マガジンのカバー画像

【ライブラリ】notes

3,211
Excellent curation of the noters, a truly inspiring compilation of content:
運営しているクリエイター

2023年4月の記事一覧

温もり

この記事はマガジンを購入した人だけが読めます

最近、「実話に基づいた映画」の素材が多すぎないか?

ネットフリックスでよく鑑賞するジャンルの一つとして、「実話に基づいた映画」があります。「え!こんなことがあったの!」と驚き、最後の方に「現在、本人は孫と一緒にマイアミで平和に生活している」などと出てくると「う~ん、よかったねー」と安心するアレです。「現在、2400年代までの刑期で本人は服役中」というぞっとするのもあります。 こういうのをたくさん観ていると(観すぎていると?)、ニュースの見方も変わってきます。自分に即、直接関係ないと思われる事件も、映画製作のネタとして見えるこ

【試し読み】『『ドライブ・マイ・カー』論』

アカデミー賞国際長編映画賞、カンヌ国際映画祭脚本賞、全米批評家協会賞4冠などに輝いた濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』。この映画がなぜこれほどまでに世界を席巻したのか? 日本人でもあまりピンと来ていない部分もあるかと思います。 弊社4月新刊『『ドライブ・マイ・カー』論』では、そのタイトルの通り、アメリカ、日本、香港、台湾、韓国の研究者が本作について徹底分析を行い、その魅力にせまります。また、濱口監督ご自身による各論考へのインタビューも収録します。 今回は、編者の佐藤元状

歴史のことばNo.21 伊藤敏『歴史の本質をつかむ「世界史」の読み方』の読み方

各所で話題になっている伊藤敏先生の『歴史の本質をつかむ「世界史」の読み方』をご恵贈賜りました。 具体的なところに目がいってしまう質なので、特に読みでがあったのは、「より深い理解へ導く見方」とうたう第Ⅲ部である。 さらに読み進めていくと、なんと「モヒの戦い」が! モヒの戦いなんて、高校世界史の教科書には載っていない。 じゃあモヒの戦いなんて必要ないんじゃないのか? 単にマニアックなのではないのか? さらにその後には、イギリスでもフランスでもなく、なんとスイス(盟約者団)

From our Editors ── 二つとない地図を描く

止まることなんて想像もしていなかった「まちの機能」が停止した2020年3月 ──。COVID-19のパンデミックは、あらゆる生活様式を飲み込み、私たちが暮らす世界の様相を一変させました。 もちろん、ネガティブな変化は数知れず。しかし、私たちは引き換えに、新たな街の「読み解き方」を手にしたともいえるかもしれません。 例えば、今まで素通りしていた路地に足を踏み入れたり、「もう都会にいる意味ってないかもね」と思い立って見知らぬ街に移住したり、バーチャル空間上に現れた街でもう一つ

歴史のことばNo.20 西平等『グローバル・ヘルス法―理念と歴史』名古屋大学出版会、2022年

この3年、国際保健協力については色々と読みあさる機会があったが、その集大成というか、総整理にふさわしい書籍だった。 おそらく初めに読むものとしては、偶然COVID-19の初期に刊行された下記がよい。 アジア(特に日本と中国)の果たした役割については下記。 むしろ、マラリア対策については、マラリア対策中心に国際保健協力の手法をたどった、下記所収の脇村氏論文を先に読んでおいたほうが、理解がすすみそうだ。 テクノロジーか社会改革か さて、本書を踏まえてシンプルにいえば、国際