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クリスマスがクリスマスになったわけ

現在散々揶揄されている1980年代のいわゆるバブル期のクリスマスは、当時はその上の世代に対するカウンターカルチャー的な意味合いを持っていました。

島耕作の若い時代に相当する昭和中期は、サラリーマン主義が疑念なく正当化されていた時代で、クリスマスの過ごし方も、会社の同僚とキャバレーに行って酔っぱらい、家に帰るといった具合で、三角帽子で騒いでケーキをお土産に帰るサラリーマンにはなりたくないと思っていた1980年代の若者は少なくなかったと思います。

そんな時代、作り置きのバタークリームじゃないケーキを買うことや、彼女とホテルに泊まることも含めて、背伸びした消費をして、彼女と夜を過ごすというのは、新たな時代の自己主張でもありました。

渋谷のスクランブル交差点の真ん中でキスをして、通りすぎる中高年から白い眼を向けられても、上司の誘いを断り帰宅し「近頃の若い者は」みたいな視線を受けても気にしない、だって今日はクリスマスだから。そういった一種の解放感があったと思います。

「彼女へのプレゼント」も、上の世代のような「俺についてこい」みたいな旧来の男性像とは違った「女の子にサービスする男」としての新しい男性像の意味合いがありました。

そういった視点で考えると山下達郎の(女々しい)クリスマスソングの意味も違って見えるのではないかと思います。

https://www.youtube.com/embed/ONIzg3MSoIY?rel=0

ちなみに山下達郎は1953年生まれ、おそらく彼と同年代のフォーク世代からは軟弱視されていたと思います。

けれども、現在では1970年代のフォークソングを聞く人はめったにいないけど、彼の作品は今でも聞き継がれ、広く愛されています

よいクリスマスをお過ごしください

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