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喜びのある人生を送るために

立ち直る力、というものに昔から強い興味があります。
キャリアデザイナーとして日々「どうしたらよく生きられるか」を考えているのですが、私自身の根が小心者なので、「苦難を乗り越えるには」に目がいきがちなのだと思います。

過ちや失敗は誰にでもある。
それだけではなく、時にはどうしようもない不公平・不公正・不条理にさらされる時もある。それを好機や挑戦と捉えられるか、絶望して身を任せてしまうかは、「よく生きられるか」と繋がっているのではないか。

そんなことを思って本を読みました。

元FacebookCOOのシェリル・サンドバーグが、最愛の夫を突然失ってしまった時に書いた本です。人生の絶望から立ち直るための、回復までの具体的なステップについて解説されています。

人が苦難から抜け出せない理由

心理学者のマーティン・セリグマンは、人が失敗や挫折にどのようにして対処するかを長年研究し、「3つのP」が苦難からの立ち直りを妨げることを明らかにした。すなわち自責化(Personalization:自分がすべて悪いのだと思うこと)、普遍化(Pervasiveness:あるできごとが人生のすべての側面に影響すると思うこと)、永続化(Permanence:あるできごとの余波がいつまでも続くと思うこと)である。

OPTION B: 逆境、レジリエンス、そして喜び

「同じことをぐるぐる考えて気が沈んでしまう」というときは、だいたいこの3つのPが絡んでいると思います。特に、真面目なひとほど、自分に責をおかないことを”逃げ”だと感じがちです。

つらいできごとが「自分ひとりのせいではない、すべてではない、ずっとではない」ことに気づけば、子供も大人も立ち直りが早くなることを、多くの研究が示している。

OPTION B: 逆境、レジリエンス、そして喜び

世の中はどうしようもないことがある。それは全く逃げではない。「ここで逃げたら、今後ずっと逃げるのではないか」ということも全くない。そんなことは決まってないのです。
自分をゆるして、相手をゆるして、何度でも這い上がることができます。

「ボタン」があることが救いになる

本の中に、ストレスに関する実験が紹介されていました。
 ・ランダムな感覚で発される不快な騒音を聞かせる
 ・集中力が求められるパズルなどの課題に取り組む
 ・騒音のせいで集中が途切れてミスを連発される
 ・参加者の一部に、騒音を止められるボタンを渡す
 ・ボタンを与えられた参加者は冷静を保ち、ミスもなく、いらだちもみせなくなる
 ・なんと、実際にボタンを押した参加者は一人もいなかった

つまり、「自分でコントロールができる」という認識自体が、ストレスから救ってくれるのです。

私自身も、大きな失敗やプレッシャーで眠れない夜があります。でも年々、その眠れなさは短くなっています。

30歳になって初めて、母親に「仕事で不安なことがあるから聞いてほしい」と自分から電話をしました。
これまで大学も就職もすべて自分で意思決定してきて、仕事に没頭する姿を見せてきたから、”こんな私を見せたら、逆にすごく心配させてしまうのではないか…”という気負いもあったけど、とても親身に、かつ気丈に相談に乗ってくれました。(「大丈夫」「でもその仕事を選んだのはあなただから」と諭してくれた。)

この経験で、私はボタンを手に入れました。「助けをもとめていい」という経験は、人生において重要なボタンです。

今も気持ちが落ち着かない時、周りにとても助けられています。過密スケジュールの中「いつでも助けるから!」といってくれる上司、気遣ってLINEをくれる同僚、見守ってくれる家族や友人たち。「ボタン」をくれる存在は、身の回りにいます。

喜びのある人生を送るために

つらいことがあると、「喜び」自体を感じることに罪悪感を感じてしまいます。でも、人間である限り、「喜び」はとても大事なものです。

「自分は喜びを求めていいんだ」と思うことから、物事は始まっていきます。苦難にうちひしがれる時間を短くして、前をむく勇気を持つ。その先に、刹那的な快楽じゃなく、難しい現実と共存してこそ得られる、充実した喜びというものがあるのかなと思います。

前を向くヒントがほしい、と思うときに、ぜひこの本を読んでみてくださいね。

おわり

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