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”ラストマイル” 今年1番の映画かも。

”2024年問題”今年に入る前から多くのメディアで取り上げられていた問題。荷物配達の世界ではドライバー不足、再配達、低賃金、オーバーワークなど深刻な労働環境にいるということも周知の事実。しかし、私は今日、”送料無料”の商品をネットで購入した。
配達員さんたちのおかげで、私たちの生活は成り立っていると言っても過言ではない。新しいCD、コスメ、服が届くと考えただけで幸せな気持ちになれる。配達業は幸せを運ぶ、尊いお仕事だと思う。しかし、私たち消費者の幸せが働いている人の幸せに成り立っているわけではない……。


少しだけ過大解釈かもしれないけれど、それくらいのメッセージ性がある映画でした。当初は「アンナチュラル」と「MIU404」と世界線が繋がっていると知って、観ることを決めました。けれど、それは客引きだったかもしれません。すごく悪く聞こえますが、なるべく多くの人に興味をもってもらい、お客さんの心にメッセージを届けるのが目的のように感じました。

このnoteでは、私なりに受け取ったメッセージを書いていきます。
少しネタバレしてしまうかもしれないので、映画を観てから読むことを推奨します!


あらすじ

ブラックフライデー前夜、届いた荷物は爆弾だった――
日本中を震撼させる4日間。
11 月、流通業界最大のイベントのひとつ“ブラックフライデー”の前夜、
世界規模のショッピングサイトから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。
やがてそれは日本中を恐怖に陥れる謎の連続爆破事件へと発展していく――。
巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、
チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)と共に、未曾有の事態の収拾にあたる。

誰が、何のために爆弾を仕掛けたのか?
残りの爆弾は幾つで、今どこにあるのか?

決して止めることのできない現代社会の生命線 ―
世界に張り巡らされたこの血管を止めずに、いかにして、連続爆破を止めることができるのか?

すべての謎が解き明かされるとき、
この世界の隠された姿が浮かび上がる。

公式サイトより

劇場で主題歌を聴くだけで価値がある

最終的に映画館に行こうと思った決め手は、これです。米津玄師さんの”がらくた”という曲を聴いて、これは劇場で聴こうと思い立ちました。”ラストマイル”の世界観に相応しい、壮大だけれど優しく温かいバラード。
「壊れていても構いません」
という、廃品回収業者のキャッチコピーから着想を得た、と初耳学で仰っていました。今回の映画の舞台、新品を運ぶ配達業者とは真逆の存在であることも何か強く惹かれるものがあります。
私は、この曲を先に聴いて予習してから映画を観たので、エンドロールで号泣しました。米津さんの曲ってかなり日本語が聞き取りやすいから、初めて聴いても歌詞がわかりやすいんじゃないかな? 劇場で泣く人は泣くと思います。

働いている人に観てほしい

劇場にいたのはほとんど大人でした。中には働いている人も多くいるんじゃないかな。
あのネットショッピングサイトの世界的大手がモデルになっているのは間違いないし、そのもとで働く人(会社員、派遣社員、配達ドライバー)のリアルを描いているのも確かです。冒頭にも書いた通り、現在の物流の問題提起をしているようにも感じました。だから、現代人は観た方がいいと思います。
それに加えて、働いている人にはより刺さると思います。

父と母の話

私の父は中学校の教師で、母は国家公務員です。物流の会社でもなければ、配達業者でもありません。けれど、映画を観ている間に父と母のことを考えました。父はいつも残業をし、生徒のことで緊急事態があれば休日を削る。母は責任を負うのが嫌で昇進を恐れている。国のために身を粉にして働いているようで、私は小さい頃から公務員には絶対にならないと決めています。もちろん、大切な仕事だとわかっていますし、いらない仕事なんてこの世にないんじゃないかとも思います。
父は半年ほど前、母は現在進行形で仕事内容や人間関係で悩んでいます。働けば働くほど、責任と仕事が増えていく。その辛さは社会人じゃないと、わからないのではないかと思います。だからこそ、そういう状況にいる人に観てほしい映画。

本当のブラックフライデー

ブラック企業と言われていなくても、ブラックな仕事環境はあると思います。パワハラ気質な上司や、関わりにくい同僚、同調圧力や過度なプレッシャーはごろごろ転がっている。世界的な大企業でさえ、そうなのかもしれません。
―—ブラックフライデーが怖い
という作中の言葉は、止めてはいけない、必要不可欠な仕事だからこその責任と重圧からくるのではないかと思いました。流通している荷物の10%が止まるだけで1億円の損失がある、という衝撃の事実。働かないといけない、休めない、失敗できない、れっきとしたブラックな環境ですよね。まさに、ブラックフライデー。壊れていても稼働させ続けなければならない。止まらないということは、終わりが見えないということ。そんな状況に絶望したんじゃないでしょうか。

壊れていてもいいということ

ネットしょんピングでは返品サービスがありますよね。何か少しでも欠陥があれば、返品されてしまう。新品の商品には完璧に機能すること、完璧な姿が求められる。人でも同じで、職場や学校で完璧を求められることも多いと思います。私もそのひとりで。生徒会長というレッテルがプライベートでも剥がれなくて、気負いすぎて、傷ついてしまいます。
”ラストマイル”でも、悩みを抱えて苦しんだり、傷ついたりしてきた人が多く登場します。それでも、働く。生きる。傷ついていてもいい、がらくたでもいい、という裏テーマが映画、主題歌を通してあったような気がします。

終わりに

上手く表現できたかわからないですが、とにかく誰かに観てほしいと思って書きました。受験生なんですが、自分の機嫌をとってたまには映画観て、感想書こうと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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