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無彩色の虹 《詩》

「無彩色の虹」

雨はもう止んでいた 

知らぬ間に

例の話しの続き 
もういいだろう

無彩色の虹を吸い込んだ肺の中


誰かが段取った安物の改造拳銃

トリガー引いた暴発 

血だらけ
あちこちに飛び散った指先


残された薬指と小指で挟んだ煙草

深く抉ったナイフ 

捲れかけたヤマ 

死神 道連れ 病院か地獄か独房か

探し続けた答え 匠な作り話

膨らみ続けりゃ 

いつかは破裂する
わかってるだろう 


僅かに見える

消えかけたコバルトブルー

その細胞が求め彷徨う純粋な光


琥珀に溶けた半透明の結晶が
記憶と共に静脈に消えた


雨の匂いが残る街 

雨はもう止んでいた 

知らぬ間に 


俺もお前も 知らぬ間に

Photo : Seiji Arita

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