見出し画像

Heliar classic 50mm F1.5VM解像力一辺倒に投じられた一石

5月の連休が始まる少し前、(株)コシナから新しいレンズのプロトタイプが届きました。レンズキャップを外すと、これまでのコシナ製レンズでは見たこともないような青いコーティングのレンズです。覗きこむと絞り羽根がすぐ手前に見えてオッと思います。

コシナの担当者はこのレンズはアポランター50ミリの対極にあるレンズですと、念のためと思ったのでしょう、メッセージを添えてくれました。わかりやすい指針です。

アポランターのような高性能レンズを手にすると、それだけで途端に肩に力が入って、知らず知らずそれらしい被写体ばかり探し回るということになったりします。わかっているつもりでも、これが高性能レンズの怖いところです。

しかもこの頃のレンズは高性能、高価、その上大きくて重い、1kg 超えも珍しくありません。これはぼくのような普通のレンジファインダーユーザーにとっては、有難いことではありません。なんだかな~と思い、写真の楽しみが少し薄れていくような気がしていました。

画像4

このヘリアークラッシック50ミリは、f1.5という割にはコンパクトで軽いレンズです。ライカに付けてちょっと持ち出すにはいい感じです。

これならお使いの時でも持ち出してみたくなります。コロナで非常事態宣言が続く中です、どこかに行くこともままならない状況下では、日常の身辺から何かを見つけて撮るより仕方ありません。

でも段々楽しくなってきました、面白いんです、その写りがなかなか予測できなくて、つまりこちらの計算通りにはならないということです、特にそのボケは好き嫌いはあるかもしれませんが、このレンズ一番のポイントだと思います。ただし諸刃の剣にもなります。

画像4

画像4

もしかして収差があるレンズなんて聞くと、心配になるかもしれませんが、特徴的なボケを除けばごく普通によく写ります。実はもう少し甘いか緩い描写だろうと勝手に思っていたのですが、どうしてどうして近接50cmは伊達ではありません。

この頃のデジカメは本当によく写って、ほとんどの場合は十分以上です。でも何かがちょっと違うとか、足りないとか思う人はいるようですし、ぼくも高解像力一辺倒のレンズの方向性には満腹気味です。

だからこそ古いレンズのマーケットは益々盛ん、値段も上昇が止まらないのかもしれません。レンズを作る側もいろいろな思いがあると思います、がしかしトレンドに逆らうような商品を企画することは容易でないはずです。

その難しさをくぐり抜けて日の目をみることになったヘリアー、そのユーザーリポートを今後も続けたいと思っています。

画像4





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?