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養生やまと歌 - 江戸の養生書を読む 03

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和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。
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2020年8月の記事一覧

数の子は甘く温也毒はなし陽をたすけて陰を補ふ - 養生やまと歌 074

正月にしか食べないので、全く注目していなかったのですが、補益作用の優れた食材です。 ただし、本草学的には温性が強いため、食べ過ぎると体に熱をもち、喉の乾き、のぼせや胸部の不快感などが出るようです。 冬に冷たいまま生食しても問題ないのは、温性が強いためだという説も、江戸時代の『本朝食鑑』に記載されていました。 ⠀ ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 T

いたづらに身をつかはねば病いづ妻戸のくろろ虫くひもなし - 養生やまと歌 073

妻戸とは、両開きの扉のことで、「くろろ」はその扉のはめ込み部分の突起になります。⠀ ⠀ この「くろろ」は扉が開閉するたびに軸として動きます。動いているために、虫食いが起きづらいようです。⠀ ⠀ 暑いのでなかなか動く気になりませんが、体が蝕まれないように、疲れない程度に活動しないとですね。⠀ ⠀ ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Ins

喜んで悲み泣き亦わらひおそれおどろき大陵の穴 - 養生やまと歌 072

‪歌にあるように、精神的に不安定な時によいツボです。ストレスや不安感の強い時に、呼吸法と合わせたツボ刺激を行って、心を静めましょう。‬ ‪やり方は以下の通りです。 ‪【大陵呼吸法】‬ ‪1.眼をやや開け気味に軽く閉じる。‬ ‪2.まず息を吐き切ることを意識した呼吸を3回。‬ ‪3.左の大陵に指をのせたまま、鼻から息を吸い、口からゆっくり吐く呼吸を10回。続けて右の大陵でも行う。‬ ‪コツ‬ ‪・呼吸中は足の裏に意識を集中する。‬ ‪・大陵は圧迫せず、軽く指をのせるだけで

くらげよく上気をさぐる湿に吉めを明に頭風をぞ治す - 養生やまと歌 071

クラゲは昔から酢の物にされていたようで、『和歌食物本草』では以下の歌のように、「ショウガ酢」で食べるべきであるとしています。 「くらげこそ痰を消すなり気をも益す はじかみ酢にて食すべきなり」 ショウガを加えるとさらに美味しく食べられそうですね。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://

章門は臍より上へ二寸也わきへ九寸の脇肋の端 - 養生やまと歌 070

食欲不振や胃もたれにオススメのツボです。章門はツボ押しだと恐らくそれほど効果が出ないので、できれば家庭用の台座つき灸をすえるようにしましょう。慢性化した重度のものでなければ、1日1回~2回を、数日すえ続けるだけで胃の症状が落ち着いていきます。 以下の足三里を併用するとさらに良いので、ぜひお試しください。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter

黒豆は水腫にもよし食を消す胸のいきるや胃熱去るもの - 養生やまと歌 069

黒豆は瘀血や体内の冷えを散らしたり、腎を補うともされており、以下のような歌もあります。 黒豆を塩にて煮しめ常に食え腎を補う薬なりけり(『和歌食物本草』) くろまめは五蔵のふそく補益して瘀血を下し内寒を去る(『宜禁本草集要歌』) 塩で煮染める場合は、腎臓に逆に負担がかかってしまわないように、塩分はできるだけ控えるようにしましょう。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介し

胸のうちふさがるごとくまた痛み咳逆短気膻中の穴 - 養生やまと歌 068

胸部の不快感や肋間神経痛などの胸まわりの諸症状によく、母乳の出が悪い場合にも使います。このツボは背中に向けて垂直に押すことを意識しましょう。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seishindo89  https://www.instagram.com/sei

野鴨は冷甘く毒なし気を下し尿を通じ水気能く利す - 養生やまと歌 067

鴨は体の虚弱な方に向いた食材で、本草書には「補中益気」の効や、胃を調えて消化を助ける作用が記載されています。時々無性に食べたくなりますね。⠀ ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seishindo89  https://www.instagram.com/sei

胸脇に積つかえ有からえつき食進ずば粱門の穴 - 養生やまと歌 066

粱門は胃がもたれている時など、足三里と併用するとより効果的です。⠀ ⠀ 刺激のしかたは、指圧だと加減が難しいので、摩擦刺激をします。⠀ ⠀ さすり方は次のとおりです。⠀ ⠀ 【粱門軽擦法】⠀ ・両手を粱門のやや上にあて、そのまま上から下に軽くさする。⠀ ⠀ ・さする範囲は梁門からお臍の横あたりまで。⠀ ⠀ ・上下往復するようにさすらず、上から下へ一方向にさする。⠀ ⠀ ・これを30回行う。⠀ ⠀ 足三里の画像も再掲しておきます。足三里は指圧で刺激してみてください。⠀ ⠀

せり常に血の道を治し身を肥し二便通じて気をも散する - 養生やまと歌 065

こんな真夏にご紹介すべき野菜ではないですが、補血益気の効があり、月経を調えると考えられています。男女関係なくおすすめの食材なので、冬に入ったらぜひ食卓に並べてみてください。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも更新中!  https://twitter.com/seishindo89  https://www.i

五つの指屈伸成がたく肘とひじのかなわぬは中渚 - 養生やまと歌 064

中渚は手の少陽三焦経(さんしょうけい)という経脈に所属します。この三焦経は耳と関係しており、耳鳴りや耳閉感、めまいにもよく使われています。刺激は家庭用の台座型灸か、指圧刺激を行うとよいです。 【ツボ押しのコツ】 骨と骨の間にあるツボなので、指の先端を使います。骨のすき間に指先をしっかりはめて、以下の要領で押しましょう。 1.一点を垂直に押す。グリグリこねるように押さない。 2.押し込んだたまま5秒保持して、指の力をゆっくり緩める。1箇所につき5回から10回を限度に押す。

鹹き味わい多く食すれば心をやぶりて色を変ずる - 養生やまと歌 063

五味の偏食を戒める歌はこれで最後になります。 こわい歌ばかりでしたが、普通に食事をするだけでしたらこんな現象はおきません。同じものばかりを大量に連日食べ続けるのを避け、色々な味の食材を食べるように意識しましょう。 現代人の場合、五味というよりかは健康食品の類で、特定の成分を過剰摂取してしまう可能性がありますね。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Tw

辛き物多く食せば肝やぶれ筋引つりて爪ぞかれぬる - 養生やまと歌 062

五味週間の4首目は「辛(からい)」です。 辛味はかぜを引いた時に、発汗作用よって熱を下げるために用いられてきました。 体を温める目的で用いられがちですが、冷え性の場合でも、常にジワッと皮膚にとどまるような汗をかくタイプの方には、発汗作用で冷えを強めてしまうので不向きです。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。 Twitter と Instagram でも

甘きもの多く食せば腎やふれ骨髄痛み歯をも損ざす - 養生やまと歌 061

五味週間の第三首目は「甘(あまい)」です。 『養生大意抄』という養生書では、「甘物をつづけて多食すれば、中焦(ちゅうしょう)の気滞りて痞満腹痛等の病を発す。」とあります。 ここに「つづけて多食」と記載されるように、連日のように沢山食べるのは控えましょう。 甘い物に限らず、楽しみは「時々ちょっと」が養生の基本です。 ******* 養生やまと歌とは 和歌形式の養生書、食物本草書、経穴書から、養生のキホンが学べる100首を厳選し、イラストを付けてご紹介していきます。