言葉
言葉って 宝だと思うんだ
これがなきゃ具体的にならない事柄を具体的にすることで 自分を助けることもあるし、他の人と同じものを共有できるから
言葉って 力をもっている
それに救われてで生きられる人もいるし、それに傷つけられて命を絶つ人もいる
言葉遣いは品性。
その人の人となりを表す。
そんなことを考えながら小説を読むと、小説って作家さんの感覚や、人生を少し覗けるものなのかもしれないってわくわくした。
かがみの孤城 / 辻村深月
辻村さん、読んだことがなかった。
ハードカバーで600ページくらいある長編なんだけど、後半3分の2を一気読みした。2周目、好きな言葉を書き留めながらも多分3日くらいで終わった。それくらい引き込まれる話だった。
noteで重大なネタバレを踏んで、興味を持って読むことにした。
ありがとうネタバレ(笑)
ちょうど(書いている時点での)昨日、金曜ロードショーで映画が地上波初放映だったそうですね。
全然知らなくてびっくりした。
描写が本当に上手い。私が主人公と似た気質をもっているのもあるとおもうけれど、全部わかる。
そうなんだよ、そう思うんだよ、そうなってしまうんだよ って
私の感じていることをいくらか言語化してくれているような感覚。
「言葉がいい」というより、「描写がいい、分かりすぎる」から片鱗だけを拾っても別物になってしまうのではないかと、好きな言葉の書き出しは少し躊躇した。
でも、未来の私は、そこに今の私が感じたのと違うものを感じるかもしれない。その言葉から記憶が呼び戻されるかもしれない。なによりこれを忘れたくない気持ちが大きくて書くことにした。
登場する大人のうち、一番主人公を助けてくれた人。
わたしはこんな人になりたいと思った。弱い人の声をちゃんと聴ける人。困っている人に寄り添える人。人のために闘える人。
私の言語能力じゃ何を言っても陳腐だけど、こんな人になりたいなと、強く、強く思った。
一番わかるシーンはここ
弱い人は、強い人に気を使って考えて生きている。
どうしたらうまくやれるのか。どうしたらよかったのかと考え、それでも傷つけられながら生きている。
強い人は、弱い人のことをあまり考えない。
自分が正しいと思っているし、弱い人の存在にも気づいていないのかも。
強い人は声が大きい。自分たちの世界でしか生きていない。味方をすぐに作る。
弱い人は、声をあげられない。強い人と自分たちの世界が違うことを悟っている。そのうえで強い人に押しつぶされてしまう。弱い人にとって自分の味方はいないようにも思える。
私は悪くない、おかしくないと思いながらも、信じてもらえなかったらどうしようと不安でずっと苦しむことになる。
このシーンはこころが、言葉が通じない存在に気が付く、もうダメなんだと気が付くところ。
私がこれに気が付けたのは、高校生の時だったかな。こころはもう気が付いたんだなと。
このことをちゃんと書ける辻村さんってすごいなと。
一番好きなセリフはこれ
私に沁みすぎる。
人のために何かしたい。嫌なこの人にもそれなりの事情があるはずだって、許してしまうそうになる。
私が我慢すればって思う。
でもそれはその人の事情でしかない。
自分がそこまでしてあげる義理はない。
私が苦しむべきではない。
こんな感じで いろいろ考えた本でした。
いままでの日常系はどこか知らない人の話だったけど、これは''私の話''だった。
みんなのところにも、そういう、信頼できる人がいますように。その人があの子たちの力になってくれますように。
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