中国コロナ対策の変化と北京大学留学生の生活の変化
どうも!
セイタです!!
現在北京大学修士課程にて社会学を学んでいます。
先日、友人づてでN〇Kのアナウンサーより北京の現状に関してちょっとしたインタビューのようなものを受けました。そのときに、コロナ対策についていろいろ考えさせられたので、記事にまとめようと思います。
自分は2022年9月に北京大学に入学しました。その後11月20日に現地入りし、12月頭に隔離期間が終わり、自由の身となりました。12月上旬は厳しくコロナ対策が実施されていたのですが、中旬からは漸次緩和されております。
2週間という短い期間で政策が180度転換しました!そんな変化を実体験をもとに書いていきたいと思います!!!
コロナ政策転換前の生活
基本的なルール
自分が隔離終了したのが12月頭で、隔離政策が大幅に緩和されたのが12月中旬だったため、10日程度しか政策転換前の生活を体験はしていません(笑)
ただ、Wechatを通じて知り合いの中国人がどれだけ大変な思いをしていたかはわかります。
まず、2日に1回は必ず北京大学の構内でPCR検査を受ける必要があります。これを受けなかった場合は校舎の出入り口が顔認証なのですが、通ることができません。
さらに、不要不急の外出や飲み会なども自粛しようといった雰囲気があります。それもすべてゼロコロナを遂行する為です。
ただ、どうしても陽性者が出てしまうことがあります。その時どうやったかを以下の文章で書いていきたいと思います。
陽性者の疑いが出た場合(北京大学本部)
2022年11月上旬に北京大学の中国人で陽性者の疑いが出ました。その結果、授業がすべてオンラインに変更され、学校内の立ち入りが基本的には禁止となりました。このころはまだ中国に入国できていなかったのでほとんど自分は影響がなかったのですが、「たった一人の陽性者でロックダウンまでするんだな」と思っていました。
また、社会学院の教務の先生と博士と修士の学生で夜の19時からオンライン会議が行われました。そこで伝えられた内容としては、
・このままだと、いつになったら普段通り授業ができるかわからない。
・もし実家に帰ってオンラインで授業を受けたい学生がいれば、実家に帰ってもよい。
とのことでした。
北京大学は実家に帰る学生のために新幹線の駅と空港までの無料バスを手配していました。この対応の早さはさすがだなと思いました。このタイミングで一部の学生は実家に帰ってしまいました。さみしいです( ;∀;)
陽性者の疑いが出た場合(留学生寮)
2022年11月下旬に留学生の中にコロナ陽性者の疑いがでました。なぜ疑いというかというと、中国ではコストカットのためにPCR検査をは「十人一管」といって、10人分をまとめて検査しています。なので、仮に陽性になったとしても自分がかかっている可能性は単純計算で10分の1ということになります。
ちなみに、北京大学のアプリから結果は確認できます。
上記の画像で緑の「阴性」という文字が陰性を、赤の「所在阳管」という文字が10本のうちの1本が陽性であったことを表します。所在阳管≠陽性です。
また、北京大学の日本人グループでも下記のようなチャットが回ってきました。
要約すると、北京大学の留学生が本当に陽性だった場合はロックダウンだが、実は陰性だった場合はロックダウンが解除されるといった内容になります。
ロックダウンしている留学生のために朝昼晩が無料で提供されました。自分はちょうど隔離中でどちらにせよ部屋から出られなかったため、非常にありがたかったです(笑)
どのような料理が出たかは以下の記事にまとめてますので、興味がある人はぜひ!
留学生にせよ中国人にせよ、一人でも陽性者が出たら即ロックダウンということがわかります。まさしくゼロコロナです!!
