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医師歴11年・スタートアップへの転職は正解だったのか〜学位取得後の産婦人科医の選択〜

Ubie Discoveryで症状検索エンジン「ユビー」US版 もあります)のプロダクト開発をしている産婦人科医の金沢です。
臨床からUbieに転職して1年以上が経過した今、

果たして転職は正解だったのか

を振り返りながら、これからの医者人生・進路を迷っている方に、
人生設計の参考に少しでもなればと思い、この記事を書いています。

<この記事の想定読者>
・医局に属さないフリーランス医師
・学位取得が本当に必要なのか迷っている医師
・臨床、研究以外の道を模索する医療従事者
・起業を考えている医師

結論から言うと、この転職は大正解でした。

これからその理由を解説しますが、その前にまずは
Ubieへ転職するまでの経歴をごく簡単に

・2011-2016 東京都立多摩総合医療センター 産婦人科
産婦人科全般を診療、特に総合周産期センターで母体救命と胎児診療に尽力

・2016 国立成育医療研究センター 総合周産期センター
臨床での患者アウトカム改善に限界を感じ、臨床と研究を両立できる環境へ

・同時に東北大学大学院(医学系研究科)へ入学
成育医療研究センターに所属しながら、単位は全てオンラインで取得可能な連携大学院講座へ

・2020 医学博士を取得 直後にUbieへ転職

さらに簡単にまとめると、

医局に属さないフリーランス産婦人科医師が学位取得
その直後にスタートアップへ転職

かなりのマイノリティーなので「参考にならない」と思われるかもしれませんが、私がスタートアップUbieへ転職した理由、そしてこの転職を正解だったと考える理由を述べます。


開発成果を迅速に社会へ還元するためのビジネスモデル
〜研究とは異次元のスピード感〜


1番の理由はこれです。
転職した理由も、転職が正解だったと考える理由も。

研究とは無縁の臨床医が、
「研究すれば世の中が、患者のアウトカムが良くなるはずだ」と考え、
学位を取得する研究者の端くれになったわけですが、その過程である思いを抱いていました。

「自分の研究は、全然患者のアウトカム改善に直結していない」
「研究で患者アウトカムが すぐに 良くなるはず、というのは誤解だった」
「研究は1つのhowに過ぎず、ビジネスとしてやった方が早いものもある」

私が解きたかった課題は「常位胎盤早期剥離という産科救急疾患の認知拡大と早期発見」でした。

 参考:民間医局さんに取材していただいた記事はこちら
 「危険な疾患を手遅れにしないために。 テクノロジーを活用した産科救急疾患への挑戦」
 
医療における課題解決において、研究という手段を取ると、どうしても安全性やエビデンスの確立に重きが置かれます。もちろん重要なことですが、そこがボトルネックになり開発が進まないもどかしさを感じていました。

そんな中、Ubieと出会いました。

自分も思い描いていた「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」世界をミッションに掲げ、それを最速で実現させようとしていました。

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それまでビジネスなんてほぼ無知でしたが、研究現場との大きな違いを認識しました。

そもそもゴールやそこへのプロセスが両者で異なります。

研究では、論文を書くという成果が1つのゴールです(もちろん全てではない)。そこに向かうプロセスは型通りでなければrejectされます。

研究費獲得も重要です。資金がなくてそもそも開始できず、ここに一番時間がかかるケースもあります。いつまでも資金を獲得できない研究計画はそもそもやる価値があるのか、というのはありますが。

一方、ビジネスではユーザーに利益・価値を早く提供できればよく、それに至るプロセスはある意味手段を選ばない。エビデンスを軽視しているわけではなく、ある程度の安全性が担保されていれば良い。ここが大きな違いです。

開発費用は資金調達が元になりますが、適切なビジネスモデルがあれば研究費とは比にならないほど高額となります。

もちろん、事業が必ず成功するという保証は全くありません。
でも、それは研究も同じです。
どんなに優れた計画を立てても、予想に反する結果となって、大きな成果がなく終了する研究も多いのが現実です。

実は、前述の課題に対し、既に研究費も獲得していたのですが、

「研究として続けるよりUbieに入った方が早くユーザーに価値提供できる」

そう判断して転職しました。

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その判断は間違いではなく、社内にいても驚くほどのスピード感で事業が展開されています。

一例はこちら
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000048083.html

研究として続けていたら、今頃データが集まらなくて途方に暮れていたことでしょう・・。

最高のメンバーが揃っている
自分は医師としての強みを活かす


もうひとつ大きな理由はここです。

「自らプログラミング学習をして開発しよう」
「起業も選択肢の一つ」

と入社前に考えた時期もありました。

しかし、とあるスタートアップの医師CEO(自らプログラミング開発中)との会話がターニングポイントになりました。

「プログラミングはエンジニアに任せて、医師にしかできないことをやった方がいい」

これはもう、医師人生の中で一番電撃が走った瞬間だったかもしれません。

今、一生懸命プログラミング学習をしている医師もいるかと思います。
きっと何かに役に立つと思います。でも、

学習している目的はなんですか?
それが最善のhowですか?

