就職内定状況調査(政策短信20201102号)
政策短信とは
地方議会議員向けに、国の政策の動向を紹介します。永田町・霞が関で決まった政策が生活にどう影響するのか、議会質問に向けたポイントなども発信します。
令和2年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査
文部科学省と厚生労働省は、令和3年3月大学等卒業予定者の就職内定状況を共同で調査し、令和2年10月1日現在の状況を公表した。
取りまとめの結果、大学生の就職内定率は69.8%で、前年同期と比べて7.0ポイント低下した。最も下落幅が大きかったのは専門学校(専修課程)の14.9ポイント、次いで短期大学の13.5ポイントであった。
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/11/1422624_00003.htm
就職環境の悪化
本調査では、近年は内定率は概ね毎年改善していたが、今回は大幅な下落となり、新型コロナウイルス感染症流行により企業の採用活動にも大きな影響があったものと推測される。
地域別にみると、中国・四国地区で▲10.4ポイント、北海道・東北地区で▲10.3ポイントと下落幅が大きい。九州地区は下落幅は▲2.5ポイントと小さいものの、就職率は64.4%と他地域と同様に低迷している。
文部科学省と厚生労働省は、引き続き、関係府省と連携し、新卒者等の雇用に関する施策の推進に努めていくとしている。
第二の就職氷河期世代が生まれる?
帝国データバンクの調査によれば、新型コロナウイルス関連倒産は11月24日時点で700件を超えている。感染流行の収束が見通せない中で、第二の「就職氷河期世代」が生まれるのではないかと危惧する声もある。
新型コロナウイルスの感染拡大は学生の就職活動を直撃し、これまで完全な売り手市場だった状況を激変させた。厚生労働省が発表した来春卒業予定の大学生の就職内定率は10月1日時点で7割を切った。顕著な影響は旅行業や航空業、飲食業など一部にとどまるとの見方はあるが、コロナの収束は見通せない。政府は「就職氷河期」の再来回避に懸命だ。
就職氷河期の影響は
政府は就職氷河期世代の支援に取り組んでいるが、1990年代の不況期の就職活動の困難さが2020年まで続いていることの証左でもある。就職市場における景気後退の影響は長期間にわたることがわかる。
バブル経済崩壊後の不況期(概ね1993年~2004年)に学校卒業期を迎えた世代のなかには、当時の不況と新卒一括採用スタイルの影響を受けて、その後のキャリアをうまく描けないまま、就労面で苦労してきた人が少なくありません。この世代における不本意非正規雇用の割合(2018年)は14.1%で、全体(12.8%)よりも高いのはその証左の一つです。
社会人デビュー時の躓きが、今も尾を引いているのです。さらに、加齢(特に35歳以降)により、企業側の人事・採用慣行等から安定した職業に転職する機会が制約されやすく、不安定な就労状態ゆえ収入が低く、将来にわたる生活基盤やセーフティネットが脆弱だとの指摘もあります。
実際にあった議会質問
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