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「経営」という職種を選んで

今ではJob型採用が当たり前ですが、私が就活をしていた36年前は、新卒で入社した会社で一生働く前提で、会社の中でJobローテーションしながら一番出世した人が社長になるような時代でした。

大学で環境生物を専攻していた私は自然な流れとして環境系である水処理会社に入社したのでした。省エネルギーしたり、環境を良くする事業を手掛けている会社に勤務して社会に貢献することに誇りと遣り甲斐を感じていました。

一方、子どもの頃から「将来は社長になるんだ。」と言い続け、その会社でも将来は社長になりたいと公言し、業務分掌を超えていろいろな部署の業務をさせてもらったりもしていました。

でも、よく観察すると社長になるのはせいぜい50代半ばか後半です。「経営」は、営業や経理などと同じ一つの職種にも関わらず、出世の褒賞として社長のイスがあるようにも、当時は見えてしまいました。一番働ける年代を経営でない職種で過ごすのは本意ではないと思っていた頃、親からの誘いで、業種として全く縁がない親が経営する音楽教育の会社に誘われ25才で転職し、26才で経営を継いだのでした。

独自のマーケティング戦略、自分が考えた採用をし、人事評価制度を導入し、情報システムなどあらゆるインフラを構築しながら事業を発展させていくのは遣り甲斐がありました。

音楽教育をどんなに発展させたとしても、「環境」という業種への憧れは膨らむ一方でした。二世経営者という立場上、会社・団体を置いて転職することは許されないと考えましたし、自分が採用してきた社員たちと一緒に仕事したいという気持ちも大きく、33年間音楽教育関係の会社・団体を経営したのでした。ただしその間、どうしても音楽教育業界の代理人的な意識で事業運営をしてきたように思います。

でも、よく考えてみたら、株式会社の経営者は株主から会社運営を委託される「代理人」ですし、国の政治をするのも国民から投票された「代議士」です。そもそも働くとは「傍を楽にさせること」であり主体はあくまで第三者だということを認識することになるのです。

こうやって36年間の仕事生活を振り返ってみると、仕事を選んだには違いありませんが、「業種」×「職種」が完全に希望通りだった訳ではありません。

今、20代の若者なら、自分が気になる課題を経営者として解決するには、スタートアップという選択肢があります。36年前と比べればベンチャー投資もメンターも圧倒的に恵まれた状況ですから。

人生100年時代ですから、今年58才になる私はまだまだ今の事業を伸ばし、音楽教育の観点から社会貢献していきたいと思います。と同時に、本当に経営者として解決したい課題がある若者には出資して差し上げるだけの資金は持てるようになりたいものです。


#この仕事を選んだわけ

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