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シニアの方向けのサイト作りから、未来のプロトタイプを創造する実験室PJ、働く場所の新しい選択肢を提案するシェアオフィスまで。

こんにちは。セイタロウデザインのプロデューサーの小林(@asuca_mcl)です。

冒頭の画像は、事務所の屋上なんですが、この時期は本当に気持ちがよくて、春はいいなぁとつくづく思います。

それでは、昨年9月からスタートした企画シリーズ「今月のニュースレターの裏側」。

社内のみんなが快く協力してくれるおかげで、どんどんボリュームアップしていますが、今回は、先日アップした前編(vol.7|TOPIC編)に続いて、後編(vol.8|WORKS編)をお送りします。

前回の記事はこちら↓

セイタロウデザインでは、名刺交換をしたクライアント・パートナー会社・メディアの方々に向けて、月に一度ニュースレターを配信しています。
その月にあったニュースから、最近納品・お披露目したプロジェクトをご紹介しているのですが、せっかくなので、これからnoteで、このニュースレターの内容を、個人的なコメントや担当したスタッフのインタビューと一緒にご紹介していこうと思います。

【WORKS_1】三井不動産レジデンシャルウェルネス
ウェブサイト・ガイドライン

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三井不動産レジデンシャルウェルネス株式会社は、三井不動産レジデンシャル100%出資の会社として2017年に設立され、「シニアのためのサービスレジデンス」の営業・運営を推進しています。今回、パークウェルステイトブランドのサイトの立ち上げと、ユーザビリティガイドライン制作のお手伝いをしました。
本サイトはブランドサイトとして、目的とする情報に適切に送客するプラットフォームの機能を担っています。シニアの多様な価値観を内包し、より自分らしく生きるための新しいライフステージとして住まいを位置付け、その魅力がシニアに直感的に伝わるようデザインしました。
また、ユーザビリティにおいては、シニアへのインタビューを通じて各デザインルールを再定義。文字サイズやジャンプ率、導線や色彩設計、ボタンサイズなどの見直しを抜本的に行い、シニアにとってみやすく使いやすいサイトを目指すとともに、ブランドとしての高級感や品格を両立するよう配慮しました。今後増加するシニアユーザーと企業間をつなぐ、適切なコミュニケーションをクリエイティブの視点からサポートしていきます。

今回は、三井不動産レジデンシャルウェルネスが展開する、シニアのためのサービスレジデンス、パークウェルステイトブランドのサイトの立ち上げと、ユーザビリティガイドラインの制作をお手伝いしたのですが、世界に先駆けて高齢化が進む日本において、これからシニアの方向けのコミュニケーション戦略やデザインはますます重要度が増してくると思います。

プロジェクトを担当したデザイナーの野村に、シニアの方向けのサイトとして、デザインで工夫したことやこだわりのポイントについて聞きました!


Q. 「シニアのためのサービスレジデンス」のウェブサイト・ガイドライン設計でしたが、ターゲットを理解するために工夫したことはありますか?

A. 高齢者が将来感じている不安なことを調べることから始め、住居に関する考え方、高齢になった時の生活上のトラブルなどもリサーチしました。

シニア向けのウェブサイトとなると、どうしても老人ホームのような介護色が全面に出るサイトが多く、三井としての高級感は担保しながら、ゆったりとマージンを大きく取るなど老人ホームのようなサイトにならないように工夫しました。

さらに、活字メディアに慣れているシニア層であることから、新聞などのジャンプ率をリサーチして、書体は高級感とユニバーサルデザインに考慮したF+UD-筑紫明朝を使用しています。(野村)

Q. シニアの方へのコミュニケーションとして、デザイン上で工夫した点はどんなところですか?

A. パークウェルステイトが考える高齢者住宅の考え方、建物に対する創意工夫など、三井不動産様が伝えたいメッセージではなく、ターゲット視点で、住む人が安心できるメッセージになるよう整理するように心がけました。(野村)

Q. ユーザビリティの観点で、こだわったポイントはどこですか?

A. やはり、UDフォントを採用していることで、活字メディアに慣れているターゲット層なため、小さくて読めないなどのストレスで離脱しないように可読性は注意して設計しました。

そして情報が乱雑にならないように、なるべく写真を多用することは避け、写真のアスペクト比も揃えるようにページ内のリズムも整理するようにしました。

シニアターゲットを意識したサイトはこれからも増えていくと考えており、一つの参考指標になれば嬉しいです。(野村)

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Q. 今後、パークウェルステイトブランドがどのようになってほしいと思いますか?

