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『カワサキW650の帰還』

カワサキW650の帰還だ。
車検が昨日終わった。そう、バイク屋から連絡が来た。
私のカワサキW650は2005年式のモデルを、2年落ちの中古で買ったもので、もう長い付き合いになる。こんなに長い付き合いになるとは思ってもみなかった。 

製造されてから18年。私が乗り始めてから16年で14万キロを走破してきた。消耗品の交換を数万㎞毎に行いながら、とくべつ過保護にすることもなく付き合ってきた。
そう、革ジャンとの付き合いにも似ている。然るべきときに埃をはらい、然るべきときに整備をしてきた。燃費もすこぶるいい。
カワサキW650は、耐久性に優れた基本的構造のシンプルなバイクの代表みたいなもので、最近の電子制御されたバイクとは違う。しかし、排ガス規制などもあり、カワサキのカタログから外れて、15年くらい経っているだろう。

消耗品を定期的に変えているとはいえ、私のカワサキW650の劣化は明らかだ。オイル染みだってある。もう、10年くらい前からの症状だ。それでも大丈夫なのが(日本製)バイクという工業製品の優れたところなのだ。オイル染みくらいで大騒ぎするライダーはいない。工業製品とは「そんなもんだ」とみんな解っている。オイル染みと、オイル漏れでは意味合いが全然違うのだ。オイル漏れは大騒ぎしたほうがいい。乗ってはいけない。コケて死ぬ。二次災害の危険もある。車だってエンジンルームや、車体の底を覗けばオイル染みくらいあるだろう。隠れた場所にあるだけで。

ついでに、日本ほど車検代が高額になる国もない。海外ではこんなにお金はかからない。みなさんが毎年払っている自動車税くらいの費用ほどしか、かからないのが普通だ。そもそも、海外では自分のバイク(車)は、ある程度は自分で整備するのが当たり前なのだろうが。ビッグモーターの件で日本中が気づきだしたのは不幸中の幸いだった。
そして、私は気づいた。まったくつまらない文章をいま書いていた。これでは終われない。エコじゃない文章だ。

上記の文章は朝書いたものだ。
私は赤城山の南麓に拡がる大室公園で缶コーヒーをを飲みながら、『一仕事』を終えた気分でいる。バイク屋に56000円を支払い、カワサキW650を受け取って来た。ほんのすこしだけ走り休憩をしているところだ。朝書いた文章がつまらないため、わざわざ大室公園まで、こうして来ている。私には大室公園でやらなければならない事があった。

私は、バイクを受け取り、ただ、赤城山の南面を走って来たことを『一仕事』と言いたいわけではない。私が思う一仕事とは、以前書いた『大室公園とデングラー』というエッセイに関連している。そのエッセイを読んでいない者にとってはわけがわからないことを、いまから書きましょう。

私はいま、40年ぶりに外で人目を忍んで、隙をつき、でんぐりがえしをしたところです。私は『デングラー』になりました。くだらない約束を守りましたよ。しかし、40年ぶりのでんぐりがえしを、私は一発で起きあがる事ができなかった。『起き上がり小法師』のように一度尻から背中へのゆり返しがあった。完璧なでんぐりがえしではなかった。いい仕事ではなかった。悔しかった。だから、この後、もう一度、でんぐりがえしに挑戦するつもりだ。その報告は夜に書いて知らせようと思う。いまは、人目が多い。この寒風のなか私同様に暇な老夫婦が散歩をしている。

私は無事帰宅した。完璧な、でんぐり返しをした。観客はカラスが一羽だった。私は立派な『デングラー』になった。
意味のわからない者が大半でしょう。ご興味のある方は、『大室公園とデングラー』という、エッセイを読んでください。


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