セイケトミオ

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    Heliar classic 50mm F1.5VM解像力一辺倒に投じられた一石

    5月の連休が始まる少し前、(株)コシナから新しいレンズのプロトタイプが届きました。レンズキャップを外すと、これまでのコシナ製レンズでは見たこともないような青いコーティングのレンズです。覗きこむと絞り羽根がすぐ手前に見えてオッと思います。 コシナの担当者はこのレンズはアポランター50ミリの対極にあるレンズですと、念のためと思ったのでしょう、メッセージを添えてくれました。わかりやすい指針です。 アポランターのような高性能レンズを手にすると、それだけで途端に肩に力が入って、知ら

      • Leica Summar

        数多くのライカ50ミリレンズの中で、ズマールは今最も安価に入手できるレンズの筆頭ではないかと思うのですが、しかしそれは安かろう悪かろうという類のものではありません。一言で言えば良い悪いは使う人次第、使い手も試されるような手強いレンズです。 1930年代初頭に生またレンズですが、あの天才H.C.BとA.Kが共に手を携えてパリの街を闊歩していた時代だったと思えば、それだけでぼくなんかは喉から手が出てしまうほど欲しくなるレンズです。 古いものはすでに齢90を超えていますから、そ

        • Ultron 75mm f1.9 VM

          レンズキャップもフードもなかったプロトタイプ、あれから5ヶ月、意匠も新たに製品版として箱に収まって届きました。 外観の変更はあるかもしれないと、撮影期間が終了した時言われていたのでどんな意匠になって登場するのか楽しみでしたが、ネットでの発表の写真を見て期待がぐんと跳ね上がりました。 箱を開けると真っ先に飛び込んできたのは、ねじ込み式フードとセットになったかぶせ式のレンズキャップですが、これがなんとも格好良いのです。 これだけでこのレンズが欲しくなっても不思議でない仕上がり

          • 大晦日のカメラ

            今年最後の散歩。 さてカメラをどうしようかと、あれやこれや候補を上げてテーブルの上に置いてみる。もちろんライカもそのうちのひとつでレンズはすでに決めていた。しかし最後の最後、候補の中でも最も重いコンビに決める。 SIGMA sd QUATTRO H と40ミリf1.4、レンズ単体で1kgを超える50ミリクラスでは超弩級のレンズです。日暮れまでに残された時間は僅か、それほど歩くことはないだろうというのが、選んだ理由とも言えるけど、本当のところは重過ぎて持ち出す機会が滅多にない

            Foveon の旅 (2)

            2009年5月、友人のM君がロンドンに来るというので、発売直後のシグマDP2をなんとか買ってきて欲しいと頼みました。M君は地元大阪を隈なく探し回り、難儀して英国に持って来てくれました。こうしてぼくのフォビオンの旅はいよいよDP2から始めることができたのです。 2009年は初めてチェコを訪れた年ですが、プラハはこの時から目に見えない糸でDPシリーズと繋がっていたのかもしれないと思うエピソードがあります。 それは後年、福井信蔵さんに誘われてDP3Mのカタログ制作をお手伝いする

            Foveon の旅 (1)

            🔳🔳🔳禍でなければ、都会にいても秋色の気配漂う今頃はカメラを持って旅に出たい季節のはずなのに、3年目を迎えた今年もまだそういう気分にはなかなかなれません、、、、。 最初にシグマのカメラをそしてフォビオンというセンサーを知ったのは、アートディレクターでありながら自ら写真を撮り鮮烈なイメージをそのカタログで提示した、福井信蔵さんとDP1という存在でした。それがあまりに強烈だったため、今でもぼくの中では両者はピッタリと一体化したままですが、それももう14年も前のことになります。あ

            Nokton 35mm f1.2 X-mount

            ちょうど10年前に手放したFujiのXPro1を最近また買い戻して、レンズは35ミリf1.4Rで決まりと思っていたのが、新しいレンズにも目が向いてウロウロ、あれやこれやと思い惑ううちに、コシナのXマウントも気になり、どうしても使ってみたくて仕方ありません。  貸し出しをお願いしたコシナ製Xマウントレンズが届きました。 ライカMマウント用レンズを少し小振りにしたような佇まいは、XProとのマッチングも美しく好ましい。絞り目盛のクリック感やフォーカスのトルク感もいつものフォクト

