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<日本灯台紀行 旅日誌>2022年度版

<日本灯台紀行 旅日誌>

第14次灯台旅 能登半島編

2022年10月-12.13.14.15日

#9 三日目(3) 2022-10-14(金)曇り、時々晴れ

道の駅氷見

どこをどう走ったのか、15時前には、目的地でもあり、車中泊地でもある、道の駅氷見に着いた。新しい車のナビは、かなり正確で、使いやすかったので、安心して案内を任すことができた。なので、道を間違えることもなく、ほぼ快適なドライブだった。薬を飲んだから、アレルギーの発作もおさまり、体調も悪くはなかった。さてと、かなり遅い昼食というか、早めの夕食というか、とにかく、マグロを食おう。

店に入った。普通の広さの店だ。二組くらい客がいた。ボックス席に一組、やんちゃな感じの三十代くらいの男が四人、食べ終わって、何かの打ち合わせをしているようだ。カウンター席は夫婦連れだな。愛想のない、若い女の子の従業員に、夫婦連れからひと席離れた、カウンターに案内された。

板さんは、若いのが一人だけ。こっちもやや愛想がない。店は、ま、回転ずし仕様だ。お茶などもセフルで、注文はタブレットでする。回転寿司は何度も行っているので、注文のやり方を聞くという、恥っ晒しはしないですんだ。

タブレットを見た。すべてにおいて、ややたかめ。しかも、売り切れが多くて、品数が少ない。いやな予感がしたが、今更どうしようもない。マグロの赤身が二貫で¥380。鉄火巻が一皿、四切れで¥380。これはあきらかにたかい!ま、いいや。あと、ツミレの汁物を頼んだ。寿司は、目の前の若造が握っているらしく、すぐに出てきた。マグロは、まったりとしてうまかった。鉄火巻は普通。ツレミ汁はまずい。

本来ならば、こんな店は、これで<おあいそ>にするべきだ。だが、腹が空いていたわけで、そのあとも、何皿か頼んだ。マグロはいいとしても、ほかのネタは、表面が乾いていたりして、まずかった。はじめの予感が当たったわけだ。うまいまずい関係なく、まだ、いくらでも食べられそうな気がしたが自制した。

会計も、愛想のない女の子だった。時間的な問題なのか、店内に従業員は二人しかいないだから、接客と会計は、当然女の子の仕事になる。ま、とにかく、うまければ別だが、五皿一椀で¥2200は、高いなと心の中で思った。やはり、観光地での飲食は、下調べを十分にするべきだ。

店員の愛想は悪いわ、寿司はまずくて高いわ、踏んだり蹴ったりだ。不満足な気分で、店を出た。まあ~、こんなところで寿司を食う自分が悪い。気分を変えて、今度は温泉に行こう。そう、この道の駅の隣には温浴施設があるのだ。

車を移動して、温浴施設の駐車場に入った。けっこう車が止まっている。駐車するところに迷って、何度か場所を変えた。というのも、小心で、いやらしいが、一台分の駐車スペースが狭いので、万が一にも、ドアの開け閉めの際に、ぶつけられたら嫌だなと思ったのだ。以前にも二、三回、ドアの角で傷つけられたことがあり、ややトラウマになっている。どこのどいつだか、まったく頭にくることが多すぎる。新車でまだひと月と経っていない。かなり神経質になっていた。ま、場所を選んだとしても、ぶつけられる時は、ぶつけられるのだ。

半自動ドアに手をかざして、温浴施設の中に入った。回転ずし同様、この手の施設にもよく出入りしているので、気後れすることはなかった。まず履物を、100円玉ロッカーに入れる。この百円玉は、帰るときには戻って来る。次に、自販機で入場料を払う。¥650だ。五百円玉を二個入れたが、一個が戻ってきてしまう。何回か繰り返したが、だめだ。すると、カウンターの奥にいた親父が、こちらでやりましょうと声をかけてきた。ややエラそうな態度だったから、店長なのかもしれない。

