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海色に沈む 《詩》

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「海色に沈む」

目には見えない雲の切れ端 

小さな浮雲

ゆっくりと型を変えて空を彷徨う

其れは僕の過去 

失われた記憶を求めて漂っている 


部屋の窓から 
遠くに少しだけ見える海

巨大な海の切り取られた断片


其処には波音も
潮の匂いも無い海色の小さな塊

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僕は記憶の枠の内側に居るのか
外側に居るのか

何も見えない思い出せない 


僕の知らない所で物事は進展し

行き場を失くしたのは 

あの雲の切れ端


引き金を引けば銃弾は的を貫く


切り取られた
海色に静かに沈めたあの浮雲


そして太陽は死に 

訪れた無限の夜空に

銀紙で作った
無数の星を貼り付けている

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