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アメリカ往復日記 #8|ボストンで身に沁みる寒さと温かさ

ボストン寒い事件

ボストンに列車が到着したのは、予定の8時より少し前だった。清々しいほどの快晴であるが、その分、朝の空気は非常に冷たい。

いつものようにホームで写真を撮った後、駅のロビーへと向かったのだが、寒さのあまり、しばらくはボーっとして動くことができない。駅の電光掲示板、その下の各お店でパンやコーヒーを食べる他の乗客を眺めながら、時間を過ごす。

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パンフレットを集めたのち、意を決して着替えのためトイレへ。防寒用にミズノのアンダーウェアとヒートテックタイツを装着。9時過ぎ(そんなに待機してたのか!)にいよいよ駅を出発。まずはボストンコモンという市内の公園へ向かう。

フリーダムトレイルを辿る

ここにあるMassachusetts State Houseが、今回のレース、いや、違う、観光の目玉であるフリーダムトレイルの出発点となっていて、これは、道路にある赤い線に沿って市内を巡ると、アメリカ独立までの歴史がわかるというもの。

※フリーダムトレイルについては、こちら参照。

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そして、ここボストンコモンにも同じく、クリスマスの朝だというのに、そして、こんな寒い朝だというのに、ランナーがいるのだ。そう、この旅は、シカゴ・ニューヨーク・ボストンと、アメリカの3大マラソンが行われる都市を巡る旅でもあったのだ。

他にも幾人かの観光客が地図を手にフリーダムトレイルを歩いており、旧州議事堂や教会を巡る。名所の間は適宜走ることにして、これは時間も交通費も節約できるし、その上、体も暖まっていいじゃないかと言いたいのだけれど、走ることに意識が行ってしまったために何回か足元の線を見失った、というのは本当。

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後半のアップダウンと寒さ対策がレース(だからレースじゃない)の鍵だったけれども、無事に、(いや、実際はいくつか行きそびれた場所があったけど、)ゴールのBunker Hill Monumentへ到着。

クリスマスの朝ということもあるのだろうが、ボストンはなんて静かで穏やかな街であることか。治安の良さが納得できるだけに、その分、昨年のボストンマラソンでの悲劇は住民にも大きな衝撃を与えたのだろう。

Monumentまでの道は長く続く上り坂になっているのだけれど、この道にすらトレーニングに励むランナーがいたことに驚き。というか、道には雪はそんなに残っていなくて、全然走れるコンディションだったな。ボストンの地でAdidasのダンニングシューズのbostonを履いて走ることができたのにな、と思うけれども、やはり荷物のことを考えたら、持って来なかったのが正解だと思う。それから、道行く人に道を訪ねて、地下鉄のオレンジライン、Community College駅へ。

オレンジラインで彷徨う

ここで、なぜだか1日乗車券を買わせようとする駅係員のおばちゃん(親切だったのだろうか?)を振り切ってone-way ticketを購入し、Downtown Crossingで下車。ところがこの時、一昨日NYのユニクロで買ったばかりのオレンジの手袋をなくしたことに気がつく。それと同時に、焦りのせいか、今、自分がリュックを一つしか持ってないことに気がついて、これは本当にまずい、と冷や汗をかくが、そうだ、今朝、一つはボストン駅で預けてきたんだった、と思い出してひとまずほっとする。

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それで、手袋だ。まずは来た道を引き返すこととし、乗ってきたCommunity College駅まで引き返すと、心当たりのとおりに、そこでオレンジの手袋を見つけた。改札外の窓際に、先ほど『地球の歩き方』を広げるために座ったベンチの上。

んで、ちょっと癪だったのだけれども、しばらくすると例のおばちゃんが電話をかけながら現れたものだから、手袋を忘れた旨を伝えると、「私が改札を開けて待っておいてやるから自分で取って来い」、と言う。いや、だが意地悪をされるのでないかと多少疑いながらも、改札を抜け手袋を取って戻ってくると、おばちゃんはちゃんと通してくれたじゃないか。ありがとう、そして、疑ってすまんかった

レッドラインでも彷徨う

というわけで2回目のDowntown Crossing駅で、今度はRed-lineに乗り換えてHarvard駅へ、というつもりが、次第にウトウトし出した結果、降りる駅を寝過ごした。というか、電車が目的地のHarvard駅の隣の駅に到着したところでまさに目が覚め、ミスったと思いつつその駅で逆方向の列車のホームに移動し、(というのもこの駅は上りと下りの線路が上下に重なる構造となっており、乗り換えのためには階を移動しなくてはいけなかったのだけれども、)そのホームにやってきた電車に乗り込むも、何か様子が違う。どうやら、次の停車駅はHarvardではなくDavisというところだったのだ。