温泉は二階だということで階段を上がった。その際、一階の様子をちらっと見た。二十畳くらいの乱雑なラウンジの奥に、休憩所兼食堂があった。人は誰もいなかった。全体的に、古くて、場末感が漂っている。ま、きらいじゃないから、いいけど。

脱衣所は狭くて、やや密になっていた。ここにも百円玉ロッカーがあった。衣類を脱いで、手ぬぐいとシャンプー類をもって中に入った。ほとんどが地元の爺だが、若いのもいる。若いのは、俺もその中に入るのだろうか、車中泊の連中だろう。そう言い切れるのは、隣の道の駅で車中泊する者にとっては非常にありがたいが、施設の<格>からして、遠くからわざわざ入りに来るような温泉ではないからだ。

湯舟は十畳ほどのものが二つあり、ジャグジーもサウナもあった。洗い場もかなり広い。脱衣所の狭さに比べて、これは意外だった。持参したシャンプーで、頭を念入りに洗った。三日に一度シャンプーしないと、頭がくさくなる。今日がちょうど、その三日目だ。湯舟にも洗い場にも、人はまばらだった。駐車場には、五、六十台以上の車が止まっていたので、ちょっと不思議に思った。
体も、持参したナイロンたわしで、しっかり洗った。ふと横を見ると、爺たちが使いっぱなしにした、腰かけや洗面桶を、黒っぽい服を着た男性が片付けに入って来て、ささっと用を済ませて、すぐに出て行った。施設の格から言って、これもまた意外だった。そういえば、足ふきなども清潔なものが敷かれてあった。設備は古いが、管理はちゃんとしている。

さてと、温泉に入ろう。壁に、温泉の温度が大きく表示してあった。ひとつは40.5度、もうひとつは41度だった。これなら、俺でも入れる。まずはぬるい方から入った。案の定、熱いと感じないで体を沈めることができた。しばらくして、隣の、お湯が緑色のジャグジーに入った。手すりが三対あるから、三人入れるわけだが、自分が使用している間、誰も来なかった。ここではかなり長い時間、くつろいだ。

次に、熱い方の湯船に少し浸かった。窓の外には、露天風呂がある。気になったので、すぐに出て、ドアを開けて外に出た。外気がヒヤッとした。椅子に座って、目を閉じている中年がいて、あと何人かは、浅そうな露天に使っていた。その隣に、炭酸湯という看板が壁にあり、若者が神妙な面持ちで入っていた。

露天はさほど熱くなく、いい感じだった。寝ながら入れるような場所もあり、親父が一人、目をつぶって仰向けになっていた。隣にそっと入って、しつらえてある石の枕に頭をのせ、手すりにつかまって、体を支えた。すると、体は湯の中に沈むが、中心部分に、出っ張っているものがあるから、そこだけは、空気中に出ている。隣の親父も同じ態で、見栄えがいいとは言えない。だが、青天井には大きな雲がゆっくり動いている。すぐに立ち去るわけにはいかないだろう。しばしの間、雄大な自然と一体化して、寝湯を楽しみたいとおもった。

あと一つ、興味半分に<炭酸湯>に入ってみた。効能はいろいろ書いてあったが、どうも自分には合わなかったようだ。シモの話が多くて恐縮だが、フクロが、チリチリして、違和感を感じた。大昔、軽トラの運転手をしていたころ、<副睾丸炎>にかかって、タマの奥が痛くなったが、ひょっとしたら、その後遺症なのかもしれない。もう、いいだろう、十二分にくつろいだ。シャワーを浴びて、温泉から出た。

脱衣所も洗面所も、狭いから、やはり密だったが、ささっと、立ちまわって、一階に降りた。冷えた、壜のコーヒー牛乳でも飲みたい気分だったが、場所的に、その気になれずに、半自動ドアに手をかざして、外に出た。どれどれと、近寄って、愛車を目で点検した。傷はついていなかった。当たり前だ。横に止まっていたのは、さっきと同じ車だった。

