短い任期で長い間の慣習を変える生徒会
生徒会活動をしていると、現代の潮流に合わない慣習を変えたくなる場面に遭遇することが多々あります。しかし、実際には生徒会役員が変えたいと思っているものの大半は変わらないまま学校の慣習として存在し続けることになっているのではないでしょうか。そんな中、半年という短い任期で、文化祭の慣習を変更した大分県立佐伯鶴城高校生徒会にその秘訣を伺いました。
佐伯鶴城高校生徒会概要
文化祭運営
まず佐伯鶴城高校の文化祭(通称:鶴城祭)では、文化祭のテーマを決定してからそれに即したイベント内容などの企画を行っていきます。
テーマ
文化祭のテーマは生徒一人一人から意見を募り、
その後、文化祭実行委員長の選考を経てテーマが決定します。
その過程を経て、今年のテーマは「パレット」に決定しました。
この「パレット」には、それぞれの個性や多様性など、それぞれの⾊を持った鶴城祭にしようという意図が込められています。
生徒会企画
①オープニングムービー&CM作成
佐伯鶴城高校生徒会は文化祭においてオープニングムービーと有志の発表の間に流すCMを作成しました。三年生から選出されるMCが面白い人やこの先生がこれをしていたら面白いのではと考えて人選を行います。
今年は「アイドル」をテーマに動画撮影・編集まで行いました。
➁カラオケ大会
今回は例年の「女装男装コンテスト」を廃止して、カラオケ大会を開催しました。その方法としては、まず参加したい人を募集。その次に三人の審査員が盛り上がりや表現力の観点から応募者を審査をして、最終的に応募者の中から優勝を決めるというものでした。
※審査員は生徒会顧問&文化祭実行委員長&MC二人の内一人から構成
③借り人競争
カードに書かれた人を連れてきて一緒にゴールを目指す借り人競争を行いました。
慣習を廃し、カラオケ大会を始めた理由
今年、佐伯鶴城高校は旧来の「女装男装コンテスト」を廃止しました。それは生徒の総意から生まれたパレットというテーマにおいて、多様性を重視していく中で、女装男装は個人のアイデンティティを脅かしかねないという理由からでした。ここからも生徒が誰でも楽しめるようにという生徒会役員の楽しむことへの情熱が伺えます。しかし、なぜ長年続いた慣習を半年という短い任期の内に変えることができたのでしょうか。
理想を実現できた理由
その理由は、佐伯鶴城高校生徒会の選挙体制に隠されていました。
選挙体制
①会長のみ競争選挙を行う
➁その他の生徒会役員は生徒会長と顧問で⾯接を行い、なぜ生徒会活動をしたいのか、就任したらどういうことをしたいのかを質問し、回答をもとに決める。
この過程を経ることで、生徒会内にもともと信頼関係が築けている上で活動を行うことができるので、半年という短い任期でも活発な活動を行うことができます。選挙体制の恩恵について生徒会長が語ってくれたたことからも、この制度の良さを垣間見ることができました。
編集後記
「ルールメイキング」という言葉が人口に膾炙してきている昨今。慣習を変えるという事は簡単そうに見えますが、これは字面よりも地方の学校にとっては難しい現状があります。しかしそんな中で生徒のために楽しく慣習を変えようとしている佐伯鶴城高校生徒会を含め全国の生徒会がより生徒のために活動できることを切に願っています。
【取材担当】
大地優香(生徒会活動振興会 事務局兼編集部)
門脇一真(同会 事務局)
【文】
大地優香(同会 事務局兼編集部)
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