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フランスのクリスマス。あたたかいもの。

フォアグラ

私はパリの冬が苦手だ。
雨の日が多く、湿気ており、盆地なので、底冷えがする。
この天気のせいで胃が痛くなる。
ただ、胃痛の原因は天気だけではないかもしれない。
寒いから、こってりしたものを食するのも、原因のひとつかもしれない。

実際、あたたまりたくて、脂っこいものをよく食べる。
しばしばクリスマス・パーティーの前菜に出てくるフォアグラなどは、その典型であろう。
あれをたっぷりと、カリカリの薄いトーストにのせて、甘い白ワイン、あるいはシャンパンと一緒に食す。もちろん美味しいからバクバク食べてしまうわけだが、翌日、当然のことながら、胃は壊れている。


七面鳥?

フランスには、あえてクリスマスに、わざわざ七面鳥のローストを食べる風習はない。
そもそも、みなさんは七面鳥を美味いと思われますか?

フランス人は、べつにクリスマスではなくても、週末の昼にはしばしば近所の肉屋で若鶏のローストを一羽、買う。そしてフライドポテトと一緒に食べる。大抵の赤ワインならふつうに合う。
七面鳥はあまり食べない。
七面鳥よりはむしろ若鶏、若鶏よりはむしろホロホロ鳥を食べる。

今年の冬、日本では、ふだんはタイから輸入している若鶏が不足ぎみなのだとか。
で、も、さ、若鶏がなければ、大山地鶏を食べたらよいのに。
大山地鶏がなければ、せっかくのクリスマスなのだから豪華に、キジを食べたらよいのに。
キジが大きすぎるのならば、ウズラを食べたらよいのに。
美味しいよ!


生ガキ

では話を元に戻して、クリスマスにフランス人は何を食べるのか?
おそらく地方ごとで、かなり違いがある。
ノルマンディーやブルターニュのひとたちならば、やっぱり生ガキ、そしてスモーク・サーモンだろう。

フランスのカキは日本のそれに比べて、小さいが、しっかり味がある。
レモン、もしくはワインビネガー(赤)をかけて、食べる。
黒パンにバターをつけたものと一緒に食べる。
異論はないと思うが、辛口白ワインと実によく合う。
自己最多記録、18個。
だって寒いから栄養をとらないと。


ショートケーキ?

フランスでは、クリスマスのデザートの定番は、ビュッシュ・ド・ノエル。
フォークでひっかくようにして、チョコレート・クリームを樹皮に模すところが楽しい。

もちろんショートケーキなど、ない。
あたりまえだ。
そもそもイチゴは初夏が旬である。
冬に美味しいイチゴが在るわけがない。


オニオン・スープ

当然のことながら、冬のあいだ、毎日毎日、ごちそうが続けば、体だけでなく、お財布も、危機的状況に陥る。
そこで、オニオン・スープの出番である。
玉ねぎをみじん切りにして、バターで炒めて、鍋に入れて、水を入れて、火をつけて、ごとごとすれば、できあがり。適宜に塩をいれて、あつあつをいただく。
なんて簡単なんだ!
チーズの細切りをばらまくと、またリッチに味がかわって、美味しい。


ひとのぬくもり

とはいえ、ひとをあたためてくれるのは、またひとである(食べられないけど)。
愛はあたたかい。
フランス人も、クリスマスは、家族で過ごす。
お正月は、友だちと過ごす。


日本では、クリスマスを一緒に過ごす友だちがいないひとたちが、「クリスマス反対」を主張しているらしい。彼らは、クリスマスが不愉快なのだそうだ。だから被害者=弱者を気取って、クリスマスに対して嫌がらせをする。
なんと自己中心的な「独身貴族」たち、「おひとりさま」たち。
エゴイストに友だちができないのは、あたりまえのことよ。

彼らは、サンタクロースを待望する子供の瞳に、自分たちがどのように映るか、想像してみたほうがよいだろう。

他人様が楽しんでいるのに水を差すのは、人間として、如何なものでしょうね?
妬みは、暗く卑しい感情だ。

せっかく、この地を覆う闇夜に、全知全能のかたから愛の光がプレゼントされた記念日である。そのことを想起してほしい。


愛は寛容であり、愛は情け深い。また、妬むことをしない。
愛は高ぶらない、誇らない、不作法をしない。
自分の利益を求めない。
いらだたない、恨みをいだかない。
すべてを望み、すべてを耐える。

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