            Fuji X Pro1

            フジのX-Pro1は短い期間でしたが、発売直後の2012年35ミリf1.4R付きで所有したことがあります。短い期間で手放してしまったことを、今になって後悔しても遅いのですが、、、。画像を見返していると、このPro1のセンサーの色が独特に思えて仕方ありません。 その後X-Pro2も入手しましたが、それはまだ手元にあってほとんど眠ったままです。Pro2はもっぱらライカ用レンズを付けて使用していたため、Pro2本来の良さは引き出せないままで、その色合いについてもX-Pro1のよう

            KODAK SAFETY FILM 5017

            廃棄処分にしようとまとめていたゴミの中からほとんど未整理のポジフィルム現像済みの束を見つけました。ルーペを持ち出して見ているうちにデジタルとは違った色味に惹かれて座り込み、とうとうスキャナーも引き出してきてこれまでほとんどやったことのないポジカラーのスキャニングまでしてしまいました。1980年代初め頃のポルトガル、リスボンでの撮影です。 その頃ある大手出版社の企画する全集本の仕事で行ったリスボンで撮影したものだという事はわかっても、さて使用機材は何だったのか全く思い出すこと

            M8 2022

            Noteで『行きつ戻りつ EPSON R-D1』を書いた後もM8への思いは募るばかり、とうとう我慢ができなくなって、再びM8を購入、4代目です。 久しぶりで手にしたM8は初期型のクロームボディー。裏メニューで調べるとシャッターカウント数は11500を少し回ったばかりで、シャッターの音は以前使っていた個体に比べても、はるかに軽快です。今年の3月にシャッターユニットの交換をしているということですから、その音にも納得です。 指先の感触とシャッター音がシンクロして、その瞬間がカメ

            M-D(Typ262)

            デジカメの背面液晶はカメラの持つ機能美を見事に壊してしまったと思います。 そしてライカもまたこの点では残念ながら同じ道を歩いているように見えます、Leica M-D(Typ262) を除いては。 カメラを格好論だけで言えば、ライカM-Dは唯一無二の存在。 ボタン類が一切無い背面は、見事な割り切りだと思いますし、またカメラを握ったとき背面ボタンに指が触れてフニャフニャするあの感触とも決別しています。 2016年240の液晶を取り払って登場したのがライカ M-D(Typ262

            行きつ戻りつ EPSON R-D1

            最初にR-D1に触れたのは2007年頃で、友人が試用にと送ってくれたR-D1でズマロンの28ミリが付いていた。それからしばらくしてマップカメラでR-D1sを購入しているが、間も無く手放してしまった、2008年頃だったと思う。 長い間使ってきたM8を去年の暮れに手放してからは、M8とかR-D1が気になって仕方がない。そのわけは多分、難なく写ってしまうデジカメの日常に写真の面白さを少し感じなくなってしまったのかもしれない。 2004年登場のR-D1、2006年発売のLeica

            Heliar classic 50mm f1.5VM + Leica M Monochrom

            Leica M9のセンサーをモノクローム専用にあつらえて登場した初代のライカモノクローム専用機は、最後のCCDを備えるデジタルMモデル、もう8年前です。 ぼくのLMMはセンサーカヴァーガラスのトラブルがアナウンスされた時、早々にライカジャパンで交換サービスを受けました。ただ交換されたセンサーはオリジナルとはちょっと違って、1600あたりからバンディングが派手に出るようになり、すっかりLMMの出番は少なくなっていました。 ライカMのモノクロ専用機はその後も240系そして現行

            名玉はただ眺めても美しい

            レンズなので写りはどうでもというわけにはいきませんが、名玉になるための要素としてはやはりその形状、デザインはとても重要です。 事実古今の名レンズはどれを見ても格好いいとぼくは思います。道具とは言えカメラにつけたときのバランスや美しさは、そのレンズが長く愛用されるための必須の条件だと思います。 今回のへリアーが手元の届いたとき、すぐに見比べてみたいと思ったレンズがあります、Thambar 90mm f2.2です。これもブラックペイントのレンズですが、鏡胴に光る銀色のメッキと