高くてまずかった寿司のことはすっかり忘れていた。だが、腹が減ったように感じだ。さもありない、シャリの極端に小さい寿司を十個ほど食べただけだ。カロリーが足らないんだ。駐車場を出て、ファミマに向かった。菓子パンやジュースを買って、道の駅ではなく、氷見公園の駐車場へ向かった。あそこの方が、開けていて、景色がいいからな。

到着すると、思いのほかに車が止まっていた。昨日とは、比べものにならない。ああ~今日は金曜日か、と根拠のない納得の仕方をして、車中泊スペースに入り込んだ。多少暑いような気がしたので、ドアは少し開けておいた。外の様子を見ながら、買ってきた、菓子パンなどを食べはじめた。

どうもここは、ワンコの散歩をする人間が集まって来るところらしい。というのも、防潮堤際の東屋には、外水道もついていて、そこでワンコに水を飲ませたり、脚を洗ったりすることができるのだ。現に、そのような行為に及んでいる人間がいるではないか。

それに、何というか、ワンコの散歩をしている人間のほとんどが、ウンチ袋を持っていないのも解せない。まあ~広いからね、その辺はおおらかに考えているのだろう。ああ~、黒いミニバンが、横をすり抜けて行った。駐車場内だぞ。見ていると、黒いジャージ姿の、ガタイのいい女子が三人出てきた。広場の方へ行って、キャーキャー騒ぎながら、スマホで写真を撮ったりしている。運動部の合宿できているのだろうと思った。ま、それにしても、常識がないな。

さらに、東屋の方から、これまた、黒っぽい服装の男女が、こちらに歩いてきて、大きな声で、<川越ナンバーが止まってる><懐かしいでしょう>なんて言っている。その川越ナンバーの車の中に人がいるとは思ってもないのだ。見ていると、少し離れたところに止まっていた、これまた黒いミニバンに乗り込んでいった。三、四十代くらいで、二人とも、トッポイ感じだった。人が多くなると、どうしても、気に障る連中が増えるものだ。それも、最近は、三十代、四十代といったところが多いような気がする。何しろ、礼儀というものをわきまえていない。オタクだって、人のことは言えないでしょ。

道の駅に戻った。あたりが、ややうす暗くなってきた。今晩は、おとといの晩の教訓を生かして、トイレ前の、車中泊の車が密集している場所から距離を取ろう。何しろ、広い駐車場だ。かたまって、車中泊することもないのだ。すると、同じようなことを考えている人間もいて、はぐれ鳥のように、ポツンと真ん中に、あるいは、物陰に隠れるようにしている車も何台かあった。

着替えを済ませ、寝る準備に入った。すると、あろうことか、さっきの黒のミニバンが、少し離れたところに止まった。中から、例のガタイのいい女子三人組が出て来た。ええ~~、よりによって、なんなんだ。みていると、ワイワイ騒ぎながら、まだ明かりのついている店の方へ行ってしまった。食事をしに来たのかもしれない、と思ったが、しばらくして戻って来て、走り去って行った。

PCで音楽を聴きながら、横になっていた。メモ書きをつけることなど、ほとんど忘れていた。いい気分で、うとうとしかかっていた。しかし、このまま眠るわけにもいくまい。せめて、PCの電源くらいは消さないとね。起き上がって、PCを操作した。ランタンの明かりも消した。持参した、小さな目覚まし時計を見た。まだ20時半だったが、あたりは真っ暗で、街灯の明かりが煌々としていた。

あの時は思わなかったが、温泉に入ったことと、ザイザルを飲んだこととで、眠くなっていたのだ。あ~、今日も、ほぼ計画通りに動いて、いろいろなことができた。それに、道の駅氷見での車中泊も二度目ということもあり、不安や緊張感が、まったくなくなっていた。

明日は、帰宅日、ヒスイ海岸に寄って、石を拾って帰ろう。ヒスイの原石でなくたっていい、きれいな石ならいいんだ。生地鼻灯台は、たとえ天気がよくても、パスだな。ロケーションが悪すぎるし、第一もう写真を撮るのが億劫だ。そのまま、とろけるようにして、寝入ったような気がする。

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