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養生やまと歌 - 江戸の養生書を読む 03

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和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。
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#鍼灸

心痛に脈弦にして虚労にて 足冷え遺溺太衝の穴 - 養生やまと歌089

太衝は足の厥陰肝経という、陰器や肝、眼などと関係する経絡に所属しています。 歌の中に「遺溺(いにょう)」とありますが、尿漏れだけでなく、尿が出づらい時にもよく、尿トラブル全般に使えるツボです。 また、婦人科系の症状にも用いることもあります。 ***** 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twit

章魚はよく筋骨をまし気を助け痔漏脱肛瘀血逐うなり - 養生やまと歌088

タコは江戸時代の『本朝食鑑』には、以下のような効能が記載されています。 ・血を養う ・気を益す ・筋を強くす ・骨を壮んにす ・足少陰経の血分に入る ・痔漏 ・産後の瘀血を逐う 生食よりも煮て食べる方がよいとされ、柔らかく煮る方法として、お茶で茹でるなどとも記載されていました。 ***** 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram で

聤耳にみみもつぶれつ蝉も鳴き音の失れるは聴会の穴 - 養生やまと歌087

‪耳鳴りや耳閉感などの、耳の症状の治療によく使います。指圧刺激ですとそこまで効きがよくないですが、軽めの症状でしたら対処できるでしょう。‬⠀ ⠀ ‪片頭痛の応急処置的なツボとしてもオススメです。‬⠀ ⠀ ‪なお、聴会のみ押すよりも、以前紹介した中渚とセットで刺激するとより効果的。以下中渚の場所と押し方です…⠀⠀ ‪【耳の症状・片頭痛に】‬⠀ ‪押す順序も重要で、先に聴会を押し、その後に中渚を押します。押し方は以下のようにします。‬⠀ ⠀ ‪押す順序:聴会→中渚‬⠀ ⠀ ‪1

蜆貝湿気を下し乳をたらし暴熱を去り小便を利す - 養生やまと歌086

よく二日酔いにはシジミ汁がよいと聞きますが、本草学的にもシジミは「酒毒」を解毒するとされ、さらに味噌にも同様の作用があります。 サプリメントなども出ていますが、過剰摂取でかえって健康を害することがあるので気をつけましょう。 味噌汁で適量を美味しく飲むのがいちばんオススメです。 ***** 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも

兎も角も癖になしなばくせづかん ただ善き癖をつくるにぞある - 養生やまと歌085

体に悪いものは、手軽で、楽しくて、中毒性があるものばかり。 これに打ち克つためには、手軽でつらくない養生法を探して、習慣化するしかありません。 ・10分早く寝る ・ご飯を一口だけ減らす ・20回深呼吸する ・時々姿勢を正す…等 小さな養生を積み重ねて、不養生を克服しましょう。 ***** 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram で

栗の能腎補うて気をぞ益し 腸胃腰脚骨を強うす- 養生やまと歌084

本草学的に腎を補い、腸胃を厚くすると古来から言われ、秋オススメの食材になります。ただ、食べ過ぎると逆に腸胃を損ない、呑酸という逆流性食道炎のような状態になってしまうされますので、ほどほどを忘れずに。 ***** 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seishindo89  ht

かき貝は脾胃を調え丹毒をよく去り皮膚を細やかにする - 養生やまと歌083

  スーパーなどで多く出回るのはもう少し先ですが、今回は牡蠣の歌。以下は本草学的にみた牡蠣の五大効果です。 ・疲労回復 ・胃腸を調える ・酔い覚まし ・美肌 ・婦人病 ***** 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seishindo89  https://www.inst

寝付きには胸と腹とをいくたびも 自身静かになでさするべし - 養生やまと歌 082

‪寝る前にベッドの上で、お腹をさするのを習慣にしましょう。これは按腹というわれる方法で、心を落ち着かせたり、上った気を下げたり、臓腑の循環をよくしたりします。‬⠀ ⠀ ‪江戸時代には癇症のセルフケアにすすめていたお医者さんもいたようです。‬⠀ ⠀ ‪按腹は以下のようにやります。 ⠀ ‪【按腹法】‬⠀ ・仰向けに寝て、みぞおちの上から臍の下までを上から下に50回さする。‬⠀ ⠀ ‪・さする強さは、みぞおちは軽めに、おへそまでは中くらい、へそから下はやや重くする。‬⠀ ⠀ ‪・

からえづき咳逆肩とせな痛み 子むりがたきは中府成けり - 養生やまと歌 081

歌にある「ねむり難き」は、不眠症というよりかは、恐らくあお向けに寝ると息苦しくなる症状のことです。経穴の専門書には中府の主治症に「少気して臥すことを得ず(『鍼灸聚英』)」とあります。 この症状は、心臓に原因があることがございますので、病院で鑑別してもらうのもお忘れなく。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新

にんにくは鼻血をとむるものぞかしくだきて足の裏にぬるべし - 養生やまと歌 080

足の裏には湧泉というツボがあり、唐代の医学書『千金方』では、鼻血の治療穴として紹介されています。 鼻血は血の上逆が原因のひとつとしてあげられますが、湧泉には上逆を下げる作用があります。 ニンニクを塗るのは臭いが気になるので、お灸をしたり、摩擦して温めたりもよいでしょう。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更

あつ湯にて足を洗へば臥すごとにねふりもきざし下焦あたたむ - 養生やまと歌 079

夜に足湯などで足を温めると、寝つきだけでなく、泌尿器と関係する下焦が温まるので、夜間の頻尿にもよかったりします。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seishindo89  https://www.instagram.com/seishindo89/ 養生や

鼻の内に息肉出て鼻つまり 口と鼻とへ血出ば上星 - 養生やまと歌 078

上星は鼻の諸症状によいツボで、鼻がつまって頭がスッキリしない時にオススメです。花粉のシーズンはまだまだ先になりますが、花粉症の方は覚えておくとよいですよ。⠀ ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seishindo89  https://www.instagram

薯蕷甘く温なり又は平 腎を補い気力益すなり - 養生やまと歌 077

夏の疲れをとるために食べたい、今の時期にオススメの食材です。五蔵を癒やし、身を軽くするともされています。 また、腸や膀胱と関係する「下焦(げしょう)」の冷えをとるので、頻尿の方にも向いています。 ヤマイモは通年どこでも入手することができて、手軽なのもいいですね。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!

腹もはり女子のつかえや月水時ならざるは天枢の穴 - 養生やまと歌 075

天枢は歌にあるように月経不順にもよいですし、お腹が冷えやすかったり、下しやすかったりする方にもオススメです。 また、腹部のツボは指圧刺激よりも、家庭用のお灸の方が向いています。お灸がない場合は、以下のようにして、夜布団の中で温めてみてください。 【天枢の温め方】 布団をかけてあお向けに寝る  ↓ 両手をこすり合わせて温める  ↓ 温まった手をお臍を中心に上の図のように置き、深呼吸5回  ↓ 以上を5回繰り返す ※手は地肌ではなく、服の上に置きます *******