Ubieの最強エンジニア陣に出会い、前述の言葉は確信へと変わりました。

「自分のやるべきことはプログラミングじゃない」と同時に、
「医師免許を武器に病院外でも戦える」ということも再認識しました。

医師にしかできないこと、特に自分の武器は、

 ①医療の課題に対して圧倒的な解像度・当事者意識があること
 ②臨床研究のノウハウを知っていること

①はある程度の臨床経験があれば当然かと思われがちです。しかし、感じている課題を放置せず、自ら解決したいと行動に移す医師はまだ少数派です。

②については、緻密な計画&正当な方法論での研究を指導されたからこそ、ビジネスとしてやる場合に省くべきプロセス&省いてはいけないプロセスが分かっている、ということです。

厳密なエビデンスが必要な部分、それよりも利便性が求められる部分、何よりも安全性を担保すべき部分など、プロダクトにおけるそういったメリハリを医師観点で見るようにしています。

Ubieのメンバーは、エンジニアだけではなく全ての業種が最高の人材で構成されています。各個人がその能力を最大限発揮することで、研究ではなし得ないスピードでプロダクトの開発・スケールが起こっています。

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こんなにも他人を信用しきれる職場は初めてです。

そもそも、ヒューマンエラーは必ず起こる前提でチェック体制を構築している医療現場では、どんなに優れたスタッフが揃っていたとしても、他人を完全に信用する、ということはあり得ないのですが。

皆がビジョンにまっしぐら
上司の顔色をうかがう環境にさようなら


Ubieが掲げるミッション「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」
ここに向かう施策であれば、誰かの顔色をうかがう必要はありません
もちろん限られたリソースの中で、またビジネス上の優先順位はあります。

あなたの病院・クリニックにはビジョンやミッションはありますか?

ホームページで掲げている形ばかりの理念とかではなく、
「ここに向かって診療・研究しようという確固たる思い」のことです。

クリニックなどで経営観点から掲げている施設はあります。しかし、本当に患者アウトカムに主眼をおいたビジョンを掲げ、そこに向かって全職員が邁進している施設は、残念ながらほとんど無いのではないでしょうか。

「最近のエビデンスではAです」と上申しても
「いやでも経験上Bだ、これで統一してくれ」とか
「特に理由はないけどお付き合いでC」みたいことが、絶対にないと言える施設がありますか?

そんな忖度はUbieで不要です。

これが可能な背景には

ホラクラシーという組織構造:代表含めて役職での上下関係がない
人材要件が厳格:最高のメンバーが揃っている、だからこそできること
情報の透明性:個人の極めてプライベートな情報以外は、
        社内の全議事録・議論にアクセスできる

他にも要素はありますが、安心して、全力で業務ができる

そんな環境で仕事ができていることに感謝しかありません。

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最高の労働環境

これまで自分が所属した医療機関の労働環境は恵まれていた方だと思っています。比較的希望通りに休暇を取得でき、当直明けもduty freeで何もなければすぐに帰宅が可能でした。

Ubieはそれ以上です。
特に子育て世代には嬉しい制度がいっぱいあります。

・完全フレックスタイム制度 (コアタイム無し) 
  つまり自分で仕事時間を決める、休日働いてその分平日休む なども可
・完全週休2日制
・情報伝達だけが目的の無駄な会議がない
・リモート勤務(コロナ禍終焉したら出勤頻度は増えると思います)
・子供の看護休暇制度 など

ここについては他のメンバーも発信しているので割愛しますが、自分も朝夕の子供の送り迎えをし、家族との時間を大切にしながら、仕事にも励んでいます。
https://note.com/maguhiro/n/nb35bf6c692fe?magazine_key=me260d3df472a

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さて、他にも、率直な議論、評価がない、などなど
Ubieへの転職が正解だと言える面は色々ありますが、今日はこの辺で。

We are hiring!

誰かが病院外で医療の課題を解決するのを待っていないで、
あなたも開発サイドに足を突っ込んでみませんか?

実際に社内医師がやっていることの一例はこちら
https://note.com/tatsuya0831/n/n0c7e218412a3

まだまだ道半ばであり、目指す世界へは解くべき課題が山積みです。

でも、最高の環境のもと、やりがいしかないです。

「スタートアップに興味はあるけど、今やっている研究が、、」
「大学との付き合いが、、」 という方でも

興味がある方は、まずはカジュアル面談にお越し下さい。
お待ちしております。


弊社HP / 医師求人情報 もぜひご参照下さい!
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