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好きにならない、なんて未来はなかった-推し大学生完結編-

一緒にドンキ来る?の一言でほいほいついて行く。
午前0:30からの深夜散歩。
大好きな8歳も年下の男の子との最後の逢瀬。

近所の公園を通り抜けてドンキに。
桜じゃない木の花を 桜かな? なんて言いながら歩く。
なんの意味もない会話ですら私にとってはきっと忘れられない要素になる。

手は繋いでくれないけど、腕を掴んでも振り解いたりしない。
私が離さない限りはこんな感じで関係性は続いていくんだろうか。

ドンキで買い物を終えて、なんとなくフロアを徘徊する。
こんなこともきっと死ぬまで脳内で再放送しちゃうんだろうな、それも私だけ。

買い物を終えて帰路につく。
推しの家の方面へは大きな公園を抜けていく。
いつか一緒に深夜散歩したいね、って言ってた公園を最後の日にやっと歩けた。

深夜の散歩は街にほとんど誰もいなくて、推しと私だけの空間みたい。
推しが本当に私のものになってくれたような錯覚。

道を間違えたりするの、少しでも最後のタイミングをずらしてくれてるんだろうか。
期待しすぎだろうか。

人に合わせて生きてるのを偽物だからって言うの、
すごく分かるよ。わたしもそうだよ。
私ならすべてを肯定してあげられるのに。

そんなこと言いたくもないのに推しはどんな人となら付き合えるんだろうね?って聞いた。
いやーー、無理じゃない?想像もつかない。って。


推しのことを振り回したりしなくて、でもちゃんと不安にならないように愛情を注いでくれる人、
そんなの私じゃん。

俺にしとけよ〜ってふざけながら言った本気の一言もきっと本気だって気づいてるよね。

顔も、体型も、身長の高さも、声のトーンも、笑った顔も全てが好みすぎた。
趣味も聞いてる音楽も笑いのツボも同じで、歳の差なんて感じたことないくらい一緒にいる時間が自然だった。

ちょっとめんどくさい性格も大好きだよ。
推しを推しにしてくれた両親とか兄弟とか友達とか地元とか元カノにですら感謝できる。

好きにならない、なんて未来は多分、いや絶対になかったな。

普段の低いトーンで話せるの私の前だけだって、ありがとうって、一体わたしをどうしたいんだ。

最近話題の恋愛映画に出てきたベンチに2人で座って最後のハグ。

2年後お金貯めたら東京戻るから、ってそんな延命措置しないでよ。

いっそ嫌いって言って殺してくれよ。
2年後、に引き伸ばさないでよ。
でも本当はまだ好きでいたい。
好きでいたら、い続けたら何かあるんじゃないかって思いたい。

あー好きだったな。
タクシーの窓から手を振ってバイバイ。

推しは終わりなんかくれなかった。
大好きなままおしまい。


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