この春、世の中に出て働く皆さんへ:地球のエコシステムからの祝辞
この春卒業し、世の中に出ていく皆さん、おめでとうございます。
新しい生活は、いざ始まると、期待と不安を忘れるほどに超スピードで展開していくでしょう。
そんな慌ただしさへの応援を込めて、今日は「自然の世界から見た、働くことの意義」について、お届けしたいと思います。
『なぜ僕らは働くのか 君が幸せになるために考えてほしい大切なこと』という名著もあるように、働く目的探しは、私たちの永遠のテーマでもあります。
お金をもらうため。社会の役に立つため。自己成長のため。
もちろん、どれも間違いではありません。
ですが、ここではガラッと視点を変え、自然の中に分け入って、もう一つ別のアイデアを提示してみましょう。
それは、「働く=地球のエコシステムに生命体の一員として参加する」という見方です。
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さて、めでたく卒業した先日、あなたのまぶたから流れ落ちた一雫は、風に乗って空に運ばれ、やがて雲になり、雨となって大地に降り注ぎました。
雨粒となったその一滴一滴を、あなたが過ごしたキャンパスの草花がたくさん吸収して生長し、緑いっぱいの葉を茂らせて、今度はまた新入生を迎えます。
そして、次の春。巡りめぐってその水粒は、いつしか誰かの体に取り込まれ、彼や彼女の門出を祝う一雫になっていることでしょう。
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このように、水のエネルギーは、姿かたちを変えながら、生き物たちの間をくぐり抜けて、留まることなく循環していきます。
地球は、水のみならず、生物無生物の無数のエネルギーの交換によってエコシステムを維持しています。私たち人間もそのシステムの一部。例外なく、有形無形のエネルギーを拝借することで、命永らうことを可能にしているのです。
『なぜ僕らは働くのか』では、仕事とは「助け合いのネットワーク」だと説明しています。
誰かが誰かのためになるという意味では、人間の仕事も自然界のエネルギー交換の一部に他なりません。
世の中に出る前、あなたはきっと助けてもらうばかりの日々を過ごしたことでしょう。大切な充電期間ですね。
そしてもちろん、これからも誰かの助けなしに生きていくことは、到底できません。
ですが、今あなたは、めでたく地球のエコシステムへの仲間入りを果たしました。おめでとうございます。今度は仕事を通じて、あなたが誰かにエネルギーを与えていく番ですね。
この先、仕事をしていると、理不尽なこと、うまくいかないことばかりに出くわします。「もう辞めたい」と思うことも日常でしょう。
そんな時は、あの卒業式のまぶたから流れ出た一雫が、今この世界のどこをめぐっているか、会社のトイレにこもっている間、ちょっとだけでも想像していただけたらうれしいです。
皆さん、あらためて卒業おめでとうございます。
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