、夫婦同姓も夫婦別姓 も選べる選択的夫婦別氏(姓)制度の導入に賛成または容認すると答えた国民 は66.9%であり、反対の29.3%を大きく上回った

新宿区

平成30年2月に内閣府が公表した世論調査において、夫婦同姓も夫婦別姓も選べる選択的夫 婦別氏(姓)制度の導入に賛成または容認すると答えた国民は66.9%であり、反対の29. 3%を大きく上回った

全てではありませんが、こんな感じによく似た内容の意見書を使った自治体が少なくありません。

 異なるバリエーションとして、富田林市の意見書をご紹介します。

平成30年2月に内閣府が公表した世論調査において、夫婦同姓も夫婦別姓も選べる選択的夫婦別氏(姓)制度の導入に賛成すると答えた国民は42.5%であり、反対の29.3%を大きく上回ったことが明らかになりました。

 しかし、29年の内閣府の世論調査の原文と照らし合わせてみると、

選択的夫婦別姓に賛成する人にあたる、「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望している場合には、夫婦がそれぞれ婚姻前の名字(姓)を名乗ることができるように法律を改めてもかまわない」と答えた人は42.5%で、旧姓使用の拡大賛成者にあたる「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望していても、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだが、婚姻によって名字(姓)を改めた人が婚姻前の名字(姓)を通称としてどこでも使えるように法律を改めることについては、かまわない」と答えた人は24.4%でした。江戸川区や新宿区の意見書で、「夫婦同姓も夫婦別姓も選べる選択的夫婦別氏(姓)制度の導入に賛成または容認すると答えた国民」として紹介されていた「66.9%」という割合は、選択的夫婦別姓に賛成する人と通称使用拡大に賛成する人を合計した割合であることがわかります。ちなみに、「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきであり、現在の法律を改める必要はない」と答えた人は29.3%で、これを旧姓使用拡大賛成派と足すと、過半数になり、選択的夫婦別姓推進派を上回ります。つまり、本当は選択的夫婦別姓に賛成する人はそうでない人よりも少ないのに、江戸川区や新宿区および富田林市などの意見書では、あたかも選択的夫婦別姓に賛成する人の割合の方が多いかのように書かれているのです。

 同じような内容の意見書が各地で可決されていることに驚きを隠せません。可決される前に、ソース元については確認されなかったのでしょうか?