グランドルールの機能

 場を運営する時に、その場の目的を達成するために、グランドルールを設定することがあります。何気なくつかうグランドルール。その機能となぜ使うのかを自分なりに整理してみました。ぼくが思う、適切なグランドルールの考え方を残しておきたいと思います。

◆グランドルールとは

グランドルールとは、目的を達成するために、場全体に設定する規範。

簡単にいうと、

「場を良くするために意識してほしい、ゆるいルール」

たとえば、「発言を否定しない」「人の話を最後まで聞く」「敬語は使わない」といったものです。

◆グランドルールの機能

グランドルールとして導入する機能はたくさんあります。
(少しブラックな機能に見えるかもしれません笑)

①作りたい場のイメージ共有
②固定観念の上書き
③普段しづらい行動の免罪符

①作りたい場のイメージ共有
 これは最も大きなメリットだと思います。グランドルールというものの性質上、序盤に全体へ向けての提示が行われます。その結果、今日の場・機会がどんな意図をもった場なのかを、全体に示すことができます。ルールという強いニュアンスがあるので、全体が無意識に、イメージする態度をとりやすくなります。

②固定観念の上書き
 これは何か洗脳のようなニュアンスに聞こえるでしょうか。実際そういった効果はあります。逆を言うと、日常の中で無意識に持っている固定観念をその場のみ改変する効果があります。
 例えば、全員が対等に対話してほしい場があり、そこに、「普段上下関係の厳しい場にいることが多い人」が参加することが想定されたとします。その人は、他の参加者と接するときに無意識に普段の態度が出てしまうかもしれません。こういったときに、グランドルールとして、「ネクタイを外し&シャツの第一ボタンをはずす」や「敬語を使わない」など、観念のポイントとなるものをあえてルール化すると、無意識な常識とは違うものとしてその場だけ上書きされたりします。

③普段しづらい行動の免罪符
 ルールとは言わば、「それをやってもよい」というメッセージです。そのルールによって強化される行動の心理的な安全性を高めることができます。
 例えば「誰かが話したら拍手する」や「最後にもう話したいことないかを聞く」などのルールは、本当は拍手したい、いいたいことを最後まで話しきりたい、など、思っても普段憚られやりづらいことを、満を持して行える免罪符のような働きがあります。その行動に対する同調圧力を作ることができます。

◆いいグランドルールとは

①すること/意識することが明確
②目的がわかる
③心理的な圧力がない

①すること/意識することが明確
ルールとして提示するということは、それを見た参加者の行動や意識を変容させることが目的となります。逆に、参加者がそれを見て何をしたらいいかわからないものは設定しても意味がありません。

②目的がわかる
内容がわかるにとどまらず、なぜ参加者がそれをするのかが伝わることが大切です。意図がわからない指示はどんな人でも嫌なものです。グランドルールの機能として、作りたい場のイメージ共有を上げましたが、それを達成するためにもこの要素は必要です。

③心理的圧力がない
 それを行う参加者に負担がかからないことが大事です。この指示の提示を受けた参加者が、それをすることに嫌悪感や圧力を感じると、その場自体への心理的安全性が下がることがあるかもしれません。心地よく参加してもらうためにも、無理なルールは設定しないように気を付ける必要があります。
 もし、若干圧力があるものの場合は、その圧力を先にアイスブレイクなど別の形でほぐすという方法もあります。例えば、「拍手する」ということがなかなか難しそうであれば、アイスブレイクなどで慣れていくということもできます。

◆グランドルールには目的がある

上で挙げてきたように、どんなグランドルールにも目的、つまり「理想とする場のイメージ」があります。

最初の例で言うと、
・「発言を否定しない」→委縮せずに発言ができる場
・「人の話を最後まで聞く」→しっかり聞きあい理解し合う場
・「敬語は使わない」→みんな対等に接し合う場
といったものです。

そういった、このルールを設定することで作りたい場の方向性、が存在することがグランドルール設定では大事です。グランドルールを考えるときは、まずここから考える必要があります。考えるステップは下の「グランドルールづくりのステップ」で解説しています。

逆に、適切ではないグランドルールとは、「目的に沿わない/目的がないルール」のことです。

そのルールを守ってもなんら意味のないルールは、参加者にとって無駄に窮屈な印象を与えてしまいます。そのため、必要がなければ、グランドルールを設定しない、という選択もありです。さらに、必要最低限のルールを設定するのがよいでしょう。

◆グランドルールとすべき基準

参加者に対して少し窮屈な印象を与えかないグランドルール。そのためむやみに設定するのではなく、グランドルールとして設定すべきか否か、ということを考えることがあるでしょう。そのために基準を目安に考えるとわかりやすいです。

①それがなければ、コンテンツの中だけでは心理的安全性を醸成するのが難しい
②それがなければ、多くの人が持つ固定観念がワークを阻害しかねない
③その規範が、その時間全体を通して意識して欲しい姿勢である。

ルールとして設定すると窮屈になることがある以上、設定しなくともいい場面も多々あります。

◆グランドルールづくりのステップ

作りたい場はどんなものか?
その要素はなにによってもたらされる?
参加者のどんな行動が必要?
その行動を強化するルールとは?
そのルールを強化する場づくりは?

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