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「肩鎖関節脱臼の一症例」#書く習慣49

日々の診療お疲れ様です。TROT(トロット)です。

本日は肩鎖関節脱臼の患者さんがいらっしゃったので症例をまとめていきます。


転倒し右肩をぶつけました。


本日の診療中に60代の患者さんが来院。

「転倒した際に右肩ごと地面に強打しながら倒れ込んでしまいました。
その後腕がまったく動かないんです」…と、本人。

鎖骨外端部骨折とか、上腕骨頸部骨折かな?と思案しながら実際に触診をしてみるとその部分には圧痛はなく、肩鎖関節部の段差と、同部への圧痛を確認いたしました。

実際にレントゲンを撮影してみると…


所見(画像、徒手検査)


上記画像より、肩鎖関節の脱臼を確認いたしました。

それではこの肩鎖関節がどのくらいの損傷なのかを分類で見てみると…

肩鎖関節のⅢ型損傷と見られます。

ちなみに日本骨折治療学会のホームページから引用させてもらうと…

Ⅰ型(捻挫):肩鎖靱帯の部分的な傷みだけで、烏口鎖骨靱帯、三角筋・僧帽筋は
        正常でX線では異常はありません。

Ⅱ型(亜脱臼):肩鎖靱帯が断裂し、烏口鎖骨靱帯は部分的に傷んでいますが、
         三角筋・僧帽筋は正常です。
                        X線では関節の隙間が拡大し鎖骨の端がやや上にずれています。

Ⅲ型(脱臼):肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯ともに断裂しています。
                     三角筋・僧帽筋は鎖骨の端からはずれていることが多いです。
                     X線では鎖骨の端が完全に上にずれています。

Ⅳ型(後方脱臼):肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯ともに断裂しています。
                           三角筋・僧帽筋は鎖骨の端からはずれています。
                           鎖骨の端が後ろにずれている脱臼です。

Ⅴ型(高度脱臼):Ⅲ型の程度の強いものです。
                            肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯ともに断裂しています。
                            三角筋・僧帽筋は鎖骨の外側1/3より完全にはずれています。

Ⅵ型(下方脱臼):鎖骨の端が下にずれている非常にまれな脱臼です。
日本骨折治療学会のホームページ )より引用


ということで、Ⅲ型の損傷部位をあらためて確認してみると、
肩鎖靭帯、烏口鎖骨靭帯が断裂している可能性が高いことがわかります。


ちなみに教科書で習ったピアノキーサインも陽性でした。

 ピアノキーサインとは、

  「変形した鎖骨を下側に押すと、ピアノの鍵盤を押したときのように鎖骨が
   下側に入り込み、手を離すと元に戻る症状」


悩ましい固定方法


いつも固定は悩みます。

よく学校で行うテーピング固定は皮膚障害が起こることが多いので当院ではあまり行いません。

今回はこのサポーターがなかったので、この走行を綿包帯で真似て、上肢の重みを肩鎖関節部にかけながら圧迫する固定を行いました。

パシフィックサプライ )より引用


一応本人には手術と保存療法についての説明を行なって、次回以降どちらを選択するかを考えておくように指示してあります。


今日はこの辺で。

明日はチビたちを公園に連れて行く大事な仕事が待っております。

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