中部地方の石造物㊲:野田宝篋印塔(髪の塚)

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名称:野田宝篋印塔

伝承など:虎御前の供養塔

所在地:静岡県島田市野田 髪の塚


静岡県島田市野田の島田市民病院のすぐ近くに、「髪の塚」と通称される宝篋印塔がある。

覆屋の中にあり、石仏とともにまつられ、この宝篋印塔自体も信仰対象のようであるが、伝承では「島田髷」の考案者である虎御前の供養塔と言う。

島田髷は江戸時代初期に島田の遊女の髪型から発祥したと言うが、地元では『曽我物語』で知られる曽我兄弟の兄曽我十郎祐成の愛妾・虎御前が考案したとされており、現在も地元では虎御前を偲ぶ「島田髷祭」が開催されている。

宝篋印塔は塔身が欠損して別石になっているためバランスが悪いが、南北朝時代の作である。

おそらく、江戸時代以降になって虎御前と島田髷が結び付けられた際に、地元にある古石塔であることから、虎御前の供養塔と言う伝承が生じたのであろう(なお、写真は数年前に調査に立ち会った際に撮影したもので、普段は宝篋印塔の前には賽銭箱があり、全景が少しわかりにくくなっている)。


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