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自粛中におすすめの「太平洋戦争」本7選

 地域によっては緊急事態宣言が解除されようとしているが、今後も自粛を求められる生活は続くだろう。
 
 そんなわけで暇を持て余し、何か本でも読もうかと思っている人も多いことだと思う。自分で物事を考える力を養うにはやはり読書が一番であろうが、何でも読めばいいとうわけではないし、何を読めばいいか分からない人もいるはずだ。

 そこで今回は、僕がおすすめする大東亜戦争・太平洋戦争に関する本を紹介しようと思う。あの戦争は今や左右のイデオロギー論争ばかりに使われている。
 しかしそんな下らない論争には興味はないが、あの戦争自体には興味のある人に、特におすすめの本を紹介する。イデオロギー性もなく、単純に読み物として面白い本を集めたので安心して欲しい。

 では早速、おすすめの大東亜戦争・太平洋戦争本を紹介しよう。


1.『伊四○○型潜水艦 最後の航跡』 ジョン・J・ゲヘーガン

 あの戦争中、日本が超大型の潜水空母という兵器を開発したことはご存知だろうか?その名の通り、潜水艦に航空機を搭載した兵器だ。

 伊400型と呼ばれるそれらの潜水艦は、当時の潜水艦として超巨大な全長122メートル、基準排水量3500トン。日本から出撃し、無給油で地球上のどこへでも赴くことができ、そして帰投することが可能であった。とある作戦を決行する直前に日本が敗戦を迎えた為、具体的な戦果を挙げることはなかったが、米軍はその存在に驚愕し、接収後に伊400型は戦後の潜水艦の設計や運用に大きな影響を与え、それが弾道ミサイル発射能力を持つ潜水艦に行き着いたとされている。

 そんな潜水艦の概念を大きく覆した超大型潜水空母の誕生から最後までを、アメリカのジャーナリストが、日米双方の資料を緻密に調べ上げ、存命する当事者に直接取材して書き上げたノンフィクションがこの本だ。

 中々厚めの文庫本で、上下巻とあるが、非常にドラマチックで読み物として凄く面白い。


2.『航空戦史-航空戦から読み解く世界大戦史-』 古峰文三

 第一次世界大戦から航空機の軍事利用が始まり、第二次世界大戦では、太平洋でも欧州でも航空戦術が勝敗の決定を左右することになった。
 本書は両大戦における注目すべき航空戦を、古峰文三氏が検証していく。

 中でもインパール作戦失敗の真の要因は「補給の軽視」では無かったとする検証は本当に面白い。多くの人が抱いているあの作戦のイメージを覆すだろう。

 他にも航空機に使われる沈頭鋲というネジの話や、技術力だけでは説明できない日本本土防空戦の敗因の検証等々。もちろんあの零戦のことも書いてある。

 これも中々分厚い本だが、読んで損することはないし、何より読み物として非常に面白い。本書を読んで、不毛なイデオロギー論争から距離を置こう。


3.『沖縄決戦 高級参謀の手記』 八原博通

 あの戦争で、日本で唯一の地上戦が展開された沖縄戦。あの戦いを指揮した第三十二軍司令部の唯一の生き残りである八原博通氏が、どう米軍を迎え撃とうとしたかの全貌を描く。

 沖縄戦を日本軍司令部の視点から書いた本は、僕が知る限りこの一冊のみだ。非常に貴重な本で、沖縄戦を語る上では絶対に外せない。


4.『日本の古都はなぜ空襲を免れたか』 吉田守男

 「京都が空襲を受けなかったのは貴重な文化財があったからだ」という話を聞いたことがないだろうか?  

 だがその話は全くの嘘、デタラメである。米軍は最後まで京都を第三の原爆投下目標としていた。そんな未だに日本に蔓延しているデタラメな定説を、米軍側の資料を検証して暴いていく。

 是非とも一人でも多くの日本人に読んで欲しい一冊だ。


5.『東京大空襲 ーB29から見た三月十日の真実』 E・バートレット・カー

 昭和20年3月10日の東京大空襲を、空から焼夷弾の雨を降らせた米軍の視点から眺める。

 超空の要塞と言われたB29、日本を焼き払ったM69焼夷弾の開発秘話。そして作戦を実行した米兵たちの様々な思い。

 日本からの視点ばかりで語られることが多い東京大空襲だが、敵の視点から見るとまた違ったものが見えてくるに違いない。

 そんなにページ数も多くなく、読みやすいので、本を読み慣れていない人にもおすすめだ。


6.『彗星夜襲隊 特攻拒否の異色集団』 渡辺洋二 

 戦争末期、陸軍でも海軍でも大規模な特攻作戦が展開される中、特攻を拒否し、繰り返し米軍に対して果敢に攻撃を行ってきた男達がいたことはご存知だろうか?

 彼らは日本海軍芙蓉部隊。艦上爆撃機「彗星」を駆って夜襲戦法を発案し、特攻を拒否し続け、あの戦争を戦い抜いた男達の姿に迫る。 

※但し、芙蓉部隊は必ずしも特攻を拒否し続けたわけではなく、戦術上特攻が有効である場合は特攻を良しとすることもあった。


7.『経済学者たちの日米開戦:秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く』 牧野邦昭

 本書はあの戦争になぜ至ったのかを行動経済学の理論を用いて解明していく。

 日本はアメリカとの国力差を知らなかったわけではない。むしろかなり正確に把握していた。しかし正確な情報を持ってしても、アメリカとの戦争に突入してしまう。

 しかし本書で示される行動経済学の理論に基づくと、日本がアメリカとの開戦を決定したことに納得してしまう人もいるだろう。

 この手の本には猪瀬直樹の『昭和16年夏の敗戦』があるが、併せて読むともっと面白いかもしれない。



 




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