A. 青井社長のインタビューの際に、「サザエさんの波平は54歳、ちびまるこちゃんの友蔵は77歳。今、自分たちはどうなるのか。」というのが印象的で、人生100年時代とさかんに言われている昨今、さまざまなシニアのライフステージがあり、お客様や社会の変化の中で、シニアがすまうことの選択肢のひとつとして、「自分の生き方が選べるというのは、チャンス=豊かである。」ことが共感できる社会になってほしいと思います。(野村)


【WORKS_2】もしもラボ
ブランド設計・コピー・ロゴ・ウェブサイト

「社会課題先進国の日本で、多様化する課題に取り組む人たちを、アイデアやコミュニケーションの力で支え、社会課題が生まれない未来をデザインしたい」そんな思いから、業務提携している日本初のソーシャルグット専門の「ひとしずく株式会社」との共同運営事業として「もしもラボ」を設立し、社会課題を解決するプロトタイプの企画開発および外部との共創事業を手がけるプロジェクト・プラットフォーマーとして事業を開始しました。
事業名である「もしもラボ」は、いま可能なことからの逆算ではなく、もしもこんなアイデアが実現したら、きっと社会を変えられる。そんな自由な“思考“と、絵空事で終わらせない“試行“を持った、「行きたい未来のプロトタイプを創造する実験室」という意味を込めています。また、事業立ち上げに際し、ブランドコンセプトとなるパーパス・ビジョン・ミッション・ロゴを制作。
ウェブサイトは、サイエンスとナチュラルのエッセンスを取り入れ「実験室」のコンセプトを強調。従来のエコ文脈とは異なる、実践的なプロジェクトオリエンテッドの姿勢を表現しています。また、無彩色を基調としてフォントの扱いでメリハリを出すことで、個性的なプロジェクト群を強調しつつ、それぞれのキーカラーと馴染むよう設計しました。
今後も、社会課題解決や企業におけるCSR・CSV活動に貢献するプロジェクトを発表していく予定です。

https://moshimo-lab.com/

セイタロウデザインと、ソーシャルグッド専門の後方支援ファームであるひとしずく株式会社は、昨年4月にソーシャルグッド関連事業における業務提携をしました。

そして、それから何度も議論を重ね、事業開発を行ってきましたが、そのひとつである「もしもラボ」がやっとローンチ!2月にプレスリリースも配信しました。

今回はプロジェクトメンバーである、コピーライターの松本とデザイナーの竹林にインタビューしてみました。

Q. 「ひとしずく株式会社」との共同運営事業である「もしもラボ」の可能性についてどのように考えていますか?

A. ソーシャルグッドに大切なのは、社会課題を解決したいという想いはもちろんですが、アイデアとリアリティの両立が欠かせないと思っています。

「もしもラボ」の特徴は、実践的で柔軟なスタンスを重視したプロジェクトオリエンテッドな姿勢で、優れたアイデアを実現することを何よりも大事にしています。

デザインの視点から生まれたアイデアを具現化し、クラウドファンディングで出資を募ったり、親和性の高い企業同士をマッチングしたりと、あらゆる選択肢から最適解を導き出せる。目的までの企画力とフットワークの軽さは、大きな強みだと思います。(松本)

Q. ブランドコンセプトとなるパーパス・ビジョン・ミッションを設計するにあたって、こだわったところを教えてください。

A. 私は解説文となるボディコピーを担当したのですが、メインコピーが伝える独自性を、力強さを損うことなく、かつ協業の可能性のあるステークホルダーに共感していただけることが重要だと考えました。

そのため、共感しやすい話題を切り口に、語りかけるような口調で読み解いていくことで、コンセプトがより開かれた形で伝わるように配慮しました。(松本)

Q. ロゴをデザインするにあたって、どのようなコンセプトを込めましたか?

A. “個人“や”企業“、または“社会“そのもの、それら間にさまざまな『つながり』を創りだしていくという意思を込めました。(竹林)

Q. ロゴデザインでこだわったポイントを教えてください。

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A. なんといっても“M”の形状です。課題を抱える社会とアクションを起こしたい人をつなぐ、しなやかな“架け橋“となるような想いを表現しています。

また、ゴシック体をベースにやわらかなカーブを加えることで、実験室のような堅実な姿勢(試行)とデザイン思考による柔軟な発想(思考)という、もしもラボの行動原理をフォルムに取り入れました。(竹林)

Q. WEBサイトを作る上でどのような世界観を目指しましたか?

A. サイエンスとナチュラルのエッセンスを取り入れ「実験室」のコンセプトを強調しています。

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また、ソーシャルグッド系のサイトは柔らかめのイメージのものが多いのですが、もしもラボはフォントや画像の扱いで“重厚感“を出しています。

この重厚感が実験室というコンセプトとマッチし、視覚的にプロジェクトの実現に対する信頼性を高められるよう意識しました。(竹林)

