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弓道

 まともに引けるようになるのに2ヶ月。的に中る(あたる)かどうかとなると遥かに難しい。型を整え、精神面も鍛えて弓道を極めていくとなると、どれほど時間があっても足りないように思います。

 的に中るだけならアーチェリーの方が圧倒的に的中率が高く、より遠い的の、さらに中心を狙うという高いスポーツ性があります。的中率を目的にするならアーチェリーをすればいい。狩り等の実戦を想定するなら射撃の方が余程いい。

 では、弓道の魅力は何処にあるのでしょうか。

ひとつは「美しさ」
ひとつは「簡単には中らないこと」

 と感じています。

 弓には性格が現れます。射手をみれば、その人がどんな人か分かります。極められていく弓は美しく、静寂の中の絵画のような、ある種の芸術感を覚えます。極めるほどに美しく、凛とした世界に没入していきます。

 そもそも的中率の低さは「弓の構造」に起因しますが、一方で高い精神性を求められるためでもあるでしょう。弓を引くのは坐禅に似ています。

 わずかな心の乱れが射に現れ、的に執着するほどに、矢は的から離れていきます。矢先ひとつ手元がズレると、矢は的ひとつズレた所に辿り着きます。

 技術と精神の先に、世界と一体化する心地良さがあります。

「ああ、風が吹いている。」

「自分も、いつか死ぬんだな。」

 大学最後の大会で弓を引いている時に感じたことは、それだけでした。

 その大会で「射技優秀賞」を頂いたのは、良い思い出です。


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