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清風堂のおすすめ vol.11(2023/11/18)

こんにちは、清風堂書店の谷垣です。
今週は話題がてんこ盛り。


『野生のしっそう』リアル書店先行発売

 ミシマ社が「今年一の人文書」と謳う『野生のしっそう』(猪瀬浩平)がついに入荷しました。書店員からの推薦コメントがぎっちり詰まったポスターもあわせて掲示しています。そのなかには、私の推薦コメントも。ポスターの下の方に、ジュンク堂書店の福嶋さんをはじめ錚々たる書店員の名前が並んでいますが、本当に私のコメントなんかでよかったんでしょうか…。嬉しいのと同時に、冷や汗もかきそう。

「す、すごい本!でした。」というコメントがいいですね。
ほんとに載ってる。

歴史学者・中塚明さんの著書を集めたミニフェアを開催中です

 先日、歴史学者の中塚明さんが逝去されたことを受け、高文研から刊行された著作を集めました。昨年に増補改訂となった『日本と韓国・朝鮮の歴史』をはじめ、司馬遼太郎の歴史観を批判したものなどを並べています。

『日本と韓国・朝鮮の歴史』はロングセラーになりそう。

これから出る本

「読書の日記」シリーズから2冊同時刊行です。著者はfuzkueの店主・阿久津さん。そもそもfuzkueを知らないという方は下記リンクをご覧ください。

 とてもユニークな「本の読めるお店」です。ここまで徹底したお店をほかに知りません。コーヒーを頼んでも、がっつり定食を食べても、何も頼まなくても、おなじ1時間で料金は大きく変わらないのだとか。気兼ねなく本を読める場所を追求すると、こんな素敵な<場>とルールが生まれるのかと驚く一方で、近くにこんな場所があればなぁといつも思います。

 阿久津さんの日記は、WEBサイトで抜粋版を読むこともできます。これから刊行されるのはシリーズ第5弾・第6弾。とにかく分厚いのですが、鈍器本というより箱といった印象です。本シリーズが発売されるたびに「もはや箱」と話題になるほどです。

『読書の日記 皮算用/ストレッチ/屋上』NUMABOOKS

本を読む人と、その生活。心地よく本を読むことに特化した〈本の読める店〉「fuzkue」店主による、読書の喜びに満ちた日記シリーズ、第6弾。
登場する本(一部):レーン・ウィラースレフ『ソウル・ハンターズ シベリア・ユカギールのアニミズムの人類学』ジョアオ・ビール『ヴィータ 遺棄された者たちの生』レオナルド・パドゥーラ『犬を愛した男』ティム・インゴルド『ライフ・オブ・ラインズ 線の生態人類学』ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけれど。』千葉雅也『アメリカ紀行』など。

内容紹介より

『読書の日記 予言/箱根/お味噌汁』NUMABOOKS

本を読む人と、その生活。心地よく本を読むことに特化した〈本の読める店〉「fuzkue」店主による、読書の喜びに満ちた日記シリーズ、第5弾。
登場する本(一部):ベン・ラーナー『10:04』トーマス・ベルンハルト『凍』ビー・ウィルソン『キッチンの歴史 料理道具が変えた人類の食文化』吉田健一『東京の昔』藤本和子『塩を食う女たち』イ・ラン『悲しくてかっこいい人』松村圭一郎『うしろめたさの人類学』など。

内容紹介より

パレスチナポスター展に行ってきました日記
@MoMoBooks(大阪・九条)

 11月14日。仕事の前にMoMoBooksへと向かう。その目的は2つ。ひとつは来週のイベントのチラシを置かせてもらうこと。もうひとつは、今日から開催されるパレスチナポスター展だ。

 地下鉄メトロ・九条駅で下車し、歩いて7分ほどで到着。開店時間の11時を10分ほど過ぎた頃だった。1階には誰もおらず、2階からゴソゴソと物音が聞こえる。おそらく店主の松井さんが作業しているのだろう。そのうち下に降りてくるかもしれないとおもい、しばらく棚を見てまわることにした。店内入ってすぐのところに平台があり、松井さんがセレクトした本が並んでいる。その向かいの棚に、これからのイベントで取り上げられる『僕の好きな先生』『酩酊対話集 酒の穴エクストラプレーン』などの本が並ぶ。

 2階に上がる階段下にある、余白のような空間も私は好きだ。一般の書店では手に入れにくいZINEがここには並んでいる。ぱっと目に留まった『言葉だけの地図』をぱらぱらめくってみると、マルジナリア書店の名前が(ずっと行きたいと思いながらまだ行けていないのが悔やまれる)。本書では最寄りの駅から書店へと向かう道のりがエッセイに仕立てられており、共著者のお二人がそれぞれ別の視点から描いているのがおもしろい。いくつかの本屋が取り上げられているのだが、そのなかには駅の改札を出たらすぐ目の前にある本屋さんも紹介されている。そんな条件にもかかわらず見事に文章を書きあげるのだから、ライターという仕事はすごいのである。というのは読んでから知ったことで、そのときはただマルジナリア書店という言葉に引っかかっただけだった。

 まだ松井さんは上で何やらゴソゴソやっている。降りてくる気配もないので、2階へつづく階段を上がっていく。すると、こちらの足音に気づいた松井さんが「どうも」とひょっこり顔をのぞかせた。どうやら設営がまもなく終わるタイミングだったようで、グッズを並べているところだった。階段を登りきると、額に入れられたポスターが部屋の壁一面に飾られている。全部で15枚。なかには1970年代に作成されたポスターもある。言葉はわからなくても、問題についてそんなに詳しくなくても、ポスターを通じてパレスチナへ思いをはせることはできる。

 気がつくと、サイケデリックな雰囲気の曲が流れはじめていた。階段を上がってすぐ右手には、会場で流れている曲が収録されたCD・パンフレット・缶バッチが。ポスターが飾られた壁沿いに関連書籍が並ぶ。岡真理さんの『ガザに地下鉄が走る日』『アラブ、祈りとしての文学』が積まれていたのが印象的だった。CDも欲しかったのだが、プレーヤーを持っていないことに気づき諦めた。仕事で着るエプロンにつけるために缶バッチを購入した。ちなみに、本イベントの利益は現地に寄付されるとのことなので、ぜひ足を運んでほしい。

三木那由他×朱喜哲 刊行記念トークイベント

いよいよです。11月21日19時より、大阪市中央公会堂にて。
参加費は1200円。お申込みお待ちしております!

(終)

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