Q. デザインやユーザビリティの観点で工夫したところを教えてください。

A. もしもラボのサイトはもしもラボだけのものではありません。

掲載するプロジェクトにとっては、もしもラボが唯一の社会へのフロントとなる、ということも想定し、それぞれのプロジェクトの個性や魅力を訴求できるようなサイトを目指しました。

具体的には、無彩色を基調としてフォントの扱いでメリハリを出すことで、個性的なプロジェクト群を強調しつつ、それぞれのキーカラーと馴染むよう設計をしています。(竹林)

Q. 今後、もしもラボがどんな風になってほしいと思いますか?

A. もしもラボが発信するような、社会課題解決へ向けたプロジェクトは、発信側はもちろんですが、なにより受け取る側の意識が重要になります。

今、あまり社会課題について考えていないような人にも、「おっ、これは?」と目に留まるような個性的なプロジェクトの発信を続け、個人、ひいては社会の意識を引っ張っていってほしいと思っています。(竹林)

実際にもしもラボでは、CO2削減のためのプラットフォーム「20300.jp」や、「食」についてともに学び合う学び舎 “foodskole(フードスコーレ)”などのプロジェクトが動き出しています。

今後ももしもラボの活動にご注目ください。

【WORKS_3】+CREW(タスクル)
設計・インテリアデザイン

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金沢市昭和町のビル一棟を使ったシェアオフィス 「+CREW」(タスクル)の設計及びデザイン業務を担当しました。
サイズ感や賃料の関係で長い期間空き物件となっていたビルを、現代のニーズに合うように再構築し、2Fをフリー及びパーソナルスペース、3Fを個室とし、様々な業態の企業や個人を受け入れる金沢発のシェアオフィス空間を生み出しました。
コロナ禍で働き方や働く場所も多様化していますが、金沢市においてはカフェや自宅以外で働く環境を探すことは難しい状況がありました。その中で新たな選択肢を作ることを考え、様々な什器や空間演出を各エリアに配置し、有機的なマテリアルやカラーを空間に入れ込むことで多様性のある空間を表現しています。
また、フリースペースにはパーソナルブースを設置し、個人の空間や感染予防を意識しながらもレイアウト変更も可能となるフレキシブルな什器を設計し配置しています。

続いて、金沢のビル一棟を使ったシェアオフィスのプロジェクトについて。こちらは、多様な空間を内包して、今後の新しい働き方にも対応できる空間になっています。

プロジェクトを担当した、セイタロウデザイン金沢代表の宮川に話を聞きました。


Q. サイズ感や賃料の関係で長い期間空き物件となっていたビルを再構築したと聞きましたが、具体的にはどのような課題があったのですか?またそれをどのように解決したんですか?

A. 立地は金沢駅からも徒歩圏内、1Fがピロティとなっており駐車場付きと魅力的な物件でしたが、一棟貸しの状態となっており、賃料や面積が微妙で、入居に際しての1番のネックでした。

2,3Fを分割で貸し出す案も検討しましたがセキュリティ面や収支の関係で難しい状況でした。その解決策としてシェアオフィスをご提案させていただきました。(宮川)

Q. 金沢発のシェアオフィスとして、東京とは違う点もありましたか?特に工夫した点はどこですか?

A. 金沢ではあまり馴染みのないシェアオフィスという選択肢ですが、地域の方々にも使ってもらえるようフリースペースは極力安価で入居できるように設定いただきました。

使っていただくことを第一義として捉えることと、難しい仕組みのソフト面などは見送りシンプルに働く環境を整えることに注力しています。(宮川)

Q. 金沢市においてはカフェや自宅以外で働く環境を探すことは難しかったそうですが、実際にこのシェアオフィスができて、反響はどうですか?

A. 今回の施設が竣工したことに伴い、働く場所の新しい選択肢が金沢の中で増えたと感じています。

スタートアップの企業からのお問い合わせや企業のサードプレイスとしての利用が多く、当初計画していた通りの反響をいただいているのかなと思います。(宮川)

Q. これからどんなシェアオフィスになっていってほしいと思いますか?

A. コロナ禍の状況が落ち着いた後には是非施設を利用したイベントなどを開催し、金沢の起業家などが連携できる施設となってほしいと思います。

この場所をうまく使いこなせるような人材や企業が金沢を盛り上げてもらうことに期待しています。(宮川)


この場所から新しいネットワークや仕事が生まれていくのが楽しみです。

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それでは、今回のニュースレターの裏側はここまで。

近日中に、3年間の地域ブランディングプロジェクトの様子をまとめた対談記事をアップする予定なので、そちらもお楽しみに!

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