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【夏の風物詩】冷や汁

猛暑と言うより酷暑と言えるような日々が続いたと思えば、
突然雨が降ってジメジメとスッキリしない日もあり、
なんだかやっと身体をついていかせてると感じる今日の頃です。

さて、毎年夏になると食べたくなる一品があります。
冷や汁」です。

宮崎県の郷土料理「冷や汁」

冷や汁、ご存知ですか?
近年では定食屋のやよい軒で夏季限定で提供されているので、
食べたことがある人も多いかもしれません。

一見「ねこまんま」のようなイメージではありますが、
単に白ご飯にお味噌汁をかけたものとは違います。

魚(イワシやアジ)のすり身に、炙った味噌、すりごま等を合わせたものを、
魚の頭や骨、昆布などのだし汁で伸ばし、豆腐やきゅうり、薬味を加え、
ご飯にかけて頂きます。

冷や汁の歴史は古く、鎌倉時代には食べられていたと記録が残っているようです。

「宮崎県大百科事典」(書庫M/031/20)冷や汁(ひやじる)の項には、鎌倉管領家記録に「武家には飯に汁かけ参らせ候、僧侶にては冷汁をかけ参らせ候」と記されているとある。(p767)

https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?page=ref_view&id=1000022425

上述の通り、鎌倉時代、僧路が全国に流布した後、次第に廃れたものの、
夏の暑さが厳しかったり、冷や汁に適した食材が採れたりと、
気候風土が適した地域のみに「冷や汁文化」が残っていったとか。

宮崎県以外の冷や汁

僕の生まれた埼玉県にも「冷や汁文化」があり、「すったて」と呼ばれています。
宮崎県の冷や汁とは大きく異なる点が2つあります。

1つ目は、イワシやアジなどの魚は使いません
海なし県、埼玉県では、昔は海の魚の入手が困難だったからだと思われます。

2つ目は、ご飯ではなく、うどんと頂きます。
稲作の裏作として小麦の栽培が広く行われた為、
実は埼玉県は、香川県に続き、うどん文化もかなり根付いているからでしょうか。

埼玉県の冷や汁(通称すったて)は、ご飯ではなくうどんのつけ汁といった感じ。
画像出典:
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/33_3_saitama.html

また、味噌は炙らず、すり鉢でごまと合わせ、
きゅうり、大葉やみょうが等の夏野菜を加え、最後に冷たい水を注いで完成です。
それをうどんと共に頂きます。

小学生の頃、夏休みのお昼の定番でした。
もっぱら、毎日のことだったので、うどんと素麺、
日替わりだった思い出がありますが。(苦笑)

素麺と言えば、栃木県栃木市の「藤岡冷や汁」は素麺を使うそうです。

「入山きゅうり」「高山きゅうり」など、きゅうりの生産が盛んな
群馬県ではきゅうりをふんだんに使う冷や汁は今でも根付いているのだとか。
うどんや冷麦、素麺など一緒に食べるそう。

他にも、山形県や秋田県など東北地方、静岡県や愛知県、
熊本県や鹿児島県などの九州地方など
「冷や汁文化」が根付いてる地域は多々あります。

夏の風物詩、冷や汁を作る

それぞれ地域の特性を活かし、様々な食べ方がされている冷や汁ですが、
「鎌倉管領家記録」に記された冷や汁に近いものが宮崎県のものと言われています。

僕が毎年夏になると作るのも、この宮崎県の冷や汁です。

下準備

出し汁(正味700ml程)を取り、粗熱をとったら、冷蔵庫でよく冷やす。
豆腐1丁はキッチンペーパーを巻き、
水を張ったボールなどで重しをして水気を切っておく。

絹か木綿はお好みで。僕は木綿が好きです。
今回は真アジの開き2枚用意。

アジを魚焼きグリルで両面焼く。

良い感じに焼けました。既に美味しそう!

魚焼きグリルが空いたところで、
アルミホイルに味噌を広げ、グリルで焼きます。

赤味噌が好きですが、こちらもお好みで。

味噌をグリルで焼いている間にアジの身をほぐしていきます。
(※目を離すと味噌はあっという間に焦げるので注意!)

アジの皮と身を外し、身の部分をほぐして行きます。
当たり前ですが、小骨があるのでそれらを丁寧に取り除いていきます。

必ずしもやらなきゃいけない行程ではないですが、
小さなお子さんががいる家庭、
大人だけだとしても、口当たりがかなり変わるので、
気が遠くなる作業ではありますが、
ひたすら、じっくり、辛抱強く、小骨を取り除く事をお勧めします。

そうこうしてる間に、味噌も良い感じに焼け、
アジは体積を減らし(苦笑)、いよいよ仕上げに入ります。

きゅうりは輪切りにし、塩揉み、少し置いてから手で絞り、
みょうが大葉は千切りに。

上部中央がアジの身。皮と骨を取りほぐすと、2枚分とは思えない程減りました。

白ごま、身をほぐしたアジをすり鉢ですっていきます。
(後のせ用にアジを少し取っておいてあります)

この大きさのすり鉢は冷や汁を作る時以外に登場しません。(苦笑)

ここで、じっくり焼いた味噌を投入。
味噌の伸びが良くなるよう、冷蔵庫で冷やしておいた出し汁を少量加えます。

ある程度すったら、残りの出し汁を加え、
きゅうりみょうが大葉豆腐を手でちぎりながら入れていきます。

豆腐は手でちぎった方が、包丁で切るより断面が荒くなるので、汁の旨みを吸収しやすくなります。

完成!


残りのアジと、追いごまも加えて。

調理行程は割愛しましたが、同じく宮崎県の郷土料理、チキン南蛮も作りました。ピンク色のタルタルソースは、ピクルスではなく、
しば漬けを使ったため。

お供はもちろんビール!

と言いたいところなのですが、
ドラマ「晩酌の流儀」の影響で、金麦を飲んでみたところ、
そのキレの良さ、食事との相性の良さから、すっかり金麦のファンです。

アツアツの白米に、冷たい汁が相性抜群。

大葉とみょうがの爽やかさが清涼感を与えてくれます。

タルタルをたっぷりとつけたチキンを頬張りながら飲む金麦もまた格別!

暑さを一瞬忘れさせてくれる、そんな晩酌の時間の紹介でした。

郷土料理であると同時に、その栄養価の高さから、
注目を浴びている「冷や汁」、是非作ってみては。

最後に、僕らOffo tokyoの「Modern Romance」という曲を紹介して
終わりにしたいと思います。


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