コロナ政策の変換点
そんなゼロコロナ政策ですが、2022年11月下旬から12月上旬にかけて急転換します。そのきっかけとなったのが、ウイグルでの火災事件と付随して発生した白紙革命です。
ウイグル自治区ウルムチでの火災事件
まず、ウイグルでの火災事件ですが、高層住宅で火災が起こり、10人が死亡しました。その原因として、コロナ政策でのロックダウンにより、避難及び救助が遅れたという説が有力です。
中国国内でも下記のようにネットニュースになっていますが、
URLを開くと下記のような画面が出てきます。
つまり、検閲を受けて削除されてしまっています。
北京大学社会学専攻の友人や先輩たちがWechat上のタイムラインでアップしているのをよく目にしました。やはり、社会学を学んでいる人はどこの国でもリベラルな人が多いのだなと感心しました。
白紙革命
次はウイグルでの事件をきっかけに中国の都市部で起きたのが白紙革命です。これは、白い紙を掲げるだけという抗議手法で、中国の言論統制を皮肉っています。
中国で政権批判が起こるのは非常にまれです。ここ10年では特別区は除いてこのような事件は記憶にありません。
余談ですが、中国外交部の出先機関で国際公務員として働いている友人が学生に対してSNSを使ったキャンペーンをしようとしたそうです。その内容がA4の紙に思いを書いて写真をアップしようというものでした。
このキャンペーンですが中国人の上司により却下されたそうです。その理由が、「白い紙をSNSに挙げるなんて今はできない」というものだったそうです(笑)しかも、SNSといってもインスタグラムなのでそもそも中国では使用できません。それでも止められたそうです。如何に政府が気を使っているかがわかります。
政策の大幅な転換
このような状況を重く見て、習近平政権は2022年12月7日に「新十条」というコロナに対する新たな方針を示しました。この新十条ですが、中国のコロナ対策を考えるうえで非常に重要な意味を持っているはずなのですが、なぜか日本の主要メディアでにおいて全くと言っていいほど扱われてません。
新十条について
自分が「新十条」について知ったのは、2022年12月15日に北京大学と清華大学、中山大学の学生教員向けに行われた钟南山先生による今後のコロナ対策についてのオンライン講義を受けたからです。
ざっくり言えば、コロナは危ない病気じゃないから、感染予防ではなく、重症予防をしていこうといった内容になります。裏付けるデータを中国だけでなく、世界中から集めています。
中国のコロナ対策が世界にようやく追い付いた瞬間でした。以下の記事に講義の要約がされています。
以上となります。概していえば、新十条はコロナ対策の大幅な緩和といえるでしょう。
また、講義では、オミクロンの致死率の低さから、
・防疫の重心を感染予防から重症予防にしよう
・新型肺炎ではなく、新型呼吸器感染症である
などが述べられていました。
政策変更後の変化
政策変更後にまず起きたのはPCR検査の廃止でした。正確にいえば、PCR検査の義務化の撤廃でした。そのため、自分もほとんどPCR検査を受けなくなりました。その結果、PCR検査場も徐々に閉鎖されていきました。
関係筋によれば、上海ではコロナ蔓延を恐れた老人が少なくなったPCR検査場に押し寄せていたというそうです。
次に起きたのが感染者の激増です。
中国の人口の64%が感染したとありますが、自身の肌感とも合致しています。2022年12月中旬以降、研究室のメンバーもどんどんコロナにかかっていき、1月の時点ではざっくりですが7,8割はコロナにかかっているという状況でした。
また、自分は聞いたことはないのですが、「阳了吗(陽性になった)?」という言葉があいさつになっているようです。
あまりの急激な増加により、今まで実施していた隔離政策は当然継続することはできなくなったため、基本的に自宅療養となりました。
ただ、中国人は良くも悪くもコロナになれば隔離されていたので、ある意味で自分で何も考えなくてもいいといった状況でした。そのため、コロナにかかった際のライフハックのような記事が北京大学からも出ていました。
このような急激な変化に辟易とした中国人も少なくはないかと思います。実際に中国のSNSで「何が正しくて、何が真実なんだよ」と言っているだけのおじさんの動画がかなりの再生数を稼いだりもしています。
どちらにせよ、政策の変化に困惑している中国人が一部で見受けられました。
この記事は以上となります。
中国のコロナ政策は2022年12月に手のひらを返したかのような変更が加えられました。コロナ対策の変更に関しては、背景知識が必要だったり、情報が錯綜しているため、なかなか把握しづらいテーマではありますが、少しでも理解を深めていただければ幸いです。
入国時のコロナ対策に関しても別途記事を作っているので、興味のある方は以下の記事をご覧ください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
引き続きよろしくお願いいたします。
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