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原研哉さんがVIをデザインした台南市美術館1館に行ってみた

今回ご紹介するのは私の地元、台南に残る日本統治時代の警察署が美術館としてリニューアルオープンされた事例についてです。

まずは美術館の歴史から

美術館の前身である、旧台南警察署は日本統治時代の1931年(昭和6年)に建てられ、石川県出身の建築家梅沢捨次郎が設計。建築様式は当時流行っていたアール・デコ様式を取り入れています。

第二次世界大戦後は、引き続き台南市政府警察局として使われ、増築を重ねたり外観が変わったりして現在に至ります。

▲戦後は警察機関において識別を統一するために紅漆が上塗りされたが、2015年以降の美術館計画の進行に伴い、本来の黄土色を甦らせた(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A7%E5%8F%B0%E5%8D%97%E8%AD%A6%E5%AF%9F%E7%BD%B2)

▲2018年11月の様子。建造当初の面影を取り戻した

原研哉さんのチームが手がけた美術館のロゴ

ロゴの五角形は美術館「二館」の建物の外観から発想を得ており、ミュージアムの「M」と一直線で繋がっていて、「臺(台)」などの画数の多い繁体字を細い書体で繊細に扱い、洗練されたタイポグラフィに仕上がっています。

▲こちらが国際コンペを見事に勝ち抜いた建築家の坂茂さんがデザインした美術館の「二館」。去年の11月に訪れた際はまだ工事中でした

館内に生きるグラフィックデザイン

内装自体はものすごく昭和初期の雰囲気を感じられ、ロゴだけでなく案内板や標識のデザインもじっくり見てきました。

▲館内施設を紹介したパネル。なかなか台湾の美術館で見る案内板にしては綺麗に組まれてて、どこか日本っぽさを感じます。見ての通り、左下が正面入り口で、本来の警察署の建物の裏側に新たに展示スペースが建てられています。何より数字のフォントが気になります

▲ギャラリーごとにアルファベットで振り分けられていました

▲美術館に行って個人的に必ず確認するのが化粧室のサイン。矢印の上に立っている小人がなかなかかわいかったです

日本とゆかりのある建物がこれからも輝き続ける

台湾は、戦前半世紀にわたり日本に植民地支配されていたという歴史をもっているので、街中の至るところに日本風の民家が残っていたり、ヨーロッパに色濃く影響された大正・昭和のロマンを感じられる官舎建築を目にすることができます。日本人が引き揚げた戦後、これらの建物は引き続き現地人や中国人に使われたり、取り壊されたりと、それぞれ違う運命を辿ることになりましたが、今に残る建物の多くは大切に保存され、博物館や美術館などと歴史を伝えていく場として整備されているところが多いです。

自分の地元の歴史建築が日本のデザイナーや建築家の手によって生き返る、ということはものすごく喜ばしいことですし、これからもこのような事例が増えていくことを期待しています。

では、また!

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デザイナー。国立台湾科技大学商業デザイン学科を卒業後、東京のデザイン会社に就職。 台湾やアジアのデザインについて語ります。
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