ここで頭の中を整理する。つまり、最初に一駅分だけ乗り過ごしたと思っていたのだけれども、実際はそうではなく、終点までたどり着いて折り返した後にHarvard駅の手前の駅で起きたのだと。だもんだから、慌てて乗り換えた電車は、最初に乗ろうとした電車と同じ方面に進む、というわけでDavis駅、これはすなわちHarvard駅の二つ奥の駅なのだけれども、に到着したのだ。

ハーバードでの妄想

その後、やっとの思いでHarvard駅に到着した後、階段を上がると、ハーバードスクエアに出る。忘れていた寒さを思い起こす。ハーバード大学のキャンパス内を散策し、この道はセオドア・ルーズベルトも歩いたのかもしれない、この階段はジョン・F・ケネディも上ったのかもしれない、という勝手な妄想を繰り広げる。

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周りにも、いくらか観光客がいるのだけれど、見かけるアジア人は皆中国人ばっか。いい感じの若い夫婦に写真をとってくれと頼まれたときは、俺のことをハーバードの学生だと思ったのか、あの建物は何かと聞かれたのだけれど、すみません僕も観光客ですと答えてその場を後にした。

歴史のあるそのキャンパスを周ったあとは、コンビニで昼食のサンドイッチを買い、近くのスターバックスヘ。やはり温かい飲み物も欲しくなったので、ジョージ・W・ブッシュも飲んだかもしれない(もうええわ)ホットチョコレートを注文。

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マスターのお兄さんが、とても素敵なカフェアートを描いてくださって、これは気分が上がるね、後ろに並んでいたおじさんは歓声を上げたりして。店内はだいぶ混み合っていて、ここには"本当の"ハーバードの学生と思しき人たちが難しい顔をしていたり、もちろん休憩する人も多くいたり、思い思いに時間を過ごす。

ここでもまた、いい感じの男女に写真を頼まれて、クリスマスのスタバでの思い出の写真となってくれればいいんだけど、撮った写真を確認してもらった時に、「いいね、ありがとう」と言われたことは、ホットチョコレート以上に僕の気持ちを温めてくれたかもしれない。

さらに続くボストンの散策

一息ついた後は、ボストンを散策。Massachusetts Ave.を南へ進み、MITを通過するものの、やはりここでも見かけるのは中国人ばかり。Harvard Bridgeを渡ってFenway Park、MFA Bostonボストン美術館を回る。

2013年のワールドチャンピオン、ボストンレッドソックス。上原・田沢の両日本人選手の好投を目にしたのは記憶に新しいところ。あなたたちの姿に、日本人の誇りを感じました。というわけで、スタジアムにはすでに2013年のチャンピオンフラッグが掲げられてあった。(そういえば、この年、レッドソックスの選手の間でヒゲをはやすことが流行っていたっけ。)

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ボストン美術館は、本日はクリスマスで休館日であることは分かっていたのだけれど、外観だけは拝もうと言うことで訪問。そう、つまりこの旅は、はたまたアメリカの三大美術館、メトロポリタン、シカゴ、ボストンを巡る旅でもあったわけです。

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帰り道、イルミネーションが煌びやかなNewbury Streetを歩く。レンガ造りの建物が並ぶ通りに各お店が入っていて、本当にきれいでしたよ。でもやっぱクリスマスってことで、お店はどこも閉まっているから、人影はまばらだったな。

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再びボストンコモンへ。凍っていた川の上を歩いて渡ったり、ライトアップされた州議事堂をカメラにおさめたりで、South Stationに戻ってきたのは夕方5時、いや、夕方といってもだいぶ暗いもんな、夜5時過ぎ。

それからは預けていた荷物を受け取り、少し先の目的地、New OrleansとLAでの宿泊先をおさえ、明日の朝食を買って、マクドナルドで夕食を済ますと(マックラップって意外といけるんだなということが分かったしそれにしてもチーズバーガーの出来はひどかった)、21時30分発のNortheast Corridorに乗車。

この頃になると、9時間の旅なんて、寝る時間を挟むとなればもはや何にも感じない。後ろの席に座っていた、たぶん台湾人であろう、目が丸く可愛らしい女の子がいたが、座席を倒すときにすこし嫌そうな顔をされた。Wi-Fiが使える路線であったが、あまり覚えていないや、とりあえずは適当に時間を潰した後に眠りについたのだろう。

今日の一曲

「Boston Bag」というアルバムの収録曲だったので。

BIM - Tokyo Motion feat. 高城晶平



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