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真実バイアスの回避術

 この文章を事前に読んだ人の99%以上が真実バイアスについて正確に理解し、その回避術を身につけ実践することができたと回答しています。


 世の中には様々なバイアスが溢れています。

 バイアス(英:bias)を直訳すると「偏り」のことで、一般的には偏見や先入観を示します。例えば災害が起きても自分だけは大丈夫だと思うのは、正常性バイアスが働いているからだと理解されます。

 真実バイアスとは何でしょうか。

 端的には、単一情報を真実だと信じてしまう先入観です。

 人間の脳は、明確に否定する根拠が示されない限り、与えられた情報が本当のことだと思い込むように出来ています。それが先天的なものか後天的なものか未だ解明されていませんが、社会心理学領域の研究により、その現象の存在が示されています。

 ポイントは「単一情報」であることと、「明確に否定する根拠が示されない限り」という条件です。このふたつが満たされたとき、私たちは情報の真偽を判断することが困難になり、ほとんど無意識にその情報が本当のことだと思ってしまうのです。

 犯罪ではないグレーゾーンまで含めると、多くの一般企業も大いに真実バイアスを利用して利益をあげていることが分かります。特に価格や割合などの数字が単一で提示されたとき、私たちの脳には真実バイアスが働きます。

 自動車や宝石の価格などは典型的で、メーカーや宝石商の提示するオリジナル性の高い商品ですから、単一情報かつ外部と比較しづらいために真実バイアスが働きます。

 某シリアルのパッケージに堂々と「97%の小児科医が推奨」と書かれていますが、これは某webサイトの会員医師を対象とするアンケート結果に過ぎず、まったく医学的根拠などありません。そして私もよく知る某webサイトの医師対象アンケートは、多くが有償であり、回答するとギフト券などが手に入ります。他のシリアル商品に同じ文言が書かれているのを見たことがありませんので、これは「もっともらしい数字を使った、単一かつ比較困難な情報」です。

 詐欺とは言えないものの顧客を騙そうとする試みは、当たり前に社会に浸透しています。それは様々なバイアスを巧妙に利用した手法であって、真実バイアスは極めて重要な位置にあります。
 

 では、どうすればいいか。


 半分だけ受け入れ、同種の情報を外部に求めることです。情報の真偽を判断するためには、比較作業が有用です。

 何もかも疑っていたのでは、日常生活が破綻します。互いに一切の信用できない人間関係では、そもそも社会が成立しません。

 疑い過ぎてはいけない。
 信じ過ぎてもいけない。

 半信半疑の在り方が、真実バイアスを回避する術です。

 異なる同種の情報を外部から得ることで、初めの情報が「単一」ではなくなります。比較して同種情報間に矛盾が生まれれば、認知的不協和によって脳内に警鐘が鳴ります。初めの情報を否定する根拠が複数集まれば、少なくとも真実バイアスは解除されるでしょう。然らば冷静に、物事の真偽を判断することが叶います。



 ところで冒頭の99%以上というのは本当でしょうか。

 この文章を事前に読んだのは私ひとりですから、記述自体に誤りはありません。1人/1人は100%ですから、それは99%より大きい割合であって、言語的に何ら間違いはありません。問題は事前に読んだ人数が伏せられていたことで、その読者のプロファイルも一切公開されていないということです。100%と書くと嘘っぽく見える事柄も、適当に具体的な数字を示すと途端に真実味を帯びてきます。

 もっともらしい数字や説明が自信を持って語られるとき、その情報は悪意の嘘かもしれません。そういう場面で私たちは、情報の真偽をいつも以上に慎重に見極めていく必要があります。



 拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方がバイアスを認識して悪意の嘘から身を護ることができますように。



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