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遠距離物語

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4年間の遠距離恋愛を終えた、私と恋人のこと
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#夜

綿菓子と雨傘の夜

綿菓子と雨傘の夜

そういえば10月、恋人が地元に帰ってきていたのだった。

滞在期間1週間の間で私は彼の実家へ泊まりに行き、そして彼も私の実家に泊まりに来た。彼がやってきたのは、東京へ戻る1日前の夕方だった。

晩はみんなでごはんを食べながらお酒を飲んだ。食事を終えて、酔っぱらってお部屋に引き上げたあと、お布団の上でごろんと横になっている彼に、私はひとりで開けた缶チューハイを飲みながら、あれやこれや話しかけた。

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あなたが側にいない夜に

あなたが側にいない夜に

恋人とはなればなれになるとき、私の胸の内はいつもぐちゃぐちゃになってしまう。心の中にあるパレットにぶちまけられた、さびしい色の絵の具だけが全部混ざったように、もうどうしようもない気持ちになってしまうのだ。

遠距離恋愛中のふたりは世界に多く散らばって存在している。彼ら彼女らは一体どんな思いで日々を過ごしているのだろう。離れているくらいでちょうどいいわ、という人もきっといるはずだ。

けれど私はさび

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わがままといじわる

わがままといじわる

もうむりだ、私がんばりたくない、そう思って泣きながら眠る夜がたくさんある。

遠距離恋愛をしながら生活するのにはあまりに苦しい日があり、なんでこんなにがんばってるのに、こんなに会いたいのに簡単に会えないの、なんでさびしいのを我慢しないといけないの、いつまでこれが続くの、と考えたら涙で枕がびしょ濡れになってしまうのだ。

できるだけ口にしないようにしているけど、ときどき唇からこぼれ落ちてしまう。もう

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